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あなたが私に教えてくれたもの

命があるという事は、いずれその灯火は消えてしまうという事でもある。

何故も何もない。

それが魂ではないからだという人もいれば、それが自然の摂理だからと躊躇なく口にする人もいる。

ただ、僕の場合はそのどちらをも否定はしない。そもそも否定する以前に、というか、肯定する以前にそのどちらにも当てはまらないところで思考が止まってしまうからだ。

確かに早いか遅いかで、死は必ず訪れる。
誰の身にも例外なくだ。
ならば魂はどうかといえば、魂そのものが客観的な評価、認識でしか存在しえない以上、考えても仕方がない事だと感じているからだ。

特に、別に、無感動や無感情や無慈悲になった訳ではなくて、ただ、当たり前のように、それがそういうものであるという捉え方をするようになっただけで、抗う事も、足掻く事も、実を言うと散々やった。

本当に自分ができる範囲でやり尽くせる事は、きっと多分、限界までやった。
そう思いたい。

「ごめんね、というケースではないです。」

獣医師は徐に声をかけてくれた。

「むしろ、ここまでやってもらえて幸せだったと私は思います。」

彼は、ゆっくりと、静かにそう言ってくれた。

「もしかしたら、治療を続けたせいで、苦しみが伸びてしまったのかも知れないと思われるかもしれませんけれど、私はそれは違うと思います。オトちゃんは、本当に幸せだったと思います。この飼い主さんと居られたことを幸せに思ってくれていると思います。」

そして、ご自身の犬を失った時の話と重ね合わせるかのようにして、優しく続けてくれた。

「もう少し後になるだろうけれど、先に行って待っていてくれよな。って、そういう気持ちで十分だと私は思います。本当に一緒に、懸命に頑張られたのを私は見て来ましたから。」


娘であるキョロちゃんが逝ってから、ほぼちょうど2か月後、母親であるオトが命の火を尽くした。

持病の皮膚病・脂漏症から始まり、マラセチア菌による外部からの攻撃の侵攻に紛れて、ブドウ球菌の皮下侵食を併発し、心肥大症を抱えながら、まずは皮膚の健全化を図るべきと始めたシャンプーの途中で、心臓発作でオトは気を失った。
その直後から食事を摂らなくなった彼女を院へ連れて行き、新たに腎不全が発覚したのだった。

恐らくは腎不全による痙攣か心房細動による失神が命を落した原因だろうと獣医師は診断した。
死の瞬間に、すぐそばにいなかった僕には、正確な死に繋がった下人を特定できる情報を伝える術がなかったが故の診立てだ。

真実を知ったからと言って気持ちが晴れる訳ではないし、そばに居なかった事を悔いたところで、それまでの彼女の苦しみを取り去れた訳でもない。

全てを、そうなってしまった事の結末を、ただ受け入れて、無理やりにでも腑に落ちるようにしなければならない。
そうでなければ、残酷でしかなりえないと、そう思うからだ。


キョロちゃんの時と同じように、昨日の雨が嘘のように空は晴れ上がった。

そして、キョロちゃんの時と同じ場所で、オトは空へと旅立った。

オトの逝った空


本来なら、荒れた肌に血痕を残したままの姿で荼毘に付される筈だったのだが、獣医師に無理を言って死化粧をしてもらっていた。

たかが犬、たかがペットの死体。
けれど、彼らはオトの遺体を丁寧に清め、花飾りの付いたリボンを餞代わりに添えてくれた。
医師ならではの適切な処置で、通夜を開けて旅に出るまでの間に、段ボールの棺を汚さずに済んだ。


まだ3年くらいは一緒に居られると思っていた。
まだあれこれと話しかけて反応を楽しめると思っていた。
まだこっそりと白菜を盗み食いしたり、キュウリに襲いかかるようにかじり付いたりする姿に笑えるのだろうと思っていた。

でも、もう、それらは全部、思い出になった。

僕だけの思い出になった。

そういえば、ドラえもんのポケットの中に、時間の流れを体感できるアイテムがあったっけ。

時だけは無造作に、無頓着に、躊躇なく強引に流れ去って行く。

僕の思い出は、その流れに乗って、僕がこの世を去る時までのものでしかない。それだけのものだろうし、それだけのものでしかない。

こうしてオンラインで、どこかにこのログが残ったとしても、その「時」が過ぎた瞬間に「無」に還る。

それまでの間だけれど、オトに伝えておきたい事がある。

一緒に過ごせた事。
共に闘った事。
家族になってくれた事。

本当に、心の底から、ありがとう。

愛しているよ。

虹の橋の袂で、転げまわって走りまわって、そしてグーグー寝ながら待っているように。


じゃあ、またね。
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Re: No title

コメント管理でゴタゴタしていたら、順序がおかしくなってしまったり、返信が送られてしまっているかも知れなかったりで、党副内容が届いていたら済みません。


さて、頂いたコメントですが、お母様の容体が重篤でなかった事にホッとしています。

先日、成り行きで私の母の友人達(結構たくさんいるので焦りました)にお逢いする場面に出くわしました。
みなさんかなりの年齢の筈なのに、とても70歳前後とは思えないバイタリティで、考えている事もかなり先鋭的で、適正に物事を評価される方々ばかりで驚きの連続でした。
まぁ、天然系の方から、元国家公務員の方から…、と様々でしたが、一様におっしゃる事は、子供がいくつになっても、「子供は子供で可愛いのよね。おバカでもいう事を聞かなくて憎たらしいと思っても、ハハハって笑うと好きにやって幸せになればいいかなって思えるのよね。」なんて感じなんです。

そうは言っても、それなりに会話はあるようですし、互いに意見を言い合ったり、ぶつかり合ったりというシーンはあるみたいで、それである意味での絆を保てているような感覚を得ました。

とにかくコミュニケーションなんだなぁと。
仲の良いのは素敵な事ですが、そうでなくても会話は必須なのかも知れませんね。

今のうちに本当の意味であれやこれやを少し過去を振り返りながら(ジェネレーションギャップがあって楽しいので)、根掘り葉掘りができれば上等ですが、その流れでこれから先の事をしっかりと捉えて行くのがスムースなのかなぁ…、なんて思いました。

実際、私の場合は、実の家族に騙されて、母が悪者にされて肩身の狭い思いを強いられていた事にようやく気がついた次第で、情けないやら面目ないやらです。
人を呪わば穴二つで、私を騙した家族は、それなりの大小を支払わされる事になっていくのだろうと思います。

家族で騙し愛とかあり得ないと思われるかも知れませんが、これがあるのです。
ドラマと違う所は、時間の経過が異様に長い事と、多勢に無勢がまかり通る環境を構築されてしまうと、真実が掴みにくくなる事です。母が他界していれば永遠の謎で終わっているところでした。
まぁいくつかの病気は患ったようでしたが、現在は自分で車を運転して出かけていくくらいで元気です。

そんな中で、母は私にだけ、これまでに起こった全ての顛末と、事実関係を話してくれました。他の家族に話したところで何の意味も得られないと20年間も黙っていた事らしいでです。
けれど、私が口が堅いのと、非感情的に物事を判断する側面を持ち合わせているタイプだと知っていて、胸の中にしまっておいてほしい事だけれど、と、心中を吐露しました。

ならば、不言実行で母の見方をするしかないのかな…。と、今はいろいろと画策中です。
他の家族に仕返しをしても、自分の徳が下がる、人生プラスマイナスゼロの考え方をする私にしてみれば、下手に手を出すのは時私個人に対しても大損だと思うので、誰かを助けるという行為でもって立ち向かうべしと判断しています。


人生いろいろありますが、複雑な過程は複雑でももっと大変なお宅もある事でしょう。


ところで、上述に少しだけかする(?)話題なのですが、先日買い求めた本がなかなか考えさせられる本だったので、立ち読みでも(立ち読みでkるかどうかわかりません。私は前評判に乗せられてネットで買ってしまいました。)して、お気に召しましたらどうぞ、という書籍です。

比田井 和孝 比田井 美恵 著(専門が高経営の夫婦です)ココロの授業シリーズの子育て編です。

子供は育ててみたかったですが、私の場合、子供を連れて妻が出て行ったまターンの独身オヤジなので、あまり意味のないほんのように思えるのですが、視点を変えると、子供は勉強して知識を身につける為に生れて来た訳では無くて、豊かな心を身につける為に生れて来たのだと考えさせられます。
世の中に出しても人といて恥ずかしくないように、親が子供を点からの授かりものではなくて、「預かりもの」だという(本文からの引用です)捉え方を重視したら、不思議と気持ちが開けるもののようです。

なおので、どこかでご縁があれば、血が繋がっていなくても構わないので、子供は心を存分に注ぎ込んで育ててみたいと思っていて、ちょっとした夢でもあります。
理解のあるパートナーと出逢って、孤児を引き取るのも十分に視野に入れているのです。
子供たちに罪は無いですからね。

現在、私がちょっと貧乏なのがネックなのですが…。お金持ちほど、そんな世の中の現実に目を向けない物なのです。


大いに脱線しました。
すみません。


mさん。

是非、お母様を大切に。

No title

お返事いろいろありがとうございます。
新しいエントリーのコメントも考えてはいたのですが
それも含めこちらにさせていただきますね。

一難去ってまた一難。
次から次へ神様も本当に意地わるですね。
でもちゃんとハッピーエンドで良かったです。
そうは思えないほどの深い悲しみもあり
一時は心身ともに疲弊されていたのでしょうけれど
とにかく元気に戻ってこられたようで本当に良かった。
そして一緒に泣いてくれる友達、本当にありがたいですね。

検査結果も大丈夫だったのですよね?
こちらのコメントのお返事を拝見して
お元気そうなので勝手にそう解釈してしまったのですが。
今回のことを経て
これを笑い話にできるぐらい長く長~く一緒にいられますように。

No title

(ワードチェックが通らなかったので分割しました)
お母様だけでなくそのお友達とまで交流されてたなんて
いろいろな意味で親孝行ですね。
自慢の息子と一緒で嬉しかったでしょう。
過去がどうでも今が良ければ何よりですよね。
親戚は…騙し合いがなくてもいろんなことがありますね。
困った親戚は誰でもいるものなんでしょうか。
一度裂かれた仲を修復されて
親子仲良くしている姿を見せつけるのが最大の復讐かも。
どこまで知ってるんだ?って疑心暗鬼になったり
きっとプレッシャーになってますよ。
牽制してお母様を守れたらいいですね。

No title

本の紹介ありがとうございます。
落ち着いたら読ませていただきたいなと思います。
お子さんのこと気になるでしょうね。
夢、いろんな意味で簡単なことではなさそうですが
叶うって言っていいのか
実現していい関係を築けたら素晴らしいですね。
最近北海道の事もありましたし(見つかって良かった!)
親子関係って本当に難しいですけど
自分の中にある親とのいい思い出や感謝の経験が
よりたくさん与えられたら
どんなにいい事でしょうね。
遠くからですがおうえんしてます。

mさん、こちらこそ、いろいろとありがとうございます。

私の母は母なりに若干の策略があるらしく、本音は口にしませんが、私に面倒を診てもらうだとか、身近に見方が欲しいだとかなのだろうとは思いますが、あれやこれやと私の転職先情報収集とと応募を勝手にやってくれちゃっています。
こちらの状況や都合はお構いなしなので少々困りますが、強引にでも手元に引き戻したいのでしょう。
子供の事は忘れてしまえとか平気で言います(笑)。

年齢も年齢なので、早めはやめに物事を済ませておきたいという気持ちは判らなくは無いので、まぁ、その部分は話を合わせている感じです…。

が、問題は転職先です。

上述のとおりですが、勝手に面接の日取りまで決められてしまった企業様には本当に失礼な事をしていまい、恥ずかしいばかりでした。企業名も何をしている会社のかも私が良く判らない状態で面接に伺わなくてはならない点なんて事象が発生し、こればかりは私もちょっと母にお説教をしました。

20年前に策略化の母に半ば騙されて人生のベクトルが変わってしまったという経験があるので、こちらも慎重になります。

「あぁ、なんて親だよ、全く」

なんて、落語口調で呟いてしまうほどです(笑)


さて、ワンコの件ですが、お陰さまでだいぶ体調も良くなり元気になりました。

ただ、獣医師に指摘された通り、「飢え」を経験した犬は食べるという事に対するスタンスに大きな変化が出るので注意深い観察をとのことでしたが、やはり変化が出ました。

困った事ばかりです。

まずは、今までしなかったのですが、ウンチを食べてしまうようになりました。自給自足のリサイクルだと笑ってはいられないのですが、おなかがすいていると食べてしまうのです。

また、生ごみをあさって捨てたものを食べてしまうという事です。

分別収集のための生ごみ専用の袋があるのですが、これをひっくり返して中身を食べます。
腐っているものだとか、カビが発生していたりするものを食べてしまうのです。
結局跡でお腹の調子が悪くなったり吐いたりです。

ゴミ袋を隔離して少々使いにくくなりましたが、通常の食事でお腹を満たしておくと大丈夫のようですが、明らかにカロリーオーバーになってしまうので考えどころです。

空腹が飢えに感じ、とにかく何かを食べて…というロジックが頭の中に刻み込まれてしまったのでしょう。時間の経過で元に戻ると良いのですが、なかなか根深い問題のようです。

次回の検診の時に獣医師に相談してみる予定です。

ご心配をおかけして済みません。

でも、コメントを頂けてとても嬉しいです。
ありがとうございます。


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