凄い久しぶりですが、当然の事ながらの縦スクロールログです。
今回は、過去に一年間程度しか製造販売されていなかった Epiphone のエレキギターに手を入れていった顛末を一気に書きます。
当初は何もわからずにカッコ悪いから安かったのかと思ってヤフオクで購入したギターでした。
カラーリングによっては高値が付くモデルで、現在経営に困窮しているGibson社によるワイヤリングでそれなりに良い音が出る仕様の「Nuclear」という名称のモデルでした。
このブログをずーっとさかのぼっていくと、このモデルの名前を間違えて記述しているかと思いますが、ヤフオク出品者のせいです。
で、このカッコ悪いカラーリングを全て剥がし、ボディも納得がいくように成形し、ウレタン塗装で下地を作り、そこへホームセンターのプライベートブランドのカラースプレーで塗装をし、その上から二液式のウレタンクリアでガッチリ塗装をしたところで前回は終わっているかと思います。
大分時間が経過しましたが、ここからとある事情で突っ走る事になり、大幅に手を加えました。
地味ですが大胆だと自分でも思っています。
では、大したことない部分から。

ここは前回までのおさらいです。
トグルスイッチを交換しましたが、新しく購入したものの制度が悪かったので、接点のみオリジナルへ流用しました。

ヘッドレスギターとヘッドストックのあるギターとの違いはここです。
どちらも悪くはありません。
コンパクトさを考えるならヘッドレス。
そうでないならヘッドストック有りの方で良いでしょう。

これをリニューアルします。
表面に映り込んでいるのは模様ではなく、レースカーテンのものです。
こんな柄を付けられたら綺麗ですよね。
でも今回は無視します。
目的に向かってまっしぐらです。
そもそも、なぜこうなったかというと、ヘッドストックに依然組み込んだインレイが大きすぎると感じるようになり、いかにも自作だな…、という感じが拭えなかったので、本物っぽくしようと思いデザイン変更です。
使用するインレイは、同じ形状デザインですが、大きさが全く違います。

古いインレイは跡形もなく消えうせました。
元々、フィッシングルアーの材料を使っていたので、青みの輝きは素晴らしかったですが、いかんせん大きかったので、今回は全体のバランスを考えてコンパクトで白系のものを採用しました。

ちょいと置いてみました。

工程の途中ですが、ほんの少しだけ青みが見えます。
この青みはもう少しだけ強調されるようになります。
後々にですが。

肝心なところをマスクして塗装をします。
厚めに見えますが、結局もう一度水研ぎで調整します。
この下に使用されている塗料の種類との相性などの問題で、数回に分けて塗装する必要があります。

インレイ化する所は根性がある人は使用する材料の厚みに合わせて型取りをして彫ってください。

レベルが合うと面出しで美しさが出てきます。

インレイ部分のマスキングを取り去り、第一段階の最終面出しでをします。
ここで無茶をすると面倒な事になります。
あくまでも、下地になる色(黒)とインレイの段差がなくなる事を目的とします。

レジンを主液と硬化剤で調合します。
レジン系のクラフト材料は様々あります。
お好みに合ったものを使用すると良いかと思います。
私の場合は、作業時間にあえて時間がかかるもので、かつ、気泡の抜けが良いものを選びました。
で、この手の材料の場合、流し込む対象の水平度が重要になってきます。

デジタル水準器が分かりやすいです。

縦方向と横方向を見ます。

水平を出します。
目標は、クリアな被膜を1.5ミリ乗せる事です。
型枠代わりの養生をして、レジン液を作成します。
少量だと非常にシビアですが、17立方センチ用意したのですが、このくらいだと混合に余裕が出ます。
とはいえ、何度も風袋を確認しながら適切な分量で二液を混合し、よーくかき混ぜます。
これを面倒くさがると、固まりません。やり直しコースまっしぐらです。
マスキングはキッチリと、使えるものは工夫して何でも使います。

燈明台っぽいですが…。
重力による影響で、水平にレジン材は勝手に流れ込んでいきます。

泡抜けも良く、上から少々の埃が乗っても平気なくらいに流し込んであります。
目標が1.5ミリ厚で、この状態では1.8ミリ厚になっています。

レジンが余ると見込んで、説明の順序は逆ですが、先にボディの凹みの部分に多めにレジンを流し込み、マスキングテープで閉じ込めます。

脱型するとこんな感じです。
削りがいがあります。
表面がピカピカでもったいないように思えますが、完全に硬化するまで最低48時間(気温25℃)かかるので、埃が乗っている事は想像に難くないので削ります。

こんな感じに削っていきます。
きちんと平面が確保できるように当て板は固めの方が良いでしょう。
サンディングはドライで。
番手は荒いものから順に細かいものへ。
私の場合は、ねちねちやりたかったので、#800で荒研ぎして、そこから#1000の水研ぎに移行しました。

これで#2000の水研ぎ処理し、後は極細目のコンパウンドで小傷が全てなくなるまで磨きまくります。
そしてまだまだ先があります。

インレイは偏光の影響で雰囲気が変わります。

必要なパーツを組み込んで弦を張っていきます。
ここで気づけたら良かったのですが、のちにとんでもないことに気付く事になります。

一応、Gibsonでワイヤリング監修を行っている証ですが、だいぶくたびれています。
ヘッドストック裏側の塗装剥がれはレジンで後で埋め、目立たなくなりました。
そして、弦を張り、全てのチューニング工程を済ませた後で、ある事に気付いてしまうのです。
今までよくも平気で弾いていたな…、と。
たのギターと比べて、弦のブリッジ側が若干一弦方向に全体的にズレているのです。
計測すると0.7ミリほど。

ブリッジの位置が間違っているのです。
韓国製エピフォンだからなのかどうかは別として、ネックがそんな方向にそる訳もなし…。

ズレています!

完全にブリッジの位置に問題があります。
気に入らないので、ブリッジの位置をオフセットする事にしました。
どうやって?
エンドピース用の偏芯パーツは売られているのですが、ブリッジ用のものはうまく見つかりませんでした。
そこで、荒業に出ました。
きちんと位置を出して、正確に設置したら二度と外すことはないだろうと思い、移動したい方向へスタッド用の穴位置を動かしたい方向へ削り、反対側へスペーサーを入れます。
ちょうど、厚さ0.7ミリのアルミ板があったのでこれを利用します。
タワー型PCのケース用のパーツです。
捨てずに取っておくものです…。
で、ブリッジのパーツを取り去り、穴を動かしたい方向へ削ります。

計算上、0.7ミリ削ります。
色々考えましたが、これは彫刻刀と金属製の丸ヤスリで整えます。

こんな感じでスペーサーが入ります。

形がまだまだですが、これを成形してちょうど良い形にします。
なお、これはアルミ製の板ですので、安物の金切り鋏でも切れます。
ただ、綺麗に切りたい場合は少々お高い鋏を使用した方が良いでしょう。

ブリッジのスタッドを叩き込みます。
そして、ブリッジ本体をはめます。
正確に移動できたので、何の抵抗もなくスポッと乗りました。

ブリッジが乗り、弦を張ります。
この画像で、おや? と感じた人は鋭いですね。
私のギターは弦高が高めなので、可動範囲が狭いこの手のブリッジだとオクターブチューニングが狂ってしまうのでストリングホルダーをひっくり返している箇所があります。

弦の位置が適正になりました。
これで安心して一弦チョーキングやプリングに違和感が出なくなるでしょう。
ずっと他のギターを弾いていて、このギターを弾いてみて疑問を感じなかった自分がアホ過ぎてイヤになりますね。
これで、所有するレスポールタイプのギターは全て万全になりました。
スクロールありがとうございます。
指を良くマッサージしてくださいませ。
今回は、過去に一年間程度しか製造販売されていなかった Epiphone のエレキギターに手を入れていった顛末を一気に書きます。
当初は何もわからずにカッコ悪いから安かったのかと思ってヤフオクで購入したギターでした。
カラーリングによっては高値が付くモデルで、現在経営に困窮しているGibson社によるワイヤリングでそれなりに良い音が出る仕様の「Nuclear」という名称のモデルでした。
このブログをずーっとさかのぼっていくと、このモデルの名前を間違えて記述しているかと思いますが、ヤフオク出品者のせいです。
で、このカッコ悪いカラーリングを全て剥がし、ボディも納得がいくように成形し、ウレタン塗装で下地を作り、そこへホームセンターのプライベートブランドのカラースプレーで塗装をし、その上から二液式のウレタンクリアでガッチリ塗装をしたところで前回は終わっているかと思います。
大分時間が経過しましたが、ここからとある事情で突っ走る事になり、大幅に手を加えました。
地味ですが大胆だと自分でも思っています。
では、大したことない部分から。

ここは前回までのおさらいです。
トグルスイッチを交換しましたが、新しく購入したものの制度が悪かったので、接点のみオリジナルへ流用しました。

ヘッドレスギターとヘッドストックのあるギターとの違いはここです。
どちらも悪くはありません。
コンパクトさを考えるならヘッドレス。
そうでないならヘッドストック有りの方で良いでしょう。

これをリニューアルします。
表面に映り込んでいるのは模様ではなく、レースカーテンのものです。
こんな柄を付けられたら綺麗ですよね。
でも今回は無視します。
目的に向かってまっしぐらです。
そもそも、なぜこうなったかというと、ヘッドストックに依然組み込んだインレイが大きすぎると感じるようになり、いかにも自作だな…、という感じが拭えなかったので、本物っぽくしようと思いデザイン変更です。
使用するインレイは、同じ形状デザインですが、大きさが全く違います。

古いインレイは跡形もなく消えうせました。
元々、フィッシングルアーの材料を使っていたので、青みの輝きは素晴らしかったですが、いかんせん大きかったので、今回は全体のバランスを考えてコンパクトで白系のものを採用しました。

ちょいと置いてみました。

工程の途中ですが、ほんの少しだけ青みが見えます。
この青みはもう少しだけ強調されるようになります。
後々にですが。

肝心なところをマスクして塗装をします。
厚めに見えますが、結局もう一度水研ぎで調整します。
この下に使用されている塗料の種類との相性などの問題で、数回に分けて塗装する必要があります。

インレイ化する所は根性がある人は使用する材料の厚みに合わせて型取りをして彫ってください。

レベルが合うと面出しで美しさが出てきます。

インレイ部分のマスキングを取り去り、第一段階の最終面出しでをします。
ここで無茶をすると面倒な事になります。
あくまでも、下地になる色(黒)とインレイの段差がなくなる事を目的とします。

レジンを主液と硬化剤で調合します。
レジン系のクラフト材料は様々あります。
お好みに合ったものを使用すると良いかと思います。
私の場合は、作業時間にあえて時間がかかるもので、かつ、気泡の抜けが良いものを選びました。
で、この手の材料の場合、流し込む対象の水平度が重要になってきます。

デジタル水準器が分かりやすいです。

縦方向と横方向を見ます。

水平を出します。
目標は、クリアな被膜を1.5ミリ乗せる事です。
型枠代わりの養生をして、レジン液を作成します。
少量だと非常にシビアですが、17立方センチ用意したのですが、このくらいだと混合に余裕が出ます。
とはいえ、何度も風袋を確認しながら適切な分量で二液を混合し、よーくかき混ぜます。
これを面倒くさがると、固まりません。やり直しコースまっしぐらです。
マスキングはキッチリと、使えるものは工夫して何でも使います。

燈明台っぽいですが…。
重力による影響で、水平にレジン材は勝手に流れ込んでいきます。

泡抜けも良く、上から少々の埃が乗っても平気なくらいに流し込んであります。
目標が1.5ミリ厚で、この状態では1.8ミリ厚になっています。

レジンが余ると見込んで、説明の順序は逆ですが、先にボディの凹みの部分に多めにレジンを流し込み、マスキングテープで閉じ込めます。

脱型するとこんな感じです。
削りがいがあります。
表面がピカピカでもったいないように思えますが、完全に硬化するまで最低48時間(気温25℃)かかるので、埃が乗っている事は想像に難くないので削ります。

こんな感じに削っていきます。
きちんと平面が確保できるように当て板は固めの方が良いでしょう。
サンディングはドライで。
番手は荒いものから順に細かいものへ。
私の場合は、ねちねちやりたかったので、#800で荒研ぎして、そこから#1000の水研ぎに移行しました。

これで#2000の水研ぎ処理し、後は極細目のコンパウンドで小傷が全てなくなるまで磨きまくります。
そしてまだまだ先があります。

インレイは偏光の影響で雰囲気が変わります。

必要なパーツを組み込んで弦を張っていきます。
ここで気づけたら良かったのですが、のちにとんでもないことに気付く事になります。

一応、Gibsonでワイヤリング監修を行っている証ですが、だいぶくたびれています。
ヘッドストック裏側の塗装剥がれはレジンで後で埋め、目立たなくなりました。
そして、弦を張り、全てのチューニング工程を済ませた後で、ある事に気付いてしまうのです。
今までよくも平気で弾いていたな…、と。
たのギターと比べて、弦のブリッジ側が若干一弦方向に全体的にズレているのです。
計測すると0.7ミリほど。

ブリッジの位置が間違っているのです。
韓国製エピフォンだからなのかどうかは別として、ネックがそんな方向にそる訳もなし…。

ズレています!

完全にブリッジの位置に問題があります。
気に入らないので、ブリッジの位置をオフセットする事にしました。
どうやって?
エンドピース用の偏芯パーツは売られているのですが、ブリッジ用のものはうまく見つかりませんでした。
そこで、荒業に出ました。
きちんと位置を出して、正確に設置したら二度と外すことはないだろうと思い、移動したい方向へスタッド用の穴位置を動かしたい方向へ削り、反対側へスペーサーを入れます。
ちょうど、厚さ0.7ミリのアルミ板があったのでこれを利用します。
タワー型PCのケース用のパーツです。
捨てずに取っておくものです…。
で、ブリッジのパーツを取り去り、穴を動かしたい方向へ削ります。

計算上、0.7ミリ削ります。
色々考えましたが、これは彫刻刀と金属製の丸ヤスリで整えます。

こんな感じでスペーサーが入ります。

形がまだまだですが、これを成形してちょうど良い形にします。
なお、これはアルミ製の板ですので、安物の金切り鋏でも切れます。
ただ、綺麗に切りたい場合は少々お高い鋏を使用した方が良いでしょう。

ブリッジのスタッドを叩き込みます。
そして、ブリッジ本体をはめます。
正確に移動できたので、何の抵抗もなくスポッと乗りました。

ブリッジが乗り、弦を張ります。
この画像で、おや? と感じた人は鋭いですね。
私のギターは弦高が高めなので、可動範囲が狭いこの手のブリッジだとオクターブチューニングが狂ってしまうのでストリングホルダーをひっくり返している箇所があります。

弦の位置が適正になりました。
これで安心して一弦チョーキングやプリングに違和感が出なくなるでしょう。
ずっと他のギターを弾いていて、このギターを弾いてみて疑問を感じなかった自分がアホ過ぎてイヤになりますね。
これで、所有するレスポールタイプのギターは全て万全になりました。
スクロールありがとうございます。
指を良くマッサージしてくださいませ。
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- このエントリーのカテゴリ : 音楽
リアルタイムで、あの名作、
「夏目友人帳」
を拝見しました。
やっぱりいいですね。
映画が2018年秋に封切になるそうで、そのためのこれまでのシリーズからのピックアップのようです。
毎回、とても切なくて、ちょっと哀しく、温かいという仕上がりは、本当に脚本、脚色、プロッティングの連携の秀逸さを感じます。
初期の頃から最新のシリーズまでに、画調が変わっていっているようですので、それも楽しみです。
なにせ、通常の放送で一切作品を見られない環境にいるため、友人に録画したものを貸してもらって拝見するような始末で。
毎週放送で、しかも、ちょっと我慢していれば見られる時間帯。
頑張って診ようと思います。
「夏目友人帳」
を拝見しました。
やっぱりいいですね。
映画が2018年秋に封切になるそうで、そのためのこれまでのシリーズからのピックアップのようです。
毎回、とても切なくて、ちょっと哀しく、温かいという仕上がりは、本当に脚本、脚色、プロッティングの連携の秀逸さを感じます。
初期の頃から最新のシリーズまでに、画調が変わっていっているようですので、それも楽しみです。
なにせ、通常の放送で一切作品を見られない環境にいるため、友人に録画したものを貸してもらって拝見するような始末で。
毎週放送で、しかも、ちょっと我慢していれば見られる時間帯。
頑張って診ようと思います。
- このエントリーのカテゴリ : アニメ
とりとめのないネタです。
というか、結果的にそうなるだろうと予測した上で、当然こうなったという感じです。
だがしかし(このタイトルのアニメの事ではないです)、どうしても気になって、そして不快に思ったので。
2018年2月に、私が尊敬してやまないAimer さんの新しい4曲入りシングルが発売されました。
アニメーション版「恋は雨上がりのように」のエンディング曲に採用されたのを受けての発売。
「Ref:Rain」
という楽曲がファーストトラックとして収録されている。
この曲も含めてなのだが、今回の盤の音が異様にノイジーなのだ。
しかも、音が大きな部分に限ってだ。
最も分かりやすいのは、3rd Track 「After Rain -Scarlet Ver-」の最初の3連のドラム。
この音量の部分からノイズが発生する。
楽曲の構成自体は問題ない。
とても素敵なアレンジメントである。
まるっとベタ褒めの書き込みを幾つか見たが、私は首を傾げてしまった。
ア〇ハにもソ〇ーミュージック〇ンターテイメントにもコンタクトをとった。
当方のチェック環境とその結論を全て提示した。
この段階で、どちらも瑕疵は認めまいと思っていた。
そんな事したら、大問題になるし、大赤字は免れられない。
責任転嫁は委託関係がある以上絶対にできないからだ。
で、前者は「対処しない」という回答。
それはそうだ。プレスが原因であったとしても、エディティングが問題であったとしても同じ回答にならざるを得ない。
一方、後者は、きちんと担当者が対応してくれた。
が、やり取りをするうちに、「ヴォリュームを下げても変わりませんか?」というフレーズが出た。
何人ものスタッフが聴いたが問題ないと回答したそうだが、最初に提示したデータは全く意味がなかったという事になる。
実はこの、「After Rain」という楽曲。
前作がある。
アレンジが異なる初期バージョンといっていい。
当然、CDでスタジオ収録のトラックは発売されているし、ライブバージョンも存在する。
で、この初期のトラックをじっくり聴いてから、「-Scarlet Ver-」 を是非聴いていただきたい。
ドラムの収音処理に問題があったとすぐにわかる。
同盤に収録されている「Ref:Rain」もよく似た要素を含んでいる。
ドラムの奏者のメリハリの効いたさばきをコンソールの前に座っていた人はスルーしたのだろう。
マイキングで拾った音にコンプレッションがかかっているのが、デジタル音声波形を見る事ができるソフトウエアで確認できる。
ミックスダウンの際にも何かしている感じもするが、そこまで突っ込む必要はないので割愛します。
低音好きの人なら余計に分かると思いますし、私のような爆音では絶対に音楽を聴かない人間でも、再生直後からドラムが入るまでの間のクリアな音に「いつもながらの優れたミュージシャンがAimer さんには付いているのだな」と感心してしまう程だ。
しかし、後が悪い。
ドラムの音処理、これでいいのか?
という問いに対して、製作者側は、
「これでいいのだ!」
と返してきたのだ。
製作者側の意図的な表現だと言われてしまえばそれまでだ。
こんな編み方をされたミュージシャンのハイスペックなテクニックもさることながら、ヴォーカルトラックにまで影響が出るようなノイズをのせたままリリースされてしまった事で最も肩を落とすのは、声を一番大切にしているAimerさんだと思います。
Aimer さんの作品は全て所有しています。
どれを聴いても今回のような事はなく、ヴォーカルをリフトする構成で素敵だと思います。
是非「After Rain」をじっくりとお聴き頂き、そのあとに「After Rain -Scarlet ver-」を聴いてみてください。
一般的な端末でどのようなセッティングにしたら綺麗に聞こえるのかを知りたいです。
スタジオに住んでいるような身分ではないので、2000万円のコンソールに収録時のソースを流して聴けと言われても無理。
こちらが検証した内容は4つありますが、最もお金がかかっているものと最もお金がかかっていないものとの間をとって、一つだけ記述しておきます。
・Y社製16chデジタルミキサーに諭吉5人では足りなかったA〇Gのヘッドフォンをつなぎ、ASIOで接続したPCからダイレクトにドライブしたCDの音を上述ミキサーへ流し込んで聴く。
WAVサンプリングレートの変更はしていません。
編集するわけではないのでレート上げても意味ないし、レイテンシーが出るのも癪なので。
ちなみに、2018/4/8 の段階で当該楽曲はFLACで発売されておりません。
あくまで、CD収録の音源でどこをどうしたらよくなるのかを事細かく知りたいです。
音響関係に詳しい方、ご教授の程よろしくお願い申し上げます。

総売り上げの中で、ほんの数十円くらいの収益しかもたらしていないファンの戯言なのですが。
というか、結果的にそうなるだろうと予測した上で、当然こうなったという感じです。
だがしかし(このタイトルのアニメの事ではないです)、どうしても気になって、そして不快に思ったので。
2018年2月に、私が尊敬してやまないAimer さんの新しい4曲入りシングルが発売されました。
アニメーション版「恋は雨上がりのように」のエンディング曲に採用されたのを受けての発売。
「Ref:Rain」
という楽曲がファーストトラックとして収録されている。
この曲も含めてなのだが、今回の盤の音が異様にノイジーなのだ。
しかも、音が大きな部分に限ってだ。
最も分かりやすいのは、3rd Track 「After Rain -Scarlet Ver-」の最初の3連のドラム。
この音量の部分からノイズが発生する。
楽曲の構成自体は問題ない。
とても素敵なアレンジメントである。
まるっとベタ褒めの書き込みを幾つか見たが、私は首を傾げてしまった。
ア〇ハにもソ〇ーミュージック〇ンターテイメントにもコンタクトをとった。
当方のチェック環境とその結論を全て提示した。
この段階で、どちらも瑕疵は認めまいと思っていた。
そんな事したら、大問題になるし、大赤字は免れられない。
責任転嫁は委託関係がある以上絶対にできないからだ。
で、前者は「対処しない」という回答。
それはそうだ。プレスが原因であったとしても、エディティングが問題であったとしても同じ回答にならざるを得ない。
一方、後者は、きちんと担当者が対応してくれた。
が、やり取りをするうちに、「ヴォリュームを下げても変わりませんか?」というフレーズが出た。
何人ものスタッフが聴いたが問題ないと回答したそうだが、最初に提示したデータは全く意味がなかったという事になる。
実はこの、「After Rain」という楽曲。
前作がある。
アレンジが異なる初期バージョンといっていい。
当然、CDでスタジオ収録のトラックは発売されているし、ライブバージョンも存在する。
で、この初期のトラックをじっくり聴いてから、「-Scarlet Ver-」 を是非聴いていただきたい。
ドラムの収音処理に問題があったとすぐにわかる。
同盤に収録されている「Ref:Rain」もよく似た要素を含んでいる。
ドラムの奏者のメリハリの効いたさばきをコンソールの前に座っていた人はスルーしたのだろう。
マイキングで拾った音にコンプレッションがかかっているのが、デジタル音声波形を見る事ができるソフトウエアで確認できる。
ミックスダウンの際にも何かしている感じもするが、そこまで突っ込む必要はないので割愛します。
低音好きの人なら余計に分かると思いますし、私のような爆音では絶対に音楽を聴かない人間でも、再生直後からドラムが入るまでの間のクリアな音に「いつもながらの優れたミュージシャンがAimer さんには付いているのだな」と感心してしまう程だ。
しかし、後が悪い。
ドラムの音処理、これでいいのか?
という問いに対して、製作者側は、
「これでいいのだ!」
と返してきたのだ。
製作者側の意図的な表現だと言われてしまえばそれまでだ。
こんな編み方をされたミュージシャンのハイスペックなテクニックもさることながら、ヴォーカルトラックにまで影響が出るようなノイズをのせたままリリースされてしまった事で最も肩を落とすのは、声を一番大切にしているAimerさんだと思います。
Aimer さんの作品は全て所有しています。
どれを聴いても今回のような事はなく、ヴォーカルをリフトする構成で素敵だと思います。
是非「After Rain」をじっくりとお聴き頂き、そのあとに「After Rain -Scarlet ver-」を聴いてみてください。
一般的な端末でどのようなセッティングにしたら綺麗に聞こえるのかを知りたいです。
スタジオに住んでいるような身分ではないので、2000万円のコンソールに収録時のソースを流して聴けと言われても無理。
こちらが検証した内容は4つありますが、最もお金がかかっているものと最もお金がかかっていないものとの間をとって、一つだけ記述しておきます。
・Y社製16chデジタルミキサーに諭吉5人では足りなかったA〇Gのヘッドフォンをつなぎ、ASIOで接続したPCからダイレクトにドライブしたCDの音を上述ミキサーへ流し込んで聴く。
WAVサンプリングレートの変更はしていません。
編集するわけではないのでレート上げても意味ないし、レイテンシーが出るのも癪なので。
ちなみに、2018/4/8 の段階で当該楽曲はFLACで発売されておりません。
あくまで、CD収録の音源でどこをどうしたらよくなるのかを事細かく知りたいです。
音響関係に詳しい方、ご教授の程よろしくお願い申し上げます。

総売り上げの中で、ほんの数十円くらいの収益しかもたらしていないファンの戯言なのですが。
- このエントリーのカテゴリ : 音楽
トヨタ ウィッシュの4WD車にリモートエンジンスターターをくっつけます。
スターターのブランドはユピテル。
アンサーバック機能が付いているからという理由と、たまたまオークションで専用ハーネスと共に出品されているのを見つけたから。
別途で専用ハーネスを買うのは無駄だと判断。
時期を待っていたのです。
で、気前の良い出品者から即落で落札しました。
では、縦スクロールでお楽しみください。
ちなみに、車両型式はZNE14 4WD仕様です。
まず、ブツをくっつける場所ですが、コラムカバーの中に納めます。
ちょうど良い具合に入るので、ここで。
コラム下側のカバーを外せば、後は楽ちんです。
でもって、ステアリングを外す必要はなく、回してビスを外します。
当たり前の事ですが、エンジンをかけて、タイヤや足回りに負担がかからないように、少し前進させながらステアリングを90度左右どちらからでも構いませんが回します。

見つけたら、ささっと外します。

次へ行きましょう。

で、ビスを外し、コラムカバー下側にあるビスをはずすと…。


カバーがあっさり外れます。

白いデカいヤツがそれです。
これを外し、専用ハーネスを割り込ませるようにして接続。
残ったカプラーをエンジンスターターの本体に接続。
とりあえずこれで回路的には完了です。
アンテナはうまーく這わせて、フロントガラスの左下にちょこんと出るくらいにして、配線は全て結束バンドで固定するのがオススメです。
コントローラー本体を両面テープで固定するよりは、ハーネス側に結束バンドで固定する方が良いと思います。
コラムカバーの内側へ両面テープで取り付けるとちょうどよく収まるのですが、取り外す事を考えると、あまり良い手法ではありません。
説得力がありませんが、装着時の画像がありません。
どういう訳か消えてしまいました。
近いうちに暖かい日があったら、純正ナビの配線の修理があるので、その際についでに再度撮影して投稿します。
ちなみに、キーシリンダーのところにあるリング照明ですが、この時にかっこ悪いグリーンからホワイトに変更しました。
超簡単に変更できるので、これも改めてアップします。
- このエントリーのカテゴリ : わんこ
毎度おなじみの縦スクロール・ダラダラ系ブログです。
更新にとんでもなく時間を要しました。
材料に拘ったとか、忙しかったとか、PCをWindows 10にしただとか、CPUを焼損させそうになったとかで、あれやこれやでまともに更新ができずにいました。
何はともあれ、そんな言い訳はさておきで、天吊りスピーカーの続きを書いてしまおうという事にしました。
前回は、

これで終わっていました。(←面倒くさがりだな。)
で、この青い材料を探していたところ、これが何なのかをようやく知ることができ、ようやく入手する事が出来ました。

↑ スポンジ状の緩衝材です。
これは工事現場などに設置されている看板が新品の時に、そのフレームを納入前に傷つけたりしないようにする為の緩衝材なのです。
とても丈夫で、頑固で、しなやかです。
ただし、メーカーによって質感が異なります。
目の細かいものと荒いものがあり、炎天下に晒されたものは表面が脆くなりますので、直射日光が当たる場所への使用はオススメしません。
とはいえ、今回はこれを車内に使用するという事で、次のステップへ進みます。
ゲットしてきたブツは、

↑ 色が変ですが、光の加減です。
看板の脚寄りの部分の保護材です。
ちぎれていますが、丁寧にはがせばこんな事にはならないようになっています。
欲しい部分でまとまっていて、比較的綺麗だったのがこれだったので、まぁ、いいか…、と。
で、適宜にカッターで切って、天吊りスピーカ~ボックスとジムニーの天井の間に挟み込んでいきます。

↑ 頑固ですが、時間が経つとしっかりと収まって動かなくなるので便利です。
折りたたむようにしてちょうどよい厚さになるようにします。
不要な部分はカットします。

↑ こんな感じに…。
で、配線やスピーカーボックスの吊りフレームを隠します。

↑ クルマのボディの色が青系なので少し助かった気分ですが。
ちなみに、ホームセンターにこれとは全く異なる材質のものですが、似たように使用できる優れた緩衝材が売られているますので、それもオススメかと思います。
ウレタンスポンジの、家具等の角に当てるものの仲間に、長いものがあります。
色も複数あるので、内装色に合ったもの、近いものを選ぶと良いかもしれません。
私は基本的にタダなもの、安価なものを流用する事を主眼にしているためにこんな事になって(更新が遅くなりまくる)しまうのです。
なお、この処理をすると、このスピーカーボックスの場合は天井側からの音のリフレクションが抑制され、ちょっとしたロウパスフィルターっぽくなるので、カーオーディオのトーンコントロールを調整してベストポジションをセットアップするという楽しみ(面倒)が生まれます。
狭い空間に無理やりセットしたスピーカー・4発(大したものではないので4つでいいか)で、FMラジオがAMっぽくなってしまう音場から脱出する事ができました。
更新にとんでもなく時間を要しました。
材料に拘ったとか、忙しかったとか、PCをWindows 10にしただとか、CPUを焼損させそうになったとかで、あれやこれやでまともに更新ができずにいました。
何はともあれ、そんな言い訳はさておきで、天吊りスピーカーの続きを書いてしまおうという事にしました。
前回は、

これで終わっていました。(←面倒くさがりだな。)
で、この青い材料を探していたところ、これが何なのかをようやく知ることができ、ようやく入手する事が出来ました。

↑ スポンジ状の緩衝材です。
これは工事現場などに設置されている看板が新品の時に、そのフレームを納入前に傷つけたりしないようにする為の緩衝材なのです。
とても丈夫で、頑固で、しなやかです。
ただし、メーカーによって質感が異なります。
目の細かいものと荒いものがあり、炎天下に晒されたものは表面が脆くなりますので、直射日光が当たる場所への使用はオススメしません。
とはいえ、今回はこれを車内に使用するという事で、次のステップへ進みます。
ゲットしてきたブツは、

↑ 色が変ですが、光の加減です。
看板の脚寄りの部分の保護材です。
ちぎれていますが、丁寧にはがせばこんな事にはならないようになっています。
欲しい部分でまとまっていて、比較的綺麗だったのがこれだったので、まぁ、いいか…、と。
で、適宜にカッターで切って、天吊りスピーカ~ボックスとジムニーの天井の間に挟み込んでいきます。

↑ 頑固ですが、時間が経つとしっかりと収まって動かなくなるので便利です。
折りたたむようにしてちょうどよい厚さになるようにします。
不要な部分はカットします。

↑ こんな感じに…。
で、配線やスピーカーボックスの吊りフレームを隠します。

↑ クルマのボディの色が青系なので少し助かった気分ですが。
ちなみに、ホームセンターにこれとは全く異なる材質のものですが、似たように使用できる優れた緩衝材が売られているますので、それもオススメかと思います。
ウレタンスポンジの、家具等の角に当てるものの仲間に、長いものがあります。
色も複数あるので、内装色に合ったもの、近いものを選ぶと良いかもしれません。
私は基本的にタダなもの、安価なものを流用する事を主眼にしているためにこんな事になって(更新が遅くなりまくる)しまうのです。
なお、この処理をすると、このスピーカーボックスの場合は天井側からの音のリフレクションが抑制され、ちょっとしたロウパスフィルターっぽくなるので、カーオーディオのトーンコントロールを調整してベストポジションをセットアップするという楽しみ(面倒)が生まれます。
狭い空間に無理やりセットしたスピーカー・4発(大したものではないので4つでいいか)で、FMラジオがAMっぽくなってしまう音場から脱出する事ができました。
- このエントリーのカテゴリ : わんこ
縦スクロールです。
車検、取りました。
ブレーキオイル、クラッチ用フルードを全交換。
300円で購入した逆止弁付きパイプにウォッシャー液用ホースの取り置き分を接続して行えば、1人で余裕で交換できます。
ついでに、パワステフルードに添加剤を入れて車検屋さんへ。
フルチェックで問題なしでした。
強いて言うなら、ボディの下側に二か所の錆び穴があったくらい。
(気づいていましたが、知らないふりで受検しました。)
こちらは車検においては重大な問題にならない箇所だったので、季節が暖かくなったら修繕します。
検査員に見つからなかった部分も同時に直します…。
で、車検時には中古のブレーキパッドが使われていたのですが、キャリパーOHのお陰で、制動力には一切問題ないデータが取得できました。
そうはいっても、少し編摩耗が見られるパッドだったので、新品に交換しました。
安物ですが、ブレーキパーツに保安基準を満たしていないものが流通するわけもないので、サーキット走行をする訳ではないので、まぁ、いいか、な感じで購入しました。
ついでに、ブレーキパッド用のグリスも塗ってみました。
これがあるとないとで違いが出てくるのですが、人によって感じ方は様々なので、事由は割愛致します。

↑ ピストンブロックを外します。
ぱっどは外さなくて良いのですが、パッドを抑えているプレートに用があるので、一緒に外してしまいます。
プレートにブレーキグリスを塗るのですが、他のものと接触する部位にだけ塗ります。
何にも当たらないところに塗ってももったいないですし、埃がくっついてロクな目に遭いません。

グリス処理が終わったら元通りに組みます。

キャリパーピストンを押し込んで縮めなければならないのですが、パーキングブレーキ機能付きのキャリパーなので、ピストンをグルグルと回しながら押し込んでいかないといけません。
専用の工具もありますが、汎用の工具でも似たようなことはできます。
一番まずいのは、ピストンを回さずにただ押し込もうとウォーターポンププライヤーやシャックルバイスなどで押し込んでしまう事です。
OHした事がある方ならお分かりかと思いますが、ピストンは回しながらやらないと内部を破損します。
で、ただ回してもあまりよくないので、やるならゆっくり回して、当然の事ながらブレーキホースかエア抜きバルブを緩めてフルードを逃がしながらやると安心です。
組み終わったら、フルードを交換(エア抜きが完全にできるなら全交換までしなくても良いかと思われます。
車両の構造とブレーキ配管の取り回しに依存するので、不安ならエア抜きがてら、フルード全交換が安心だと思います。

田舎ですねぇ。
車検、取りました。
ブレーキオイル、クラッチ用フルードを全交換。
300円で購入した逆止弁付きパイプにウォッシャー液用ホースの取り置き分を接続して行えば、1人で余裕で交換できます。
ついでに、パワステフルードに添加剤を入れて車検屋さんへ。
フルチェックで問題なしでした。
強いて言うなら、ボディの下側に二か所の錆び穴があったくらい。
(気づいていましたが、知らないふりで受検しました。)
こちらは車検においては重大な問題にならない箇所だったので、季節が暖かくなったら修繕します。
検査員に見つからなかった部分も同時に直します…。
で、車検時には中古のブレーキパッドが使われていたのですが、キャリパーOHのお陰で、制動力には一切問題ないデータが取得できました。
そうはいっても、少し編摩耗が見られるパッドだったので、新品に交換しました。
安物ですが、ブレーキパーツに保安基準を満たしていないものが流通するわけもないので、サーキット走行をする訳ではないので、まぁ、いいか、な感じで購入しました。
ついでに、ブレーキパッド用のグリスも塗ってみました。
これがあるとないとで違いが出てくるのですが、人によって感じ方は様々なので、事由は割愛致します。

↑ ピストンブロックを外します。
ぱっどは外さなくて良いのですが、パッドを抑えているプレートに用があるので、一緒に外してしまいます。
プレートにブレーキグリスを塗るのですが、他のものと接触する部位にだけ塗ります。
何にも当たらないところに塗ってももったいないですし、埃がくっついてロクな目に遭いません。

グリス処理が終わったら元通りに組みます。

キャリパーピストンを押し込んで縮めなければならないのですが、パーキングブレーキ機能付きのキャリパーなので、ピストンをグルグルと回しながら押し込んでいかないといけません。
専用の工具もありますが、汎用の工具でも似たようなことはできます。
一番まずいのは、ピストンを回さずにただ押し込もうとウォーターポンププライヤーやシャックルバイスなどで押し込んでしまう事です。
OHした事がある方ならお分かりかと思いますが、ピストンは回しながらやらないと内部を破損します。
で、ただ回してもあまりよくないので、やるならゆっくり回して、当然の事ながらブレーキホースかエア抜きバルブを緩めてフルードを逃がしながらやると安心です。
組み終わったら、フルードを交換(エア抜きが完全にできるなら全交換までしなくても良いかと思われます。
車両の構造とブレーキ配管の取り回しに依存するので、不安ならエア抜きがてら、フルード全交換が安心だと思います。

田舎ですねぇ。
- このエントリーのカテゴリ : 車
ダダ流し式縦スクロールでお送りしております。
ただ、今回はちょっと浅いです。
画像が少ないので。
という訳で、サイドステップの修繕です。
症状的には、何年も前に急な坂道の折れ曲がり箇所で、十分外回りしたのですが、内側の下部を砂利の路面に押し付けてしまい、サイドステップが変形してしまったことが発端です。
取付けステーが変形して、隙間が空いてしまいました。
いつものパターンで、自分でできる事はサササッと、的な感覚で、ステーの変形を修正しつつ、破片の見つからない樹脂クリップ(経年劣化でずっと前からなくなっていたと思われる)無しでもピッタリボディとサイドステップの隙間をなくす加工を施しやり過ごしました。
で、かなりうまいこと言ったのでそのまま安心して使っていたのですが、滑って岩壁と激突して古傷に影響が出てしまいました。
今回のレストアの元凶はこのアクシデントで、左側の前から後ろまで、新しいラインが加わるという不本意なデザイナマイナーチェンジがあり、日本全国の解体屋さんから外装を集め、リアクォーターだけは信頼できる板金屋さんにお願いして修繕し、他はすべて自身で修復しました。
センターピラーが曲がっていたので、これも手持ちの材料と道具で修正してしまいました。
車体整備士資格が仕事以外で役に立つとは思わなかった。
変形の頻度によっては修復を諦めねばならないからです。
まぁギリギリのラインで復旧し、じーっくり見ないと前後のラインに左右差がある事に気付かないレベルになりました。
経験観測ですが、左右差は2ミリあるかないか。
1ミリ以内に収めたかったのですが、金属疲労も気になるし、補強するにしてもこの部分だけは溶接が必要になってくるので、我慢です。
ホント、気に入りませんが…。
で、フロントフェンダー、前後ドアをグチャグチャニなったやつと交換して、位置調整(チリ合わせというのが業界用語です)をしました。
で、車体自体の欠損問題から外装修復に関してひと段落付いたところで、サイドステップの取付忘れです。
恐らく、これが片方なくても車検には通るかもですが、なにせ、こればかりは車検場の検査員の胸先三寸です。
可能な限り突っ込みどころはなくしておきたいのです。
で、変形したサイドステップと取付けに必要な樹脂クリップを用意。
これまた「何故?」と思うほど高価。
仕方ないです。
本来の物とは全く違うものでごまかされて装着されていたことも分かったので、ここで正規品で更新する事にしました。

↑ ステーが曲がっています。
クルマの下にもぐっての修正は精度が出ないので、外してから行うのがベストです。

↑ 歪みが目視できます。
画像内で同じ樹脂クリップが本来の物のようにくっついているのですが、まがい物です。
以前のユーザーもサイドステップをブッ飛ばして修理したのでしょう…。
今回、私のこだわりでまともにします。

↑ この部分が湾曲し、ねじれも発生しているのです。
見た目では分かりにくいのですが、ナナメから透かして見る感じで面を見ると凸凹です。
で、加熱して変形箇所を修正していきます。
ヒーターブロアで加熱した方が丁寧なのですが、どこへしまい込んだのか分からなくなり、仕方なくガストーチを使用して焦げ発生覚悟で成形しました。
当然のことながら、加熱した部位は痩せてしまうので、補強を入れます。
画像がありませんが、ホームセンターで穴がいくつか空いた平ステーを内側からあてがい、3点のリベット止めで固定します。
外から見て見えないようになるようにリベット自体も厳選します。
重量が平ステーの分だけ増しますが致し方ありません。
ちなみにステーはステンレスはチョイスしません。
重いので、例え僅かでも鉄製でカチオン塗装の物を選び、取付け後にクリア塗料で覆います。
アルミは?
と思われるかもしれませんが、強度の影響で製品が分厚くなってしまうのです。
なので、鉄です。

↑ 湾曲してしまった部分がまっすぐになるようにします。
まっすぐにならないと、車体の取り付けた時に隙間ができてしまいます。

↑ パテを盛ります。
一般的にボディフィラーというものはどんなに厚くても3ミリくらいが限度です。
それ以上盛り付けて直す業者が多いのですが、私の経験上、「それはヘタクソか、センス無しか、やる気なし」な技術者です。
良い仕上がりが見込めない(将来的に沈み込みが出たり、サンドペーパーで付いた筋状の傷が多数出現します。
何事もそうですが、向上心のない人には、何もお願いしたくありません。
で、ボディフィラーの硬化に絶対的に必要なのは、硬化時間とその時の温度です。
50℃くらいで2時間以上がベストなのですが、一般家庭の室内では無理です。
夏ならば屋外。
冬ならばコタツが有益です。

↑ 夏だったので汗をダラダラかきながら作業です。
これもセンスなのですが、研磨してボディフィラーをちょうどいいところまで削り込んで調整していく訳ですがが。ボディフィラーの最大の特徴は、硬化すると縮むという点です。
故に、盛り込み暑さが3ミリ程度という理論な訳です。
3ミリ以下ならば、ボディフィラーの収縮が原因で剥がれ落ちる事は起きにくくなります。
勿論、樹脂バンパーなどにはプライマーを使用するのですが、私が使用したボディフィラーはプライマーが不要なタイプです。
高性能なのに、当時製造していたメーカーは他のメーカーに買収され、製品名も変わったのだそうです。
で、私の手法は、完全にボディフィラーが硬化してから削り込んでいきます。
荒い番手のサンドペーパーを平面をしっかり保てるあて木などを添えて、削り込んでいきます。ある程度まで進んだら番手を下げてます。
曲面には固めのスポンジをあて木代わりにそえてスポンジが変形しないように削り込んでいきます。
業者さんで急いで削って早く仕事を進めようとする技術者がいますが、これは逆効果で、特に鉄板に対するボディフィラー研削においては、その部分が過熱して母材のボディパネルが変形を起こし、温度が下がったところで歪みが生じるので、塗装後に「あれ? 歪んでる…。まぁ、素人には分からないか。」みたいな勝手な考え方で代金を請求してきます。
私はそれが嫌で、「修復」という概念から、左右は可能な限り同じように仕上げ、フロント周りに関してはチリ合わせに時間を割きました。
仕事が遅いと言われようと、なんであろうと、その車に乗るユーザーが恥ずかしい思いをするのが我慢ならなかったので休憩時間を惜しんで直しました。
お陰で、お客さんから修理の時に指名されるようになりました。
あまりない事なのだそうです。
これが原因で車内に居辛くなるという顛末で…。
そんな会社で頑張る事に絶望しました。
で、作業の話の続きです。
画像でお分かりかと思いますが、水研ぎ作業まで行ってしまいます。
何故、傷消しフィラーを塗って水研ぎするのか疑問だったのです。
結局、傷消しフィラーはウレタンボディフィラーとは強度も痩せ方も違うので、ほぼ100%サンディング跡が浮き出てきます。
なので、通常のボディフィラーの段階で水研ぎ処理をして面出しを済ませてしまいます。
こうする事で工程を一つ減らせますし、仕上がりの経年劣化を最小限にできますし、この上からサフェーサー処理に容易に移行できるので傷消しフィラーの水研ぎ作業をサフェーサーに充てることができるのです。
で、自身で今回できるのはここまでです。
設備を持ち合わせていないのと、塗料を揃えられないので、信頼できる板金塗装工場で塗装を依頼します。

↑ こんな感じです。
所々汚れが写っていますが、部屋の中のゴミがたまたま付いただけです。
ノンポリッシュ仕上げ(つや出しの磨き処理が要らないという腕前)ができるというところで意気投合して、いつも同じ業者さんでお願いしています。
リアクォーターも同じところにお願いしました。
という訳で、これ以上手を加える事なく装着作業です。
本来の樹脂クリップを、車体側にメス、サイドステップ側にオスを装着し、ブラケットステーはねじ止め、ボディとサイドステップ間に挟まるゴムライナーはPP材を接着できるような高性能接着剤でサイドステップ側にくっつけます。
前後の部分はビス止めです。
やはり、きちんと各部の一と形状を整えると、一発で形が決まるのです。
自動車を設計し、製造工程で成形する人たちの技術力の高さには脱帽です。

↑ ピッタリいくと気分がいいですね。
といった具合です。
同じ車種をお乗りの方は少ないかもしれません。
しかし、ほとんどの車両で用いる事のできる情報を提供できているかと思います。
ご自身で手を加えることに安心感、満足感、達成感を求める方のお役にたてれば光栄です。
ただし、全ての作業は自己責任でお願いいたします。
ちなみにですが、車検には無事に合格しました。

↑ もう水洗いしません。
濡れ雑巾で丹念に吹き上げて、気が向いたらワックスがけです。
天井の塗装が劣化してきたので、タイミングを見て塗装してもらいます。
今年で二十歳のクルマです。
2リッターなのに、燃費は14.0㎞/l 以上の不思議なクルマです。
まぁ、吸排気とオイル関係ではいろいろ手を加えてはいますが…。
まだやる事がある車両です。
皆様も、大事なクルマと快適な時間をお過ごしください。
2018年からは、40代から50代をターゲットにした、エコをそこそこ無視した素敵なクルマが各社からリリースされる模様です。
マニュアルトランスミッション車もラインアップに加わってきそうな気配です。
ただし、価格はそれなりに上がってくると思います。
日産でいうならば、NISMO ユーザーには失礼極まりないのですが、是非、AUTECH 使用への買い替えをご検討される事をオススメ致します。
私のクルマもそうですが、オーテックは腐ってもオーテックです。
NISMOは、腐ったら外国行きです。
最近は、非常に優れたレストア溶剤が手に入る時代です。
クルマは直せば乗れるのですが、ガソリン車の時代ではなくなっていきます。
事実無根と言われそうですが、人工化石燃料が実用化寸前でストップさせられているだとか、水だけで自動車を走らせることができるエンジンが既に開発済みであるにも関わらず、その研究データが隠匿されているなんていう情報もあります。
もしも、電動化によって環境破壊に深刻なダメージが発生しようものなら、即座にこれらの技術が公開され、古い車体でもエンジン載せ替えや、燃焼機構の僅かな改変で継続して使用できる法改正が進むかも知れません。
ここでは、あくまでも、「ちょっとした噂話」として記述しておくことにします。
それでは、今後もクルマ以外の記事も含め、時代に逆行(SNSを多用しない)ログ残しをしていく所存です。
どうぞ、お付き合いの程をお願い申し上げます。
ただ、今回はちょっと浅いです。
画像が少ないので。
という訳で、サイドステップの修繕です。
症状的には、何年も前に急な坂道の折れ曲がり箇所で、十分外回りしたのですが、内側の下部を砂利の路面に押し付けてしまい、サイドステップが変形してしまったことが発端です。
取付けステーが変形して、隙間が空いてしまいました。
いつものパターンで、自分でできる事はサササッと、的な感覚で、ステーの変形を修正しつつ、破片の見つからない樹脂クリップ(経年劣化でずっと前からなくなっていたと思われる)無しでもピッタリボディとサイドステップの隙間をなくす加工を施しやり過ごしました。
で、かなりうまいこと言ったのでそのまま安心して使っていたのですが、滑って岩壁と激突して古傷に影響が出てしまいました。
今回のレストアの元凶はこのアクシデントで、左側の前から後ろまで、新しいラインが加わるという不本意なデザイナマイナーチェンジがあり、日本全国の解体屋さんから外装を集め、リアクォーターだけは信頼できる板金屋さんにお願いして修繕し、他はすべて自身で修復しました。
センターピラーが曲がっていたので、これも手持ちの材料と道具で修正してしまいました。
車体整備士資格が仕事以外で役に立つとは思わなかった。
変形の頻度によっては修復を諦めねばならないからです。
まぁギリギリのラインで復旧し、じーっくり見ないと前後のラインに左右差がある事に気付かないレベルになりました。
経験観測ですが、左右差は2ミリあるかないか。
1ミリ以内に収めたかったのですが、金属疲労も気になるし、補強するにしてもこの部分だけは溶接が必要になってくるので、我慢です。
ホント、気に入りませんが…。
で、フロントフェンダー、前後ドアをグチャグチャニなったやつと交換して、位置調整(チリ合わせというのが業界用語です)をしました。
で、車体自体の欠損問題から外装修復に関してひと段落付いたところで、サイドステップの取付忘れです。
恐らく、これが片方なくても車検には通るかもですが、なにせ、こればかりは車検場の検査員の胸先三寸です。
可能な限り突っ込みどころはなくしておきたいのです。
で、変形したサイドステップと取付けに必要な樹脂クリップを用意。
これまた「何故?」と思うほど高価。
仕方ないです。
本来の物とは全く違うものでごまかされて装着されていたことも分かったので、ここで正規品で更新する事にしました。

↑ ステーが曲がっています。
クルマの下にもぐっての修正は精度が出ないので、外してから行うのがベストです。

↑ 歪みが目視できます。
画像内で同じ樹脂クリップが本来の物のようにくっついているのですが、まがい物です。
以前のユーザーもサイドステップをブッ飛ばして修理したのでしょう…。
今回、私のこだわりでまともにします。

↑ この部分が湾曲し、ねじれも発生しているのです。
見た目では分かりにくいのですが、ナナメから透かして見る感じで面を見ると凸凹です。
で、加熱して変形箇所を修正していきます。
ヒーターブロアで加熱した方が丁寧なのですが、どこへしまい込んだのか分からなくなり、仕方なくガストーチを使用して焦げ発生覚悟で成形しました。
当然のことながら、加熱した部位は痩せてしまうので、補強を入れます。
画像がありませんが、ホームセンターで穴がいくつか空いた平ステーを内側からあてがい、3点のリベット止めで固定します。
外から見て見えないようになるようにリベット自体も厳選します。
重量が平ステーの分だけ増しますが致し方ありません。
ちなみにステーはステンレスはチョイスしません。
重いので、例え僅かでも鉄製でカチオン塗装の物を選び、取付け後にクリア塗料で覆います。
アルミは?
と思われるかもしれませんが、強度の影響で製品が分厚くなってしまうのです。
なので、鉄です。

↑ 湾曲してしまった部分がまっすぐになるようにします。
まっすぐにならないと、車体の取り付けた時に隙間ができてしまいます。

↑ パテを盛ります。
一般的にボディフィラーというものはどんなに厚くても3ミリくらいが限度です。
それ以上盛り付けて直す業者が多いのですが、私の経験上、「それはヘタクソか、センス無しか、やる気なし」な技術者です。
良い仕上がりが見込めない(将来的に沈み込みが出たり、サンドペーパーで付いた筋状の傷が多数出現します。
何事もそうですが、向上心のない人には、何もお願いしたくありません。
で、ボディフィラーの硬化に絶対的に必要なのは、硬化時間とその時の温度です。
50℃くらいで2時間以上がベストなのですが、一般家庭の室内では無理です。
夏ならば屋外。
冬ならばコタツが有益です。

↑ 夏だったので汗をダラダラかきながら作業です。
これもセンスなのですが、研磨してボディフィラーをちょうどいいところまで削り込んで調整していく訳ですがが。ボディフィラーの最大の特徴は、硬化すると縮むという点です。
故に、盛り込み暑さが3ミリ程度という理論な訳です。
3ミリ以下ならば、ボディフィラーの収縮が原因で剥がれ落ちる事は起きにくくなります。
勿論、樹脂バンパーなどにはプライマーを使用するのですが、私が使用したボディフィラーはプライマーが不要なタイプです。
高性能なのに、当時製造していたメーカーは他のメーカーに買収され、製品名も変わったのだそうです。
で、私の手法は、完全にボディフィラーが硬化してから削り込んでいきます。
荒い番手のサンドペーパーを平面をしっかり保てるあて木などを添えて、削り込んでいきます。ある程度まで進んだら番手を下げてます。
曲面には固めのスポンジをあて木代わりにそえてスポンジが変形しないように削り込んでいきます。
業者さんで急いで削って早く仕事を進めようとする技術者がいますが、これは逆効果で、特に鉄板に対するボディフィラー研削においては、その部分が過熱して母材のボディパネルが変形を起こし、温度が下がったところで歪みが生じるので、塗装後に「あれ? 歪んでる…。まぁ、素人には分からないか。」みたいな勝手な考え方で代金を請求してきます。
私はそれが嫌で、「修復」という概念から、左右は可能な限り同じように仕上げ、フロント周りに関してはチリ合わせに時間を割きました。
仕事が遅いと言われようと、なんであろうと、その車に乗るユーザーが恥ずかしい思いをするのが我慢ならなかったので休憩時間を惜しんで直しました。
お陰で、お客さんから修理の時に指名されるようになりました。
あまりない事なのだそうです。
これが原因で車内に居辛くなるという顛末で…。
そんな会社で頑張る事に絶望しました。
で、作業の話の続きです。
画像でお分かりかと思いますが、水研ぎ作業まで行ってしまいます。
何故、傷消しフィラーを塗って水研ぎするのか疑問だったのです。
結局、傷消しフィラーはウレタンボディフィラーとは強度も痩せ方も違うので、ほぼ100%サンディング跡が浮き出てきます。
なので、通常のボディフィラーの段階で水研ぎ処理をして面出しを済ませてしまいます。
こうする事で工程を一つ減らせますし、仕上がりの経年劣化を最小限にできますし、この上からサフェーサー処理に容易に移行できるので傷消しフィラーの水研ぎ作業をサフェーサーに充てることができるのです。
で、自身で今回できるのはここまでです。
設備を持ち合わせていないのと、塗料を揃えられないので、信頼できる板金塗装工場で塗装を依頼します。

↑ こんな感じです。
所々汚れが写っていますが、部屋の中のゴミがたまたま付いただけです。
ノンポリッシュ仕上げ(つや出しの磨き処理が要らないという腕前)ができるというところで意気投合して、いつも同じ業者さんでお願いしています。
リアクォーターも同じところにお願いしました。
という訳で、これ以上手を加える事なく装着作業です。
本来の樹脂クリップを、車体側にメス、サイドステップ側にオスを装着し、ブラケットステーはねじ止め、ボディとサイドステップ間に挟まるゴムライナーはPP材を接着できるような高性能接着剤でサイドステップ側にくっつけます。
前後の部分はビス止めです。
やはり、きちんと各部の一と形状を整えると、一発で形が決まるのです。
自動車を設計し、製造工程で成形する人たちの技術力の高さには脱帽です。

↑ ピッタリいくと気分がいいですね。
といった具合です。
同じ車種をお乗りの方は少ないかもしれません。
しかし、ほとんどの車両で用いる事のできる情報を提供できているかと思います。
ご自身で手を加えることに安心感、満足感、達成感を求める方のお役にたてれば光栄です。
ただし、全ての作業は自己責任でお願いいたします。
ちなみにですが、車検には無事に合格しました。

↑ もう水洗いしません。
濡れ雑巾で丹念に吹き上げて、気が向いたらワックスがけです。
天井の塗装が劣化してきたので、タイミングを見て塗装してもらいます。
今年で二十歳のクルマです。
2リッターなのに、燃費は14.0㎞/l 以上の不思議なクルマです。
まぁ、吸排気とオイル関係ではいろいろ手を加えてはいますが…。
まだやる事がある車両です。
皆様も、大事なクルマと快適な時間をお過ごしください。
2018年からは、40代から50代をターゲットにした、エコをそこそこ無視した素敵なクルマが各社からリリースされる模様です。
マニュアルトランスミッション車もラインアップに加わってきそうな気配です。
ただし、価格はそれなりに上がってくると思います。
日産でいうならば、NISMO ユーザーには失礼極まりないのですが、是非、AUTECH 使用への買い替えをご検討される事をオススメ致します。
私のクルマもそうですが、オーテックは腐ってもオーテックです。
NISMOは、腐ったら外国行きです。
最近は、非常に優れたレストア溶剤が手に入る時代です。
クルマは直せば乗れるのですが、ガソリン車の時代ではなくなっていきます。
事実無根と言われそうですが、人工化石燃料が実用化寸前でストップさせられているだとか、水だけで自動車を走らせることができるエンジンが既に開発済みであるにも関わらず、その研究データが隠匿されているなんていう情報もあります。
もしも、電動化によって環境破壊に深刻なダメージが発生しようものなら、即座にこれらの技術が公開され、古い車体でもエンジン載せ替えや、燃焼機構の僅かな改変で継続して使用できる法改正が進むかも知れません。
ここでは、あくまでも、「ちょっとした噂話」として記述しておくことにします。
それでは、今後もクルマ以外の記事も含め、時代に逆行(SNSを多用しない)ログ残しをしていく所存です。
どうぞ、お付き合いの程をお願い申し上げます。
- このエントリーのカテゴリ : 車
同時にやらなければならない事があると、日を分けて作業できない場合などはあれこれと思案しなければなりません。
(記事更新とは関係ないです。ルースなだけです。多分…。)
で、ブレーキに関する問題です。
このNISSAN WHNP11 の最大の泣き所は、まず、不人気者であまり売れなかった事。
セダン P11系に関しては、海外販売車において、みょうちくりんなマイナーチェンジまで行われ、更にマズい展開になってしまった残念な売れっぷりだったようです。
たしか、「アルメーラ」という名称だったかと思いますが、あのパーツを逆輸入して装備しているクルマを国内で私自身は見たことがありません。
どうでもいい話はさておきで、売れなかったクルマのパーツを保管している余裕はメーカーにはなく、生産終了後からの規定の年数を超越してからは、どんどんとパーツには保管料が加算されていく仕組みです。
前記事のショックアブソーバーなんか、典型的な例です。
で、今回のブレーキキャリパーのネタです。
4WD仕様のP11系プリメーラのリアブレーキは、車軸に対して前寄りに傾倒した位置にレイアウトされています。
しかも、ハンドブレーキ(日本ではサイドブレーキと呼ばれます)の機能が付加されている構造です。
他車種からの流用移植を考え、あれこれと探ってみましたが、適合する車種は同じプラットフォームを持つ同時期のブルーバード(これも売れなかった)しかなく、キャリパーのキャリア自体が装着でき、ローターとの位置関係が抜群なものはいくつかありましたが、全てハンドブレーキ機構のないものばかりで、構造変更申請を行わないと車検に通りません。
おまけに、ハンドブレーキの機能を付加させる改造が必要になるかと思います。
最近のリアブレーキキャリパーは、走行用の制動はディスクブレーキで、駐車用のブレーキはインナードラム方式で行っているため、ディスクブレーキキャリパーの構造は、ブレーキピストンのみでOKなのです。
故に、どうしようもない。
新品を購入しようと(もちろんASSY…、アッセンブリの意味です)価格調査をしましたが、片方で2017年現在で¥22000.- 越え。消費税別。
左右交換しようと思ったら、道に倒れて誰かの名前を呼んでしまいたくなる心境に陥ります。
そこで、このブログの過去記事に立ち返り、「次に不具合が出らたフルOH 「オーバーホールだな」と宣言しているので、OHで対応します。
そこらの自動車整備事業者の技術者は、資格はあっても、OHなんて面倒なことはしません。
時間当たりの工賃と利益が折り合わないので、新品部品でアッセンブリ交換を押してきます。
それじゃあ、部品交換やさんだろ…。
簡単だし、時間は短時間で済むし、お金も儲かる。
ちょっと意地悪して、別のクルマでOHをやってもらった事があります(別車種)が、あっという間にキャリパーロック。
どうやって組んだらそうなるの?
中古部品より品質が悪い。
そこで、金属表面処理の知識を利用して、動作に余計な抵抗や異常な動きが加わらないように配慮しながら作業できる環境を模索したところ、結局、自分でやるしかないという結論に達し、さっさと部品を注文する事にしました。
ここまで画像がありませんが、ここからが画像オンパレードです。
ご安心(?)下さい。
そこらの業者のOH方法と異なりますのですが、これなら新品同様に復活でできるかと思います。
全てにパーツに補強処理を行います。
普段使わない道具として、大きな鍋を使いますし、いくつかのケミカル商品をっ使用します。
では、画像スタートです。

↑ 取り外したキャリパー本体です。
片方は先にロックしたので中古品で補いましたが、2週間という短命でした。
で、左右の元々の物をバラしていきます。

↑ハンドブレーキ機能を担うレバー類です。

↑ 見るからに編摩耗しています。

↑ ローターがドーナツ風に摩耗しています。
これはキャリパーピストンにガタが出ている事で、パッドが制動時にしーそー状態になり。パッドの中心付近が山状に残り、端が減っていくという現象です。
日産のディーラーの古株の方に聞くと、原因はローターに発生した錆が原因であるケースが多く、雨天走行時や洗車時に完全に乾燥させずに駐車場に置きっぱなしであったり、長時間駐車したままで、サビサビのローターのままで走行開始をするとなりやすいう情報でした。
自動車はマメに動かしておかないと思わぬトラブルに陥るという事です。
私のWHNP11は、前回の車検で、既定の制動力をギリギリクリアしていたのでセーフでしたが、次回は何らかの手を講じた方が良いとのアドバイスを受けました。
で、こうなった訳です。
私のポリシーとして、車検業務にあたる作業者が気分よく検査ができるように整備しておく事のが基本なので、車検前は神経を使います。
では、画像で目白押しで行きましょう。

↑ 酷い状態です。
ダストブーツは硬化しています。
ピストン抗状錆で陥没している筈です。
前回のOHの時に確認済みです。

↑ キャリパー本体にも錆が回っています。

↑ サイドブレーキ用のパーツ類もバラします。

↑ キャリパーボディは錆びを可能な限り落としてしまいます。
細かいところはケミカル対応で対処します。

↑ 室内で作業します。
単に寒いから…、ではなく、ピストン交換を伴うので、掃除機をかけまくって埃の少ない環境を構築した部屋で行いたいからです。

↑ オーバーホールキットです。ただし、これは正確な適性パーツではありませんでした。
注意しなければならないのは、今回私が迷惑を被ったがお話を。
ネットで型式指定で、棒、〇天市場のショップから購入したのですが、部品が間違っていました。
何度も部品が合わないという旨を伝えたのですが、
「車両型式の表示がオーバーホールキットのラベルになくても使用可能です。」
の一点張り。
で、実際のピストンと、元々付いていたシールリングと、購入したシールリングを並べた画像を送信。
すると、そこで初めて製造番号やら類別区分番号を聞いてきました。
全て記憶している私は、即座に返信。
翌日になって、
「その製品はオーテック用ではないので適合しません。よろしくお願いします。」
という文面が返ってきた。
「宜しく」
ってなに???
この悪徳なショップ名を記載しても良いのですが、いずれ淘汰されていく事だろうと思うので控えます。
どうしても知りたいお仰る方は、インチキパーツが送られてい来ることを覚悟で発注するという条件でお教えします(笑)。
おバカ相手に時間を割くのも面倒だし、どうせ保証する気のないショップに構っていつ商品が届くのかも分からないのは我慢がならないので、定価販売ですが、近所の自動車部品商から適切なものを購入し、すんなりと作業を進める事ができました。
自動車部品を購入する際に、その車両の型式、製造番号、類別区分番号などを聞いてこないショップからは絶対に商品を購入しない事です。
さて、ブレーキキャリパーのオーバーホールキット。
これがないと何もできません。
存在していてよかったです。
ちなみに、日産部品に特化しているPITWORK では、この車両のオーバーホールキットは製造修了で対応していないそうです。
そして、話は元へ戻ります。
シール類などは当たり前の事ですが、一度外した部品は基本的に再利用しない方が得策です。
では、ピストンを外します。

↑ 新品ピストンは、内側の複数のスプリングなどが最初から組み込み済みです。
少し横道に逸れます。
適合性がありそうな、ハンドブレーキ機構付きのキャリパーを中古で取り寄せてみました。
A33 セフィーロの物ですが、キャリパーの装着部位の相違は承知の上でしたが、エア抜きバルブを上にする事を考慮すると、左右逆になり、ハンドブレーキワイヤーの引っ張られる方向が180度逆になるのと、方向が更にあらぬ方向へ向いてしまうので、加工が必要になります。
で、ここで重要なのは、強度計算書です。
キャリパーに加工を加えるので、危ない橋を渡る事になりますし、適した補器パーツが手に入るのかどうかが分からない。
中古でありとあらゆるキャリパーを集めてみないとどうとも言えません。
そして、注目すべきはピストンシリンダーの径サイズの違いです。
FF仕様のリアディスクにも装備できません。
方向は会うのですが、ネックはハンドブレーキ機構が諸悪の根源です。
レバーの設計上の位置が無理のかかる向きになっているので、これまた補器類の追加工が必要になります。

↑ 太さが違います。
僅かですが、細い方が押し出し圧力は弱くなります。
FFのものと共通(?)なのかも知れませんが、調べる余裕がないので割愛します。

↑ いずれにしても、錆が回っています。
流用できたとしてもこの個体は捨てます。

↑ 新品は、これ1個で¥8000-. くらいです。
でも、旧品を見ると、新品を使いたくなりますよね(笑)。

↑ 実にいろいろなものが詰まっています。
考えた人は凄いですね。

↑ 目を反らしてはいけません!
これがキャリパー本体内部の惨状です。
これらの錆を除去してどうにかしないと後がありません。
最悪、クソ高い新品ASSYを購入する羽目に遭います。

↑ 錆があったとしても、微かなものだと思われるので、後程ケミカル対応します。

↑ 更に奥の部分です。
黄色く変色したブレーキフルードが出てきました。
前回OHから何年経過したのか忘れましたが、ブレーキフルードはマメに好感した方が良いという事ですね。

↑ 外したパーツは紛失しないように気を付けましょう。

↑ 冬の融雪剤の影響が大きいですね。
この錆もバッチリ落としていきます。

↑ 一般家庭で行う脱脂作業です。
詳しい事は後程。

↑ 一般家庭で行う脱脂作業です。
後程に…。

↑ はぁ…?
出はご説明を。
これは、金属表面処理業で利用される脱脂作業の一種です。
一般的に手に入る油落としやパーツクリーナーでは不十分なので、苛性ソーダの水溶液を作り、80度前後でグツグツグツグツと煮込みます。
アルカリ性(最近では塩基性という表現に代わりましたね)なので、鉄製品が錆びる事はありません。苛性ソーダの濃度にもよりますが。
薬品自体はドラッグストアや薬局で購入できます。
シャチハタではない印鑑と身分証明書を持って、用途は「石鹸を作ります」の方が、「油脂の分解」という購入目的申告よりスムースです。
ちなみに、今回は利用しませんが。無水アルコールは「電子部品の洗浄」で十分です。
で、アルカリ成分の強い水溶液を使用しますので、必ず手袋を装着して直接薬品が手につかないように注意してください。
薬品火傷は治りが悪い上に、跡が残りやすいです。
万が一ついてしまった場合は、最低15分以上の流水による洗浄を行い、上体に応じて医師の診察を受けてください。
油脂類の他に、スラッジが付いているので、これらはワイヤブラシを利用して落としてしまいます。
ここからは忙しい作業です。
錆びは取れませんので、スクレーパーやマイナスドライバー、そしてケミカル製品を使用して錆を除去していきます。

↑ 結構使えます。
不要になった歯ブラシなどを使用すると楽ちんです。
シリンダーの中の溝は、ドライバーなどで粗削りで錆を除去してから使うと仕事が早いです。

↑ それでは大急ぎモードです。
いくらアルカリ水溶液に浸漬したからと言っても、そこから出して乾燥すると鉄分は錆び始めます。
酷い錆を徹底的に落として、その間にうっすらと錆びてしまったところを一気に歯ブラシでなぞって、再び苛性ソーダ水溶液へ戻します。
注意点は、必ず水洗をしてから戻すという事です。
せっかくのアルカリ成分が酸性物質で中和されてしまっては良からぬ事しか起きません。

↑ ワイヤーブラシも効果的です。
薬品がブラシで飛散しますので注意してください。

↑ とにかく手早く、でも丁寧に作業します。

↑ 手でドリルを突っ込んでいますが、分かりやすく位置を説明しているだけです。
バルブのネジ山を削ってしまわないサイズのドリルと、最終的にシリンダーへオイルが入っていく細い穴の錆を落とすために微妙なオーバーサイズを試みます。
作業は電動ドリルを使用します。
角度に気を付けないとバルブがまともに作用しなくなってしまいます。
ボール盤がある方はボール盤を利用された方が無難でしょう。

↑ 忙しいです。錆が発生し始めています。
まぁ、これは先ほどの薬品を最後に仕上げで塗って綺麗にします。

↑ その他の細かいものも脱脂します。
で、肝心な薬品の画像を載せ忘れているのですが、イギリス製の鉄類の鏡面処理薬品を使用して四三酸化鉄処理を行います。
いわゆる「黒錆処理」です。
数ありますが、モデルガンのマニアでは知られた薬品で、青色のパッケージの小瓶です。
ネットで購入できます。
上手くいくと真っ黒に仕上がります。
モデルガンマニアでうまくいかない人は、金属の前処理がきちんとしていない場合が多く、脱脂と、酸による活性化処理が抜け落ちているのです。
今回は錆落としの酸があったので、それを前処理用として代用しました。

↑ 黒いシャフトとワッシャーとスペーサー類が処理品です。
それ以外の部品は材質が鉄ではない(亜鉛メッキ処理品なども鉄ではないと判断してより分けます)ので、迂闊に四三酸化鉄処理を行うと、薬品が一瞬でダメになってしまいます。
仕上がりもおかしくなります。
なので、ステンレスや亜鉛メッキ製品は除外し、脱脂して、スラッジがあれば地の鉄が出ないように注意しながら落としておきます。
で、ここでも大切なのが水洗作業です。
長すぎてはいけませんが、水道水の場合は、塩素の含有量によっては鉄が侵されるので、流水で丁寧に洗浄してからタオル等で水分を拭き、乾燥させたと同時にCRCなどを塗布してから軽く吹き上げてしまいます。
本式の金属表面処理業者への依頼作業でも、黒錆処理品は油だらけになって帰ってきます。
要は、鉄の金属表面処理の中では比較的錆びやすい処理といえます。
なので、キャリパーが組み合がったら再度脱脂(今度はパーツクリーナーでOK)し塗装をすることで対処します。
常に油脂に浸っている部分のパーツは塗装に必要はありません。

↑ 錆除去が終わったら四三酸化鉄処理を行います。
真っ黒になったら成功です。
処理後に触りまくるとせっかくの被膜が取れて意味がなくなってしまいますので、触れる頻度は最小限にしましょう。

↑ 苛性ソーダの強めの水溶液に浸漬しています。
この後、水洗し乾燥し、次の工程へダッシュです。

↑ 塗装前準備です。
塗装はシリンダーなどの穴の中に塗料が入り込んでしまう事を絶対に避けるようにマスキングします。
塗料は何でもいいという人もいますが、そんな訳にはいかないので、最低でも耐熱塗料で「仕上げ」を行います。
下地処理は、錆止め塗料を使います。
製品の成分表示で確認すると良いのですが、亜鉛とアルミが大量に含有されているもので「防錆」の表記があるもので、なるべく値崩れしていないものを選ぶと安心です。
私は、「ローバル」の被膜の厚塗りができるものを選びました。
若干被膜が柔らかいのですが、電蝕が起きないように設計されている優れた商品です。
その上から耐熱塗料を吹き付けました。

↑ シリンダー内部の錆発生を抑えるために、ワコーケミカルのラスペネを薄く塗布しています。
画像にありませんが、ハンドブレーキのレバーシャフトの軸受けのニードルベアリングが錆びていたので、これも錆落とし材を使いつつ、何度も指を突っ込んでグルグル回して錆を落としました。

↑ これらを組み込んでいきます。

↑ 直接パーツを押すと歪んでしまうので、大き目なナットなどを利用しつつ、アイデア勝負で行います。
専用工具をお持ちの方はそんな心配は要りません。
あくまでも、私の場合はケチケチ作業ですから。
で、この状態でサークリップをはめて固定します。
狭いのでホームセンターにて購入した専用工具を加工して先端を細くしたものを使いました。

↑ 第一段階終了です。
次は肝心要のピストンを装着します。

↑ 新品のピストン。
過去の日産車で、名立たる車種の物との共用パーツのようです。
レパード J-FERRY とかの記載があったと思います。
正しいOHキットの情報は、後程、時間ができ次第記述します。(いつになる事やらですが)

↑ グリスはOHキットに2種類付いてきます。
ただ、整備士によってまちまちですが、
「そんなグリス使わなくてもブレーキフルードでOK」
なんて言う人もいます。
主にバイク整備をやっている方に多いです。
バイクメーカー発行の修理手順書に、そんな修理方法が書かれているからです。
さて、自動車の場合はどうでしょう。
車重、制動時の発熱量、その時のパッドのズレによるピストンの傾きやかかる圧力などを考えると、少し粘度のあるグリスで補完してあげた方が良いのではなかろうか? という自分勝手な推論で、少々お高いキャリパーピストン用のグリスを小分け売りしているあから購入し、それを使用しました。
OHキットに同梱のグリスでもよいのでしょうが、明らかにそれとお高いグリスは雰囲気が違ったので、粘り気のあるお高いヤツで組んでみました。

↑ 埃やゴミが入らないように、注意深く回しながらピストンを押し込んでいきます。
この方式のキャリパーは、ピストンを回転させる事で押し込んでいく事ができます。
えー、画像を見てお分かりの通り、工具の正しくない使用方法で作業しています…。
でも、うまい事はまるし、傷もつけずに回せました。

↑ ダストブーツをキャリパーボディとピストンで挟み込んで切ってしまわないように注意します。
ここまで来てブーツをちぎってしまっては元も子もありません。
ここは我慢して素手で作業した方が間違いありません。
ヘタに金属製の工具を使ってブーツをはめようとすると傷をつけてしまいます。
しっかりとグリスを塗ってあれば(量ではなく、まんべんなく薄くです)、ブーツはすんなり収まってくれます。

↑ ハンドブレーキ用のレバーに関係した部品です。

↑ あらかじめローバルで塗装しておいたパーツを組みます。
左右間違えないように組まないと、やり直しになるので注意です。
ちなみに、バネの内側にあるナットですが、亜鉛メッキなので四三酸化鉄処理は行っていません。
しかも、このパーツは六価クロメートという亜鉛メッキ処理で錆びにくいのです。
黄色と緑色の虹のように光るので分かりやすいです。
で、この処理方法ですが、法律で規制されていて、年々製造されなくなってきています。
最近は、三価クロメートといって、少し青白い色をした亜鉛メッキが主流です。
問題点は、六価に比べてとても錆びやすいという点です。
なので、三価クロメート処理の亜鉛メッキ製品は、上から塗装をするなどして保護しないと短命に終わります。
オフィス機器は殆ど三価クロメートですが、屋内使用なので塗装はされていません。
横道にだいぶ逸れました。
いつもの事です。

↑ スライドピンガイドを組み込みます。
差し込むだけです。
これが編摩耗していると、キャリパー本体が傾き、最終的にローター編摩耗へつながります。
幸い、今回の補修では、中古で取り寄せたA33セフィーロのキャリパーの状態が良かったので、キャリアごとそのまま流用しました。
勿論、スライドピンガイドは一度取り外して脱脂処理をしてあります。

↑ ガイド組込後のキャリアです。
左右で対称のように見えます。
しかし、キャリア本体はどっちでもOKのようで、スライドピンガイドがローターの回転方向に対してどちら側につくのかだけが問題なだけです。

↑ だんだんと揃ってきました。
パッドを抑える金具はステンレスですので、余計なことはせず、脱脂の後に磨き上げました。
パッドの金属プレート側に添える薄いプレートは、元々樹脂の被膜が塗装されていましたが、経年劣化でボロボロに剥がれていたので、脱脂処理をしながら全て除去し、代わりにローバル塗装を行いました。
これらを車両側へ取り付けます。

↑ ローターは編摩耗していたので、新品に交換です。
摩耗の仕方は、この記事をスクロールアップ(ずーっと)していくとありますが、内側と外側の間の部分が盛り上がったような減り方をしていました。
パッドがシーソーののように(前後ではなく上下に)振れていた事が原因です。
ひとえにピストンがガタついていたという事です。
そのガタつきの原因がどこにあるかには所説あります。
ローターに付着していた錆が思わぬ状態でパッドなどに堆積し、少しづつ編摩耗を引き起こす傾斜を形成するだとか、キャリパーのピストンが変形(錆などで肉薄になり受ける油圧で変形すると考える)するとガタつきを生じやすいだとか。
あとは、ハズレに当たったというもの。
新車でも、半年と経たないうちにローターが編摩耗するケースがあるので、どれが正しいのかは分かりません。

↑ キャリアーを取り付けます。
パッド用の金具もくっつけます。
そこへパッドをはめ込みます。

↑ こんな感じです。
ちなみに、これはセフィーロのパッドです。
本来なら新しいパッドに交換するのが常識です。
なので、車検取得したらパッドを交換します。
既定の制動力が得られれば、編摩耗でも車検はパスします。
ただし、そのままだとブレーキが壊れる原因になりますので、メンテナンスは必須です。

↑ キャリパー本体を取り付けます。
あとは、ブレーキホースを接続して、ブレーキフルードを足しながらエア抜きです。
2人いると楽ちんにできるエア抜きですが、逆止弁付きのウインドウォッシャーようのチューブがあると、1人でも容易に確実なエア抜きができます。
画像を、暇ができ次第アップしますが、税込みで400円でおつりがくる代物が専用工具として販売されています。
オイルキャッチタンクが付いているものは桁が違う値段で販売されています。
どうせオイル廃棄用のホームセンターで売っている箱に集めるので、タンクは不要です。
チューブの先端を箱の中に入れておけばOKです。
エンジンをかけて、ゆっくりとブレーキを踏んで、ブレーキパイプ内部に細かい気泡が発生しないようにエアーを追い出します。
ブレーキフルードが出始めたら、少しブレーキを踏む速度を速めます。
この時、マスターシリンダーの中のオイル量に注意しながら、うっかりエアーを吸い込まないようにブレーキフルードを足しながら行います。
ちなみに、今回はクラッチのオイル交換も行いました。
黄色く変色したクラッチのオイル(ブレーキフルードが使われています)が綺麗なものに変わりました。
これで車検に行かれます…。
??
あ、そうだ。
サイドステップがまだくっついていないじゃありませんか。
補修中で家の中に放置したままでした。
という訳で…。
続く。
(記事更新とは関係ないです。ルースなだけです。多分…。)
で、ブレーキに関する問題です。
このNISSAN WHNP11 の最大の泣き所は、まず、不人気者であまり売れなかった事。
セダン P11系に関しては、海外販売車において、みょうちくりんなマイナーチェンジまで行われ、更にマズい展開になってしまった残念な売れっぷりだったようです。
たしか、「アルメーラ」という名称だったかと思いますが、あのパーツを逆輸入して装備しているクルマを国内で私自身は見たことがありません。
どうでもいい話はさておきで、売れなかったクルマのパーツを保管している余裕はメーカーにはなく、生産終了後からの規定の年数を超越してからは、どんどんとパーツには保管料が加算されていく仕組みです。
前記事のショックアブソーバーなんか、典型的な例です。
で、今回のブレーキキャリパーのネタです。
4WD仕様のP11系プリメーラのリアブレーキは、車軸に対して前寄りに傾倒した位置にレイアウトされています。
しかも、ハンドブレーキ(日本ではサイドブレーキと呼ばれます)の機能が付加されている構造です。
他車種からの流用移植を考え、あれこれと探ってみましたが、適合する車種は同じプラットフォームを持つ同時期のブルーバード(これも売れなかった)しかなく、キャリパーのキャリア自体が装着でき、ローターとの位置関係が抜群なものはいくつかありましたが、全てハンドブレーキ機構のないものばかりで、構造変更申請を行わないと車検に通りません。
おまけに、ハンドブレーキの機能を付加させる改造が必要になるかと思います。
最近のリアブレーキキャリパーは、走行用の制動はディスクブレーキで、駐車用のブレーキはインナードラム方式で行っているため、ディスクブレーキキャリパーの構造は、ブレーキピストンのみでOKなのです。
故に、どうしようもない。
新品を購入しようと(もちろんASSY…、アッセンブリの意味です)価格調査をしましたが、片方で2017年現在で¥22000.- 越え。消費税別。
左右交換しようと思ったら、道に倒れて誰かの名前を呼んでしまいたくなる心境に陥ります。
そこで、このブログの過去記事に立ち返り、「次に不具合が出らたフルOH 「オーバーホールだな」と宣言しているので、OHで対応します。
そこらの自動車整備事業者の技術者は、資格はあっても、OHなんて面倒なことはしません。
時間当たりの工賃と利益が折り合わないので、新品部品でアッセンブリ交換を押してきます。
それじゃあ、部品交換やさんだろ…。
簡単だし、時間は短時間で済むし、お金も儲かる。
ちょっと意地悪して、別のクルマでOHをやってもらった事があります(別車種)が、あっという間にキャリパーロック。
どうやって組んだらそうなるの?
中古部品より品質が悪い。
そこで、金属表面処理の知識を利用して、動作に余計な抵抗や異常な動きが加わらないように配慮しながら作業できる環境を模索したところ、結局、自分でやるしかないという結論に達し、さっさと部品を注文する事にしました。
ここまで画像がありませんが、ここからが画像オンパレードです。
ご安心(?)下さい。
そこらの業者のOH方法と異なりますのですが、これなら新品同様に復活でできるかと思います。
全てにパーツに補強処理を行います。
普段使わない道具として、大きな鍋を使いますし、いくつかのケミカル商品をっ使用します。
では、画像スタートです。

↑ 取り外したキャリパー本体です。
片方は先にロックしたので中古品で補いましたが、2週間という短命でした。
で、左右の元々の物をバラしていきます。

↑ハンドブレーキ機能を担うレバー類です。

↑ 見るからに編摩耗しています。

↑ ローターがドーナツ風に摩耗しています。
これはキャリパーピストンにガタが出ている事で、パッドが制動時にしーそー状態になり。パッドの中心付近が山状に残り、端が減っていくという現象です。
日産のディーラーの古株の方に聞くと、原因はローターに発生した錆が原因であるケースが多く、雨天走行時や洗車時に完全に乾燥させずに駐車場に置きっぱなしであったり、長時間駐車したままで、サビサビのローターのままで走行開始をするとなりやすいう情報でした。
自動車はマメに動かしておかないと思わぬトラブルに陥るという事です。
私のWHNP11は、前回の車検で、既定の制動力をギリギリクリアしていたのでセーフでしたが、次回は何らかの手を講じた方が良いとのアドバイスを受けました。
で、こうなった訳です。
私のポリシーとして、車検業務にあたる作業者が気分よく検査ができるように整備しておく事のが基本なので、車検前は神経を使います。
では、画像で目白押しで行きましょう。

↑ 酷い状態です。
ダストブーツは硬化しています。
ピストン抗状錆で陥没している筈です。
前回のOHの時に確認済みです。

↑ キャリパー本体にも錆が回っています。

↑ サイドブレーキ用のパーツ類もバラします。

↑ キャリパーボディは錆びを可能な限り落としてしまいます。
細かいところはケミカル対応で対処します。

↑ 室内で作業します。
単に寒いから…、ではなく、ピストン交換を伴うので、掃除機をかけまくって埃の少ない環境を構築した部屋で行いたいからです。

↑ オーバーホールキットです。ただし、これは正確な適性パーツではありませんでした。
注意しなければならないのは、今回私が迷惑を被ったがお話を。
ネットで型式指定で、棒、〇天市場のショップから購入したのですが、部品が間違っていました。
何度も部品が合わないという旨を伝えたのですが、
「車両型式の表示がオーバーホールキットのラベルになくても使用可能です。」
の一点張り。
で、実際のピストンと、元々付いていたシールリングと、購入したシールリングを並べた画像を送信。
すると、そこで初めて製造番号やら類別区分番号を聞いてきました。
全て記憶している私は、即座に返信。
翌日になって、
「その製品はオーテック用ではないので適合しません。よろしくお願いします。」
という文面が返ってきた。
「宜しく」
ってなに???
この悪徳なショップ名を記載しても良いのですが、いずれ淘汰されていく事だろうと思うので控えます。
どうしても知りたいお仰る方は、インチキパーツが送られてい来ることを覚悟で発注するという条件でお教えします(笑)。
おバカ相手に時間を割くのも面倒だし、どうせ保証する気のないショップに構っていつ商品が届くのかも分からないのは我慢がならないので、定価販売ですが、近所の自動車部品商から適切なものを購入し、すんなりと作業を進める事ができました。
自動車部品を購入する際に、その車両の型式、製造番号、類別区分番号などを聞いてこないショップからは絶対に商品を購入しない事です。
さて、ブレーキキャリパーのオーバーホールキット。
これがないと何もできません。
存在していてよかったです。
ちなみに、日産部品に特化しているPITWORK では、この車両のオーバーホールキットは製造修了で対応していないそうです。
そして、話は元へ戻ります。
シール類などは当たり前の事ですが、一度外した部品は基本的に再利用しない方が得策です。
では、ピストンを外します。

↑ 新品ピストンは、内側の複数のスプリングなどが最初から組み込み済みです。
少し横道に逸れます。
適合性がありそうな、ハンドブレーキ機構付きのキャリパーを中古で取り寄せてみました。
A33 セフィーロの物ですが、キャリパーの装着部位の相違は承知の上でしたが、エア抜きバルブを上にする事を考慮すると、左右逆になり、ハンドブレーキワイヤーの引っ張られる方向が180度逆になるのと、方向が更にあらぬ方向へ向いてしまうので、加工が必要になります。
で、ここで重要なのは、強度計算書です。
キャリパーに加工を加えるので、危ない橋を渡る事になりますし、適した補器パーツが手に入るのかどうかが分からない。
中古でありとあらゆるキャリパーを集めてみないとどうとも言えません。
そして、注目すべきはピストンシリンダーの径サイズの違いです。
FF仕様のリアディスクにも装備できません。
方向は会うのですが、ネックはハンドブレーキ機構が諸悪の根源です。
レバーの設計上の位置が無理のかかる向きになっているので、これまた補器類の追加工が必要になります。

↑ 太さが違います。
僅かですが、細い方が押し出し圧力は弱くなります。
FFのものと共通(?)なのかも知れませんが、調べる余裕がないので割愛します。

↑ いずれにしても、錆が回っています。
流用できたとしてもこの個体は捨てます。

↑ 新品は、これ1個で¥8000-. くらいです。
でも、旧品を見ると、新品を使いたくなりますよね(笑)。

↑ 実にいろいろなものが詰まっています。
考えた人は凄いですね。

↑ 目を反らしてはいけません!
これがキャリパー本体内部の惨状です。
これらの錆を除去してどうにかしないと後がありません。
最悪、クソ高い新品ASSYを購入する羽目に遭います。

↑ 錆があったとしても、微かなものだと思われるので、後程ケミカル対応します。

↑ 更に奥の部分です。
黄色く変色したブレーキフルードが出てきました。
前回OHから何年経過したのか忘れましたが、ブレーキフルードはマメに好感した方が良いという事ですね。

↑ 外したパーツは紛失しないように気を付けましょう。

↑ 冬の融雪剤の影響が大きいですね。
この錆もバッチリ落としていきます。

↑ 一般家庭で行う脱脂作業です。
詳しい事は後程。

↑ 一般家庭で行う脱脂作業です。
後程に…。

↑ はぁ…?
出はご説明を。
これは、金属表面処理業で利用される脱脂作業の一種です。
一般的に手に入る油落としやパーツクリーナーでは不十分なので、苛性ソーダの水溶液を作り、80度前後でグツグツグツグツと煮込みます。
アルカリ性(最近では塩基性という表現に代わりましたね)なので、鉄製品が錆びる事はありません。苛性ソーダの濃度にもよりますが。
薬品自体はドラッグストアや薬局で購入できます。
シャチハタではない印鑑と身分証明書を持って、用途は「石鹸を作ります」の方が、「油脂の分解」という購入目的申告よりスムースです。
ちなみに、今回は利用しませんが。無水アルコールは「電子部品の洗浄」で十分です。
で、アルカリ成分の強い水溶液を使用しますので、必ず手袋を装着して直接薬品が手につかないように注意してください。
薬品火傷は治りが悪い上に、跡が残りやすいです。
万が一ついてしまった場合は、最低15分以上の流水による洗浄を行い、上体に応じて医師の診察を受けてください。
油脂類の他に、スラッジが付いているので、これらはワイヤブラシを利用して落としてしまいます。
ここからは忙しい作業です。
錆びは取れませんので、スクレーパーやマイナスドライバー、そしてケミカル製品を使用して錆を除去していきます。

↑ 結構使えます。
不要になった歯ブラシなどを使用すると楽ちんです。
シリンダーの中の溝は、ドライバーなどで粗削りで錆を除去してから使うと仕事が早いです。

↑ それでは大急ぎモードです。
いくらアルカリ水溶液に浸漬したからと言っても、そこから出して乾燥すると鉄分は錆び始めます。
酷い錆を徹底的に落として、その間にうっすらと錆びてしまったところを一気に歯ブラシでなぞって、再び苛性ソーダ水溶液へ戻します。
注意点は、必ず水洗をしてから戻すという事です。
せっかくのアルカリ成分が酸性物質で中和されてしまっては良からぬ事しか起きません。

↑ ワイヤーブラシも効果的です。
薬品がブラシで飛散しますので注意してください。

↑ とにかく手早く、でも丁寧に作業します。

↑ 手でドリルを突っ込んでいますが、分かりやすく位置を説明しているだけです。
バルブのネジ山を削ってしまわないサイズのドリルと、最終的にシリンダーへオイルが入っていく細い穴の錆を落とすために微妙なオーバーサイズを試みます。
作業は電動ドリルを使用します。
角度に気を付けないとバルブがまともに作用しなくなってしまいます。
ボール盤がある方はボール盤を利用された方が無難でしょう。

↑ 忙しいです。錆が発生し始めています。
まぁ、これは先ほどの薬品を最後に仕上げで塗って綺麗にします。

↑ その他の細かいものも脱脂します。
で、肝心な薬品の画像を載せ忘れているのですが、イギリス製の鉄類の鏡面処理薬品を使用して四三酸化鉄処理を行います。
いわゆる「黒錆処理」です。
数ありますが、モデルガンのマニアでは知られた薬品で、青色のパッケージの小瓶です。
ネットで購入できます。
上手くいくと真っ黒に仕上がります。
モデルガンマニアでうまくいかない人は、金属の前処理がきちんとしていない場合が多く、脱脂と、酸による活性化処理が抜け落ちているのです。
今回は錆落としの酸があったので、それを前処理用として代用しました。

↑ 黒いシャフトとワッシャーとスペーサー類が処理品です。
それ以外の部品は材質が鉄ではない(亜鉛メッキ処理品なども鉄ではないと判断してより分けます)ので、迂闊に四三酸化鉄処理を行うと、薬品が一瞬でダメになってしまいます。
仕上がりもおかしくなります。
なので、ステンレスや亜鉛メッキ製品は除外し、脱脂して、スラッジがあれば地の鉄が出ないように注意しながら落としておきます。
で、ここでも大切なのが水洗作業です。
長すぎてはいけませんが、水道水の場合は、塩素の含有量によっては鉄が侵されるので、流水で丁寧に洗浄してからタオル等で水分を拭き、乾燥させたと同時にCRCなどを塗布してから軽く吹き上げてしまいます。
本式の金属表面処理業者への依頼作業でも、黒錆処理品は油だらけになって帰ってきます。
要は、鉄の金属表面処理の中では比較的錆びやすい処理といえます。
なので、キャリパーが組み合がったら再度脱脂(今度はパーツクリーナーでOK)し塗装をすることで対処します。
常に油脂に浸っている部分のパーツは塗装に必要はありません。

↑ 錆除去が終わったら四三酸化鉄処理を行います。
真っ黒になったら成功です。
処理後に触りまくるとせっかくの被膜が取れて意味がなくなってしまいますので、触れる頻度は最小限にしましょう。

↑ 苛性ソーダの強めの水溶液に浸漬しています。
この後、水洗し乾燥し、次の工程へダッシュです。

↑ 塗装前準備です。
塗装はシリンダーなどの穴の中に塗料が入り込んでしまう事を絶対に避けるようにマスキングします。
塗料は何でもいいという人もいますが、そんな訳にはいかないので、最低でも耐熱塗料で「仕上げ」を行います。
下地処理は、錆止め塗料を使います。
製品の成分表示で確認すると良いのですが、亜鉛とアルミが大量に含有されているもので「防錆」の表記があるもので、なるべく値崩れしていないものを選ぶと安心です。
私は、「ローバル」の被膜の厚塗りができるものを選びました。
若干被膜が柔らかいのですが、電蝕が起きないように設計されている優れた商品です。
その上から耐熱塗料を吹き付けました。

↑ シリンダー内部の錆発生を抑えるために、ワコーケミカルのラスペネを薄く塗布しています。
画像にありませんが、ハンドブレーキのレバーシャフトの軸受けのニードルベアリングが錆びていたので、これも錆落とし材を使いつつ、何度も指を突っ込んでグルグル回して錆を落としました。

↑ これらを組み込んでいきます。

↑ 直接パーツを押すと歪んでしまうので、大き目なナットなどを利用しつつ、アイデア勝負で行います。
専用工具をお持ちの方はそんな心配は要りません。
あくまでも、私の場合はケチケチ作業ですから。
で、この状態でサークリップをはめて固定します。
狭いのでホームセンターにて購入した専用工具を加工して先端を細くしたものを使いました。

↑ 第一段階終了です。
次は肝心要のピストンを装着します。

↑ 新品のピストン。
過去の日産車で、名立たる車種の物との共用パーツのようです。
レパード J-FERRY とかの記載があったと思います。
正しいOHキットの情報は、後程、時間ができ次第記述します。(いつになる事やらですが)

↑ グリスはOHキットに2種類付いてきます。
ただ、整備士によってまちまちですが、
「そんなグリス使わなくてもブレーキフルードでOK」
なんて言う人もいます。
主にバイク整備をやっている方に多いです。
バイクメーカー発行の修理手順書に、そんな修理方法が書かれているからです。
さて、自動車の場合はどうでしょう。
車重、制動時の発熱量、その時のパッドのズレによるピストンの傾きやかかる圧力などを考えると、少し粘度のあるグリスで補完してあげた方が良いのではなかろうか? という自分勝手な推論で、少々お高いキャリパーピストン用のグリスを小分け売りしているあから購入し、それを使用しました。
OHキットに同梱のグリスでもよいのでしょうが、明らかにそれとお高いグリスは雰囲気が違ったので、粘り気のあるお高いヤツで組んでみました。

↑ 埃やゴミが入らないように、注意深く回しながらピストンを押し込んでいきます。
この方式のキャリパーは、ピストンを回転させる事で押し込んでいく事ができます。
えー、画像を見てお分かりの通り、工具の正しくない使用方法で作業しています…。
でも、うまい事はまるし、傷もつけずに回せました。

↑ ダストブーツをキャリパーボディとピストンで挟み込んで切ってしまわないように注意します。
ここまで来てブーツをちぎってしまっては元も子もありません。
ここは我慢して素手で作業した方が間違いありません。
ヘタに金属製の工具を使ってブーツをはめようとすると傷をつけてしまいます。
しっかりとグリスを塗ってあれば(量ではなく、まんべんなく薄くです)、ブーツはすんなり収まってくれます。

↑ ハンドブレーキ用のレバーに関係した部品です。

↑ あらかじめローバルで塗装しておいたパーツを組みます。
左右間違えないように組まないと、やり直しになるので注意です。
ちなみに、バネの内側にあるナットですが、亜鉛メッキなので四三酸化鉄処理は行っていません。
しかも、このパーツは六価クロメートという亜鉛メッキ処理で錆びにくいのです。
黄色と緑色の虹のように光るので分かりやすいです。
で、この処理方法ですが、法律で規制されていて、年々製造されなくなってきています。
最近は、三価クロメートといって、少し青白い色をした亜鉛メッキが主流です。
問題点は、六価に比べてとても錆びやすいという点です。
なので、三価クロメート処理の亜鉛メッキ製品は、上から塗装をするなどして保護しないと短命に終わります。
オフィス機器は殆ど三価クロメートですが、屋内使用なので塗装はされていません。
横道にだいぶ逸れました。
いつもの事です。

↑ スライドピンガイドを組み込みます。
差し込むだけです。
これが編摩耗していると、キャリパー本体が傾き、最終的にローター編摩耗へつながります。
幸い、今回の補修では、中古で取り寄せたA33セフィーロのキャリパーの状態が良かったので、キャリアごとそのまま流用しました。
勿論、スライドピンガイドは一度取り外して脱脂処理をしてあります。

↑ ガイド組込後のキャリアです。
左右で対称のように見えます。
しかし、キャリア本体はどっちでもOKのようで、スライドピンガイドがローターの回転方向に対してどちら側につくのかだけが問題なだけです。

↑ だんだんと揃ってきました。
パッドを抑える金具はステンレスですので、余計なことはせず、脱脂の後に磨き上げました。
パッドの金属プレート側に添える薄いプレートは、元々樹脂の被膜が塗装されていましたが、経年劣化でボロボロに剥がれていたので、脱脂処理をしながら全て除去し、代わりにローバル塗装を行いました。
これらを車両側へ取り付けます。

↑ ローターは編摩耗していたので、新品に交換です。
摩耗の仕方は、この記事をスクロールアップ(ずーっと)していくとありますが、内側と外側の間の部分が盛り上がったような減り方をしていました。
パッドがシーソーののように(前後ではなく上下に)振れていた事が原因です。
ひとえにピストンがガタついていたという事です。
そのガタつきの原因がどこにあるかには所説あります。
ローターに付着していた錆が思わぬ状態でパッドなどに堆積し、少しづつ編摩耗を引き起こす傾斜を形成するだとか、キャリパーのピストンが変形(錆などで肉薄になり受ける油圧で変形すると考える)するとガタつきを生じやすいだとか。
あとは、ハズレに当たったというもの。
新車でも、半年と経たないうちにローターが編摩耗するケースがあるので、どれが正しいのかは分かりません。

↑ キャリアーを取り付けます。
パッド用の金具もくっつけます。
そこへパッドをはめ込みます。

↑ こんな感じです。
ちなみに、これはセフィーロのパッドです。
本来なら新しいパッドに交換するのが常識です。
なので、車検取得したらパッドを交換します。
既定の制動力が得られれば、編摩耗でも車検はパスします。
ただし、そのままだとブレーキが壊れる原因になりますので、メンテナンスは必須です。

↑ キャリパー本体を取り付けます。
あとは、ブレーキホースを接続して、ブレーキフルードを足しながらエア抜きです。
2人いると楽ちんにできるエア抜きですが、逆止弁付きのウインドウォッシャーようのチューブがあると、1人でも容易に確実なエア抜きができます。
画像を、暇ができ次第アップしますが、税込みで400円でおつりがくる代物が専用工具として販売されています。
オイルキャッチタンクが付いているものは桁が違う値段で販売されています。
どうせオイル廃棄用のホームセンターで売っている箱に集めるので、タンクは不要です。
チューブの先端を箱の中に入れておけばOKです。
エンジンをかけて、ゆっくりとブレーキを踏んで、ブレーキパイプ内部に細かい気泡が発生しないようにエアーを追い出します。
ブレーキフルードが出始めたら、少しブレーキを踏む速度を速めます。
この時、マスターシリンダーの中のオイル量に注意しながら、うっかりエアーを吸い込まないようにブレーキフルードを足しながら行います。
ちなみに、今回はクラッチのオイル交換も行いました。
黄色く変色したクラッチのオイル(ブレーキフルードが使われています)が綺麗なものに変わりました。
これで車検に行かれます…。
??
あ、そうだ。
サイドステップがまだくっついていないじゃありませんか。
補修中で家の中に放置したままでした。
という訳で…。
続く。
続きを読む : WHNP11 更に手を入れていきます。(続続)
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↑ サスペンションを外す前に行いましたが…。
(続)になっています。
タイトルには魔法がかかっていると思ってください。
ちなみに、フロントフェンダー、フロントドア、リアドアは、日本全国の解体屋さんから取り寄せた差し替え部品です。
グレードが異なるので、内張とサイドモールが現車と異なります。
そこで、サイドモールを張り替えます。
元々のカラードモールは丁寧に剥がしておきます。
新たにくっついたドアの黒いモールはカッターナイフを隙間から差し込んでサラッと剥がします。

↑ クルマいじりをする人なら大概は持っています。

↑ 頑固そうです。

↑ 塗装に傷がつかないように養生します。

↑ 侮るとボディに傷がつきます。
丁寧に両面テープを削ります。

↑ このくらいにしておきます。

↑ 残ったノリは簡単には取れません。
ただし、それなりのものを使うならば話は別です。

↑ プロではない身には高価です。

↑ 一応、塗装に悪影響が出た時に慌てないようにマスキングをします。
#4000 を塗ると、あっという間に両面テープ素材が浮き上がるように剥がれてきます。

↑ 一度施工して水洗いした状態です。

↑ 塗膜に悪影響は見られませんでした。
塗料によって反応が出る可能性がありますので、#4000をご使用の際は慎重に。
続いて、張り付けるドアモール側も同様に施工します。

↑ #4000 を塗って、そして削ります。

↑ こんな感じに削れます。

↑ 綺麗に水洗いして乾いたら、自動車モール用の両面テープを貼ります。
では、フィルムを剥がしてドアに貼ります。

↑ 位置合わせの穴が開いているので楽ちんです。

↑ 端から攻めていくとやりやすいです。

↑ 貼る前です。

↑ 位置が確定したら、ドアに手で押し付けるようにして貼り付け完了させていきます。

↑ ベッタリ張り付くと動きません。
自動車用と名の付く材料は凄いですね…。
続く。
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おい、貴様!
一体今まで何をやっていたのだ!
と言われてしまいます。
久々でございます。
縦スクロールだけでなんとかしようというダラダラなブログの更新です。
前回の前回の前回くらいの続きです。
「もう、乗っている人いないよ…」
みたいなWHNP11 プリメーラカミノワゴンの車検の年となり、時期を同じくしてリアまわりに様々な問題が発生している事が判明したため、手を入れるに至りました。
事の発端は異音です。
ショックアブソーバーのアッパーマウント側シャフトの先端が折れてしまったかのような音!
正確には、バラしてみて分かったのですが、スタビライザーリンクのネジが緩んでいたのが原因でした。
走行していて、周囲の歩行者が振り返るほどデカい音でした…。
で、リフトアップ。
何だかすごいことになっている。
いや、すごいのはスタビライザーリンクではなくて。
まず、ボディ側にいくつもの解せない膨らみが…。
塗膜を剥がしてみると、そこはサビサビの穴!
そして、がっかりするほどの欠損箇所の発生。
更に、ショックアブソーバーのガス漏れ、オイル漏れ。
JICはよく壊れると聞いてはいたものの…。
社外車高調整式サスペンションなんぞを検討しましたが、どのメーカーもワンオフ扱いで話になりません。
JIC社は、「パーツがない」の一点張りでOHを拒否。
悩んだ挙句にリアサスペンションは、ショックアブソーバー本体を純正部品で、、スプリングをどこかのアフターパーツ取扱店で不良在庫になっていそうなダウンサスを購入して更新する事にしました。
問題は更にありました。
ブレーキキャリパーです。
ショックアブソーバーより前傾位置にキャリパーを装備設計されている車両は非常に少なく、惰性のように多くのモデルでリアブレーキキャリパーが車軸に対して上側の前傾に取り付けられているのはフォルクスワーゲン社くらいです。
他のメーカーでは稀にしか見られず、また、インナードラム式ディスクブレーキ方式であるため、万が一ボルトオンで装着できたとしてもそのままアッサリ車検には合格しません。
構造変更に相当、つまり「改造」となるからです。
そうはいっても車体を新品にはできません(もう玉数がありません)ので、あくまで、足廻りを新品、ブレーキキャリパーをオーバーホールで対処、ボディの欠損部はボディ補強の要領でプチレストアする事にしました。
そういえば、新たにウチに来たJW22 ジムニーもオーバーフレームに穴が開いていたので、この修復は後日アップします。
で、本題に。
まず、JIC社製の車高調整式サスペンションを取り外します。
見た目は美しいのですが、前回の車検の時にリフトアップされ、下ろされた時にダストブーツをスプリングに噛みこまされていたらしく、風雨と泥などに思いっきりシャフトが晒されている状態であったようです。
気が付いた時には油が滲んでいたので、交換かオーバーホールを覚悟したのですが、前述のとおり、メーカーが製品が古すぎて部品がないとの理由でオーバーホールを拒絶。
新しい車高調整式のサスに関しても、車体が古い型式なので、ワンオフ製品になるとの事で、20万円オーバー(消費税別)という事で、あれこれ調べて、古い車体には、社外スプリングに純正アブソーバーがベストという判断に至り、ショックを発注。
勿論、ダストブーツも発注。
そこでまた古い年式のクルマの恐ろしさを垣間見るのです…。
部品が超高価。
倉庫保管料がてんこ盛りで、自動車部品屋さんが、
「これって、2本セットの価格じゃないかな…。」
と疑うほど。
左右分で、6万円ちょっと。
まぁ、ワンオフで買うよりいいか。
ボディもきっと弱ってきているだろうし…。
て、そうそう、ボディを何とかしないと。
てな訳で、先にボディから手を付けますが、強烈な錆止め塗料を利用してボディの錆の進行を止めます。
「抑える」
のではなくて、
「止めます」
という製品を使用します。
錆をガサガサと落とした後、この塗料を塗り、完全乾燥後に上塗り塗装を施します。
酷いところは解体屋さんからぶっつぶれたボディをもらってきて、形が合うように切り、接着板金の要領でビスかリベットで固定します。
自動車用鋼板は冷間圧延で、更に亜鉛でメッキされているので錆びにくいのです。
この工程のポイントは、熱をかけないという点です。
溶接などで補強をするには、それなりの技術はもとより、それなりの機材が必要です。
安物の溶接機は見た目が悪い上に、強度も低いです。
おまけに作業効率が低いので全くオススメはできません。
また、ヘタに熱をかける事で車両自体が弱ったり燃えたりしては元も子もありません。
という訳で、火を使わない補強で攻めました。
薬品と樹脂と金属部品でガッチガチに行きます。
ボディ側を進めつつ、サスペンションの更新を行います。
ちなみに、ほぼ同時にキャリパーも直していきます。
で、サスペンションですが、全てを更新するのではなく、使えるものは再利用するという概念で組みます。
JICを組む際に外して取っておいた純正サスペンションがおよそ7年越しで用を成します。

↑ 倉庫で大事に保管していた訳ではないのですが、取っておいて良かった…。
で、バラしていきます。

↑ 妙なものがくっついています。
ショックアブソーバの頭にウェイトが…。
こんなの初めて見ました。
外した時には全く気が付かなかったパーツです。
デカい六角レンチがないと綺麗には取れません。
傷がつくのを覚悟でパイプレンチをかけます。(涙)

↑ 思ったよりも重いです。
再組付けの時に採用できるかどうかは、今回の更新で採用する事にしたスプリングでどこまで車高が下がってしまうかに左右されます。
あまり車高は下げたくないのです。
というか、ドライブシャフトが取り付けられている駆動輪と車体との位置関係が、本来の設計上の適切な所にない状態が長時間続くという事は、ドライブシャフトのユニバーサルジョイントに負荷が常にかかっていくという理論になります。
なので、走行安定性だとか、ルックスだとかを語る前に、長く乗る事も考慮してチューニングをしていく派な私としては、車高は上品な程度に下げるのが良いかと考えるのです。
うんちくはどうでもいいんだよ、続きを書け、自分!
で、車高が下がり過ぎてしまうようならば、アッパーマウント上側にスペーサーを一枚かませて車高を稼ごうか…、と考えるのですが、その際にと用意しておいたスペーサーをくっつけると、上記のウェイトが物理的に取付けできなくなってしまうのです。
重くなるし、要らないか…、とも思ったのですが、理由があって装着されているのだろうと考え、可能ならばスペーサーを取り付けずに組める方向が望ましいのです。
作業を続けます。

↑ ポンチで刻印を打っておきます。
どこかに部品番号だとか、左右、前後方向などを示したものが打たれているかと思ったのですが、錆が酷くて分からないのです。
少なくとも左右対称の部品なので、後で困らないように自身で刻印を打ちます。

↑ こちらは左用です。

↑ 「酷い! 酷過ぎるわ!」 はジブリでは有名なセリフです。

↑ スプリングコンプレッサーを仕掛けます。
この工具でどれだけのサスを組んだ事か…。
インパクトドライバー対応で15分もあればサスの組み換えだけなら終わります。
手工具を使う安物は疲れる上にすぐ壊れるので、組付け途中で工具が壊れるなんて悲惨な事にならないように、丈夫なものを選んでおく事をオススメします。

↑ ショックアッパーマウントは、手工具では外れません。

↑ インパクトドライバーで取り外します。

↑ すっごい錆です。

↑ バラしていきます。

↑ 錆だらけです。

↑ 酷い錆ですが、古い車は軽量化よりも強度なので、肉厚です。
故に、何とかして再利用します。

↑ ワイヤカップで磨きまくってみました。
使えそうです。

↑ リアのショックアブソーバーです。
ここでピンとくる方は相当クルマをイジっている筈です。
ハブ・ナックルにボルト2本で取り付けられているのです。
日産車で言うところの、マルチリンクではないサスペンションの場合に用いられているものです。
殆どがフロントがこうなっています。
リアでこうなっているのは稀です。
そうです。
流用パーツがありません。
できたとして同じプラットフォームを採用している最終型ブルーバードの一つ前のモデル。
(分かりづらい表現です。型式調べるのも面倒なくらい売れていません。)
で、このショックアブソーバーはガスもオイルも漏れているので再利用できません。
してもいいですが、まともに曲がれない、停まれないクルマを組むのはバカバカしいのでやりません。

↑ ケースを再利用してみてはどうか…。
と、悪あがきを思いつきます。
錆が思ったよりも回っていなかったので、ストレート形状のショックアブソーバーをこのシェルケース内にうまく固定できればと考えた訳です。
悪あがきを続けます。

↑ ますます捨てるのは惜しい状態です。
が、しかし、高級な純正パーツを発注した後なので、これはまた次の機会に…?

↑ ショックアッパーマウントも磨きます。

↑ 四三酸化鉄処理を施します。
いわゆる黒錆化ですが、近年のスプレー材料は非常に優れていて、ここまで変色するのにそんなに時間がかからない上に、クリア塗料塗膜で保護される仕組みになっているので、これ以上は錆びにくいという状態です。
ボディに利用した錆止め剤を塗ろうかと思ったのです、これはこれで良い効果が望めると感じたので、この後に厚塗りの塗料でコートします。
続く。
一体今まで何をやっていたのだ!
と言われてしまいます。
久々でございます。
縦スクロールだけでなんとかしようというダラダラなブログの更新です。
前回の前回の前回くらいの続きです。
「もう、乗っている人いないよ…」
みたいなWHNP11 プリメーラカミノワゴンの車検の年となり、時期を同じくしてリアまわりに様々な問題が発生している事が判明したため、手を入れるに至りました。
事の発端は異音です。
ショックアブソーバーのアッパーマウント側シャフトの先端が折れてしまったかのような音!
正確には、バラしてみて分かったのですが、スタビライザーリンクのネジが緩んでいたのが原因でした。
走行していて、周囲の歩行者が振り返るほどデカい音でした…。
で、リフトアップ。
何だかすごいことになっている。
いや、すごいのはスタビライザーリンクではなくて。
まず、ボディ側にいくつもの解せない膨らみが…。
塗膜を剥がしてみると、そこはサビサビの穴!
そして、がっかりするほどの欠損箇所の発生。
更に、ショックアブソーバーのガス漏れ、オイル漏れ。
JICはよく壊れると聞いてはいたものの…。
社外車高調整式サスペンションなんぞを検討しましたが、どのメーカーもワンオフ扱いで話になりません。
JIC社は、「パーツがない」の一点張りでOHを拒否。
悩んだ挙句にリアサスペンションは、ショックアブソーバー本体を純正部品で、、スプリングをどこかのアフターパーツ取扱店で不良在庫になっていそうなダウンサスを購入して更新する事にしました。
問題は更にありました。
ブレーキキャリパーです。
ショックアブソーバーより前傾位置にキャリパーを装備設計されている車両は非常に少なく、惰性のように多くのモデルでリアブレーキキャリパーが車軸に対して上側の前傾に取り付けられているのはフォルクスワーゲン社くらいです。
他のメーカーでは稀にしか見られず、また、インナードラム式ディスクブレーキ方式であるため、万が一ボルトオンで装着できたとしてもそのままアッサリ車検には合格しません。
構造変更に相当、つまり「改造」となるからです。
そうはいっても車体を新品にはできません(もう玉数がありません)ので、あくまで、足廻りを新品、ブレーキキャリパーをオーバーホールで対処、ボディの欠損部はボディ補強の要領でプチレストアする事にしました。
そういえば、新たにウチに来たJW22 ジムニーもオーバーフレームに穴が開いていたので、この修復は後日アップします。
で、本題に。
まず、JIC社製の車高調整式サスペンションを取り外します。
見た目は美しいのですが、前回の車検の時にリフトアップされ、下ろされた時にダストブーツをスプリングに噛みこまされていたらしく、風雨と泥などに思いっきりシャフトが晒されている状態であったようです。
気が付いた時には油が滲んでいたので、交換かオーバーホールを覚悟したのですが、前述のとおり、メーカーが製品が古すぎて部品がないとの理由でオーバーホールを拒絶。
新しい車高調整式のサスに関しても、車体が古い型式なので、ワンオフ製品になるとの事で、20万円オーバー(消費税別)という事で、あれこれ調べて、古い車体には、社外スプリングに純正アブソーバーがベストという判断に至り、ショックを発注。
勿論、ダストブーツも発注。
そこでまた古い年式のクルマの恐ろしさを垣間見るのです…。
部品が超高価。
倉庫保管料がてんこ盛りで、自動車部品屋さんが、
「これって、2本セットの価格じゃないかな…。」
と疑うほど。
左右分で、6万円ちょっと。
まぁ、ワンオフで買うよりいいか。
ボディもきっと弱ってきているだろうし…。
て、そうそう、ボディを何とかしないと。
てな訳で、先にボディから手を付けますが、強烈な錆止め塗料を利用してボディの錆の進行を止めます。
「抑える」
のではなくて、
「止めます」
という製品を使用します。
錆をガサガサと落とした後、この塗料を塗り、完全乾燥後に上塗り塗装を施します。
酷いところは解体屋さんからぶっつぶれたボディをもらってきて、形が合うように切り、接着板金の要領でビスかリベットで固定します。
自動車用鋼板は冷間圧延で、更に亜鉛でメッキされているので錆びにくいのです。
この工程のポイントは、熱をかけないという点です。
溶接などで補強をするには、それなりの技術はもとより、それなりの機材が必要です。
安物の溶接機は見た目が悪い上に、強度も低いです。
おまけに作業効率が低いので全くオススメはできません。
また、ヘタに熱をかける事で車両自体が弱ったり燃えたりしては元も子もありません。
という訳で、火を使わない補強で攻めました。
薬品と樹脂と金属部品でガッチガチに行きます。
ボディ側を進めつつ、サスペンションの更新を行います。
ちなみに、ほぼ同時にキャリパーも直していきます。
で、サスペンションですが、全てを更新するのではなく、使えるものは再利用するという概念で組みます。
JICを組む際に外して取っておいた純正サスペンションがおよそ7年越しで用を成します。

↑ 倉庫で大事に保管していた訳ではないのですが、取っておいて良かった…。
で、バラしていきます。

↑ 妙なものがくっついています。
ショックアブソーバの頭にウェイトが…。
こんなの初めて見ました。
外した時には全く気が付かなかったパーツです。
デカい六角レンチがないと綺麗には取れません。
傷がつくのを覚悟でパイプレンチをかけます。(涙)

↑ 思ったよりも重いです。
再組付けの時に採用できるかどうかは、今回の更新で採用する事にしたスプリングでどこまで車高が下がってしまうかに左右されます。
あまり車高は下げたくないのです。
というか、ドライブシャフトが取り付けられている駆動輪と車体との位置関係が、本来の設計上の適切な所にない状態が長時間続くという事は、ドライブシャフトのユニバーサルジョイントに負荷が常にかかっていくという理論になります。
なので、走行安定性だとか、ルックスだとかを語る前に、長く乗る事も考慮してチューニングをしていく派な私としては、車高は上品な程度に下げるのが良いかと考えるのです。
うんちくはどうでもいいんだよ、続きを書け、自分!
で、車高が下がり過ぎてしまうようならば、アッパーマウント上側にスペーサーを一枚かませて車高を稼ごうか…、と考えるのですが、その際にと用意しておいたスペーサーをくっつけると、上記のウェイトが物理的に取付けできなくなってしまうのです。
重くなるし、要らないか…、とも思ったのですが、理由があって装着されているのだろうと考え、可能ならばスペーサーを取り付けずに組める方向が望ましいのです。
作業を続けます。

↑ ポンチで刻印を打っておきます。
どこかに部品番号だとか、左右、前後方向などを示したものが打たれているかと思ったのですが、錆が酷くて分からないのです。
少なくとも左右対称の部品なので、後で困らないように自身で刻印を打ちます。

↑ こちらは左用です。

↑ 「酷い! 酷過ぎるわ!」 はジブリでは有名なセリフです。

↑ スプリングコンプレッサーを仕掛けます。
この工具でどれだけのサスを組んだ事か…。
インパクトドライバー対応で15分もあればサスの組み換えだけなら終わります。
手工具を使う安物は疲れる上にすぐ壊れるので、組付け途中で工具が壊れるなんて悲惨な事にならないように、丈夫なものを選んでおく事をオススメします。

↑ ショックアッパーマウントは、手工具では外れません。

↑ インパクトドライバーで取り外します。

↑ すっごい錆です。

↑ バラしていきます。

↑ 錆だらけです。

↑ 酷い錆ですが、古い車は軽量化よりも強度なので、肉厚です。
故に、何とかして再利用します。

↑ ワイヤカップで磨きまくってみました。
使えそうです。

↑ リアのショックアブソーバーです。
ここでピンとくる方は相当クルマをイジっている筈です。
ハブ・ナックルにボルト2本で取り付けられているのです。
日産車で言うところの、マルチリンクではないサスペンションの場合に用いられているものです。
殆どがフロントがこうなっています。
リアでこうなっているのは稀です。
そうです。
流用パーツがありません。
できたとして同じプラットフォームを採用している最終型ブルーバードの一つ前のモデル。
(分かりづらい表現です。型式調べるのも面倒なくらい売れていません。)
で、このショックアブソーバーはガスもオイルも漏れているので再利用できません。
してもいいですが、まともに曲がれない、停まれないクルマを組むのはバカバカしいのでやりません。

↑ ケースを再利用してみてはどうか…。
と、悪あがきを思いつきます。
錆が思ったよりも回っていなかったので、ストレート形状のショックアブソーバーをこのシェルケース内にうまく固定できればと考えた訳です。
悪あがきを続けます。

↑ ますます捨てるのは惜しい状態です。
が、しかし、高級な純正パーツを発注した後なので、これはまた次の機会に…?

↑ ショックアッパーマウントも磨きます。

↑ 四三酸化鉄処理を施します。
いわゆる黒錆化ですが、近年のスプレー材料は非常に優れていて、ここまで変色するのにそんなに時間がかからない上に、クリア塗料塗膜で保護される仕組みになっているので、これ以上は錆びにくいという状態です。
ボディに利用した錆止め剤を塗ろうかと思ったのです、これはこれで良い効果が望めると感じたので、この後に厚塗りの塗料でコートします。
続く。
- このエントリーのカテゴリ : 車

缶ビールはいつでも眠れる条件下で頂きたいものだ…。
酔ってから自宅まで帰るのが少しばかり面倒くさい私の場合、特に美味しい缶ビールは自宅で飲むことにしている。
好きな音楽を聴きながら、好きなテレビ番組を楽しみながら、好きなアニメを見ながらだっていい。
眠くなったらすぐゴロンと寝ころべるのが楽ちんだ。
空き缶は、良く日に片づけるとして…。
- このエントリーのカテゴリ : ショッピング
毎度お馴染み(?)、縦スクロール専門、良い意味では「スマホっぽく」、悪い意味では「ずぼら」な垂れ流し系ログです。
さて、今回は、いまだに他界人気を博しているらしい、スズキ・ジムニー(古いヤツですよ)の、ちょっとイラッとした部分を改善して、快適に、ご満悦にドライブできるようにしてみようというコンセプトで、嫌々買う事になった「オートマチックトランスミッション」仕様のジムニーをいたぶってやる事にしました。
本当は、マニュアルトランスミッション仕様が欲しかったのですが、なかなか巡り会えず、また、この手のタイプは人気があるので、選り好みをしていくと徐々に価格が高騰していってしまうので、安くても手放してしまいたいという立場の方から購入するのが最も安価です。
今回は、現在所有している愛車がセミレストア(自分でやるので)が必要になり、冬の雪やら融雪剤やら雨やらでその作業に更に手がかかるのを懸念して、晴れの日専用にする為にセカンドカーっぽい感覚で入手しました。
本命の愛車のセミレストアは後々のログで公開致しますので、「さすがに他にもう乗っている奴はいないであろう…」と思っているWHNP11・プリメーラワゴンの方は時々覗いてみてください。
という訳で、本題へ戻ります。
スズキ・ジムニーの詳細は、Wikipedia で適当にかいつまんで情報を入手して下さい。(いつもの丸投げです)
で、とにかくカーステレオの音が悪い。
トレードインタイプの有名どころのスピーカーを付けてもほとんど変化がないと嘆いておられるブログもたくさん見かけます。
何が悪いのかといえば、その口径です。
純正で装着されているスピーカーは、まさしく当時の「軽自動車用」なスピーカーで、左右2chのステレオなんだから、それだけでもありがたいと思えって感じのものです。
口径10センチのフツーのスピーカーで重低音なんて絶対に出せません。
余程のスピーカードライブシステムを使ってスピーカーが壊れるかも知れないくらいの電気を流してあげれば出るかもです。
まぁ、あっという間に断線するか、煙が出るか、一瞬で音が出なくなるかのどれかでしょう。
純正の小さなスピーカーに拘るなら、そのままの方が良いでしょう。
トレードインスピーカーや、高価なカーステデッキを購入すのは、お金をドブに投げ入れてしまうよりも性質が悪いです。
という訳で、元々の愛車のカーステレオの音が基準になってしまっている私の場合、このジムニーのカーステの音の悪さにはどうしてもイラッと来てしまうのです。
そこで、根本的な部分からの音場管理の改変を行う事にしました。
簡単に言うと、スピーカーの口径を大きくするという事です。
本当に簡単でしょ? (出た出た、上から目線系セリフ)
しかし、私はこのジムニーにそんなにお金をかけるのもなんだなぁ、という思いで、安価で最も効果の出やすい方法を実験的に行ってみました。
あ、ちなみに、とっても高価なスピーカーとアンプを導入すれば、小さな口径でもイイ音がします。
お金持ちの方にはうってつけです。
というのは、私は純正のフロントスピーカー周辺のグリルを兼ねたカバーを撤去する事にしたからです。
要は、見てくれが悪くなるので、見た目を温存して音を良く…と考える方は、ベタ付けが可能な17cm口径のトレードインスピーカーを導入して、穴位置などを加工すればよいでしょう。
ただ、トレードインスピーカーだって、そんなにお安いものではない。
安くても数千円はするでしょうし、逆に数千円程度のスピーカーは寿命が極端に短かったり、根本的に音質が悪かったりで、結局がっかりするパターンに陥りがちになります。
そこで、そこそこのスペックで、それなりの寿命がある程度保証されているスピーカーを…、と考え、普通自動車に装着されている純正スピーカーを導入する事にしました。
万人受けする仕様ですし、万が一壊れても中古で安価に手に入れられたり、そこで初めてトレードインスピーカーを考えてもいいだろうというロジックで進めました。
前述で、「フロントのグリルを取り去る」的な記述をしました。
そうです。
リヤスピーカーもくっつけます。
よくネット画像などで良く目にするオシャレでコンパクトなものではなく、ガッツリ普通自動車用のリヤスピーカーを取り付けます。
フロントは、純正用マウントごとタッピングビスで、元々の純正スピーカーが収まっていた穴に接触しないように取り付けられる事は日産純正17センチスピーカーで実証済みですので、あえて画像も入れませんが、頑張ってくっつけて下さい。
これだけでも曲を流してから最初の数十秒は背中がゾクゾクするほど快感です。
という訳で、本題のコアな部分を書き込んでいきます。
「この辺でもいういいや」という方は、どこか他のサイトへジャンプして下さい。
ここからが縦スク地獄なので…。
では始めましょう。
導入するものは基本的に、自動車メーカーの純正品である事を条件として含みました。
ある程度の「枷」があった方が張り合いが出るというものでし(←やかましい)。
という訳で、今回入手したのは、ダイハツのムーブの天吊タイプのスピーカーボックスです。
スピーカー付きのものをそのまま付けても構いませんが、純正の16センチスピーカーですので、低音はある程度犠牲になってしまいます。
私は、最低でも17センチをキープしたいので、この天吊ボックスからはスピーカーを取り外してしまいました。

↑ 中古で入手したダイハツ・ムーブの天吊ボックス
あまりに汚かったので、この後風呂場で洗いました。
下側に移っているのは、天吊ボックスを実際に吊る為に使用するアルミ製のチャンネル材です。断面がカタカナの「コ」の字になっているもので、雑多な話ですが、フロントのホイールアライメント調整にも私は利用しています。丈夫で軽いので。
元へ戻ります。

↑ 大概、ホームセンターで売られている部材を用意します。

↑ アルミ製のレールです。
案外、これらの部材が予算を圧迫するのです。

↑ 天吊ボックスとレールのセンターの位置をあらかじめ出しておきます。
センター出しを怠ると、気を失うほどガッカリする羽目に遭うので注意しましょう。
上図は、ベニヤ板で豪快に作られた(もっと違う素材だと思っていたので、ある意味驚きました)ボックスとレールとの接点を全てビス止めする事で落下を防ぐ事にしました。長めのビスに接着剤を絡ませて使うとより効果的です。
画像内の金属粉は、ドリルでレールに開けた穴の残骸です。

↑ ビス用の穴はあくまでも「下穴」なので、ビス径より細めのドリルで開けます。
穴の開け方で強度が大きく変わるのですが、間違って大きな穴をあけてしまった場合は、レール全体の位置をオフセットするなどして穴を開けなおしてしまった方が良いでしょう。
それ以外はL字ブラケットを添えるなどの加工方法になり、余計にお金と時間がかかってしまいます。

↑ ムーブに取り付ける際に使用されていたブラケットです。
貴重なグリーン亜鉛メッキ仕様です。
現在は基本的に採用禁止な金属表面処理です。
で、このボルトが刺さっているナットが溶接止めで、後々邪魔になる可能性があるのでグラインドサンダー(通称:サンだー)で取り払いました。

↑ 購入してきた部材を組み合わせて、こんな感じに骨材を構成します。

↑ 全体の組み上がりを確認します。
なんでもそうですが、それなりのスッキリ感があると、後で色々と対応をしていく際に余裕を得られます。

↑ あらかじめ計測して邪魔になるボックス側の接触部分は削り落しておきます。
どうやって削ったのかは内緒です(冗談です)が、スピーカー自体に接着されているマウントが当たらないように何も考えずに平らにしておきます。
スピーカーマウントとボックスの「ベニヤ板」とのクリアランスを2ミリに設定しました。これで大きな音を出してもスピーカーコーンの淵が「ベニヤ板」に接触する事は無いでしょう。
16センチの穴に17センチ径スピーカーを取り付けるので、クリアランスを設けないと音を出した時に接触します。
あぁ、ベニヤ板がショック過ぎて笑ってしまう。
まぁ、金属製じゃなくて良かったです。本当は樹脂製だと思っていたので、ガス式ハンドカッターで切ってしまえば楽ちんだなぁ、と、甘い事を考えていた為に、余計にショックでした。
で、この癪に障る「ベニヤ板」を削っていくのですが、ハンドグラインダーのサンディングディスクでやると日が暮れます。対象材が木製なので、すぐに焦げて、ベニヤ板独特の煙が大量に出ます。
アタッチメントを付けたのこぎりディスクで行うと良いかも知れません。
では、こんな時にどうしたらよいか…、ですが、電気式丸のこぎり(通称:デンノコ、丸ノコ)で削っていきます。
※ 注意:木材切断専用の刃では行わないで下さい。また、深さ調整ができない丸ノコや、深さが足りない丸ノコのステーをバラしての作業は絶対に行わないで下さい。基本的に、プロの大工さんが溝切りや長さ調整に簡易的に使う工法ですので、難しいと判断された場合は、地道に手ノコとハンドグラインダーに専用のこ刃をセットして少しずつやった方が良いのかも知れません。 いずれにしても、今回の一連の作業は自己責任で行ってください。
ちなみに、私は電ノコにチップソーを取り付けて、ベニヤ板に対して直角に刃を当てて、チップの大きさの分だけ入るようにして左右に動かしながら削りました。数か所に溝を付けると、残りは手工具でつまんで折る事ができますので、そこからはサンディングでも電ノコでも仕上げていけると思いますが、私は終始刻み込みは電ノコで行いました。
大怪我の元になりますので、対象材をきちんと固定し、電ノコもしっかりと支えながら徐々に加工していきましょう。なお、このボックスのベニヤ板の中には、トラップ的に金属製の釘が打ちこまれているので、チップソーも金属も切れるものを選んでおいた方が無難です。私は、釘を発見した際には、釘をよけて刻み、釘だけサンダーで削り落としました。

↑ スピーカー取付用の部材です。
やれやれといった作業が済んだらスピーカーの取り付けです。
今回使用したのは、日産純正の17センチスピーカーです。樹脂製のマウントにきっちり接着されたスピーカーを取り外す事はできないので、マウントごと使います。
マウントの取付穴からベニヤ板までの距離を計測し、スピーカーマウントとベニヤ板までのクリアランスを2ミリで取り付けようとしたところ、偶然にも購入した長ナットの長さでピッタリでした。お陰で調整用シムの代わりに購入したワッシャが無駄になってしまいましたが…。

↑ このようにスピーカーを取り付けます。
ちなみに、端子はカプラーが無かったのでハンダ付けして配線を増設しました。
コンデンサレスのスピーカーなので、プラスとマイナスはあまり関係ありませんが、四つのスピーカーの信号の入りと出は揃えておかないといけません。逆位相という作用が起きるともったいないので。
なお、プラスとマイナスが分からない場合は、テスターをmDCにして端子に当て、スピカー表面を軽く押した時に針がマイナスに振れた時に、テスターのプラスが触れている方がプラス端子だと考えると分かりやすいと思います。邪道なやり方ですが…。

↑ 表側からだとこんな感じです。

↑ ボックス側の穴の淵が汚いので、車両へ取り付ける寸前になってマジックで黒く塗る事にしました。
超汚いボックスの淵。
日本で知らない人はそんなにいないであろう有名な油性ペン、マッキーで塗りつぶしてやりました。(画像はありませんが)
「マッキー」って、アメリカで、ティッシュがクリネックスと呼ばれているのと同じくらいの知名度だと思うのですが…。
「マジック」の方が上でしょうか…。

↑ 天吊ボックス用のブラケットが車両の金属部分に触れてしまわないように保護すします。

↑ こちらは傷防止と滑り止めを兼ねています。

↑ ホームセンターで手に入れました。

↑ 何かの梱包材です。
土木建築関係の部材用の梱包材の一部です。
たまたま工事現場のゴミ捨て場にあったものを、管理者の人にお断りして分けて頂いたものです。
「まだまだいっぱい出るから取りに来ていいよ。」
と言われましたが、ちょっとあればいいんです。
でも、今考えると、もう少し貰いに行っておけばよかったかな…、と思っています。
丈夫で使いやすいのです。
恐らく、建材屋さんに聞けば何の梱包に使われているのかが分かるかと思います。
とにかく、固くてしっかりしたスポンジです。

↑ 本当にもっともらっておけばよかった。
とにかく、丈夫で頑丈そうなスポンジ材で保護をします。
ブラケットと車両との接触を防いで、錆の原因を作らない事と滑り止めを兼ねた構成です。

↑ 配線を開始します。
ドア枠に取り付けられているゴムを剥がします。殆どの車両は手で引っ張るだけで外れます。
設計に不備がある車両だと、ここに接着剤が充填されているので上手に剥がさないとゴムが切れます。

↑ 隙間から配線を滑り込ます。
カーステのデッキからの配線部分がたるまない様に、パネルやエアコンのステーなどに、擦れて切れたり、何かに観賞したりしないように端から結束バンドで止めて行きます。

↑ 配線を滑り込ませていきます。
カーステからの配線をしっかり固定しておかないと、長さが整えられなくなるので大雑把にならない様に小刻みにビニールテープでまとめておくと作業しやすいです。
私は、経年劣化で崩壊するビニールテープが嫌いなので、細い結束バンドを優先的に使いますが、経済的な事を考えると、やはりビニールテープの方が優位だと思います。

↑ 配線は何かの余りものも使えそうなら使います。
今回はケチケチ作戦なので、何かの余りで捨てずにおいた配線も使いました。
これは集中ドアロック用の配線として使われていたものなので、太さ的には十分です。
所詮、カーステのスピーカー配線…、とはいえ、細過ぎてはロスが出ます。かと言って、メートル当たり一万円以上するようなケーブルを使うのは色々な意味で無駄なのでやめた方がオススメです。
今回の「余りもの」は、壊れた集中ドアロックのアクチュエータ用の配線です。電磁石方式でドアロックを動かす為にかなりの電流が流れる為、比較的太いのです。
ここまで太くなくてもよいのですが、わざわざ新しいものを買って来るのももったいないというケチ根性で、この配線を採用しました。
電気工事関係の方が良く使う、「青。白、茶、黒」の配列を参考にリヤ右に青と白、リヤ左に茶と黒を割り当てました。
途中で配線が足りなくなった為、同じく余っていた配線の緑を使いましたが、お陰で後ろまで届きました。
捨てずに取っておくものです…。
そう言って何年も手つかずのままゴミになってしまうパターンも多いのですが…。

↑ 隙間に入れ込んでいきます。

↑ どんどん行きます。

↑ 天吊ボックスのステーを取り付ける位置を決めます。
今回、スピーカーボックスと車両との間に、金属性の留め具は使用していません。
ブラケットが車体のフレームと天井の内張りとの間に挟まるような格好で押し込まれるので、下手にビスや留め具を使うと、屋根に穴が開いてしまうからです。
そのような理由で厳重に緩衝材とゴムでブラケットを保護した訳です。

↑ 天吊ボックスを取り付けます。
ボックスと天井の間に、あの青い緩衝材が突っ込まれていますが、取付時にズレないように…、と仕込んだものです。ところが、これがまたうまい具合に振動による揺れを防止してくれるので、代わりの材料が手に入るまでこのままです。
やっぱりもっともらっておけばよかった、青いスポンジ!

↑ 汎用のスピーカーグリルです。
17センチから21センチ対応の汎用品ですが、もっとお金を出せば派手なものが手に入ります。

↑ グリル取付用のねじの頭を黒くします。
なんて事は無い。
マッキー仕様です。
これで高価な黒ニッケルメッキ風なねじが出来上がります。
艶消しにしたい場合は、塗料を手に入れるしかなさそうです。
艶消しのねじを探して購入するのも手ですが…。

↑ グリルを取付けました。
元々のグリルがボックスに付いていなかったので、こんな感じに以前使用されていたグリルの跡が残っていますが、音質改善重視なので、見なかった事にします。
時間の経過でこの跡は消えるかも知れません。
消えないかも知れませんが…。
取付完了後の画像を撮り忘れました。
また、時間があったら追加でアップデートしておきます。
音は当然の事ながら段違い平行棒です。
ちゃんとベースの音が聞こえます。
カスカスのヴォーカルの声に深みが出ました。
ここまで来ると欲が出ます。
ちょっと奮発して、USBメモリスティックから直接曲を読み込んで再生できるCDデッキを中古で購入してしまいました。
本来、MP3を対象にしたシステムのようですが、大容量メモリスティックなのをいい事に、全てWAVファイルで記録したものを再生させています。
CDデッキなのにCDが不要という…。
ただ、CDの機能は無いよりはあった方がいいと思うので、まぁいいかな、と。
逆に、CD機能ナシの新型のデッキは存在しますが、まだちょっと高価なので見送りました。
4スピーカーになったので、次にステップアップするなら、SRS-WOW システム搭載のものがいいかなぁ、と思います。
ジムニーだけど。
※ 追記致しました。
画像の追加です。
グリル装着後の画像です。
右フロントは、

↑ 汎用グリルを装着。
ロングナットを利用して、スペーサーシムはワッシャで代用します。
で、スピーカーとグリルとの間に2mm以上のクリアランスを持たせます。振動時にビビリ音が出ないようにするためです。スポンジテープを使えばベタ付けで問題ないと思います。
ちなみに、右側はヒューズボックスを左上に移設してグリルの干渉を避けてあります。
同様に左を仕上げます。

↑左の方はECUが邪魔でしたが、何とかきれいにくっつきました。
スピーカ側が3穴で、グリル側が4穴なので、取り付ける場合には双方の穴位置が重ならないように注意が必要です。
で、問題の天吊りスピーカーですが、まだ完璧ではありませんが、全体の感じはこんな仕上がりです。

↑ 青いクッション材は、仮のものです。
内装に合うクッション材を見つけて詰め込む予定です。
白色とピンクは見つけたのですが、グレーだとか外装色に合わせた青色はまだ見つかっていません…。
ま、仕方ないですね。
「お金をいかにかけずに」が本来の目的ですから、買わずに廃材を貰ってくる方式で行ってみたいと思います。
どなたかの参考になればと存じます。
さて、今回は、いまだに他界人気を博しているらしい、スズキ・ジムニー(古いヤツですよ)の、ちょっとイラッとした部分を改善して、快適に、ご満悦にドライブできるようにしてみようというコンセプトで、嫌々買う事になった「オートマチックトランスミッション」仕様のジムニーをいたぶってやる事にしました。
本当は、マニュアルトランスミッション仕様が欲しかったのですが、なかなか巡り会えず、また、この手のタイプは人気があるので、選り好みをしていくと徐々に価格が高騰していってしまうので、安くても手放してしまいたいという立場の方から購入するのが最も安価です。
今回は、現在所有している愛車がセミレストア(自分でやるので)が必要になり、冬の雪やら融雪剤やら雨やらでその作業に更に手がかかるのを懸念して、晴れの日専用にする為にセカンドカーっぽい感覚で入手しました。
本命の愛車のセミレストアは後々のログで公開致しますので、「さすがに他にもう乗っている奴はいないであろう…」と思っているWHNP11・プリメーラワゴンの方は時々覗いてみてください。
という訳で、本題へ戻ります。
スズキ・ジムニーの詳細は、Wikipedia で適当にかいつまんで情報を入手して下さい。(いつもの丸投げです)
で、とにかくカーステレオの音が悪い。
トレードインタイプの有名どころのスピーカーを付けてもほとんど変化がないと嘆いておられるブログもたくさん見かけます。
何が悪いのかといえば、その口径です。
純正で装着されているスピーカーは、まさしく当時の「軽自動車用」なスピーカーで、左右2chのステレオなんだから、それだけでもありがたいと思えって感じのものです。
口径10センチのフツーのスピーカーで重低音なんて絶対に出せません。
余程のスピーカードライブシステムを使ってスピーカーが壊れるかも知れないくらいの電気を流してあげれば出るかもです。
まぁ、あっという間に断線するか、煙が出るか、一瞬で音が出なくなるかのどれかでしょう。
純正の小さなスピーカーに拘るなら、そのままの方が良いでしょう。
トレードインスピーカーや、高価なカーステデッキを購入すのは、お金をドブに投げ入れてしまうよりも性質が悪いです。
という訳で、元々の愛車のカーステレオの音が基準になってしまっている私の場合、このジムニーのカーステの音の悪さにはどうしてもイラッと来てしまうのです。
そこで、根本的な部分からの音場管理の改変を行う事にしました。
簡単に言うと、スピーカーの口径を大きくするという事です。
本当に簡単でしょ? (出た出た、上から目線系セリフ)
しかし、私はこのジムニーにそんなにお金をかけるのもなんだなぁ、という思いで、安価で最も効果の出やすい方法を実験的に行ってみました。
あ、ちなみに、とっても高価なスピーカーとアンプを導入すれば、小さな口径でもイイ音がします。
お金持ちの方にはうってつけです。
というのは、私は純正のフロントスピーカー周辺のグリルを兼ねたカバーを撤去する事にしたからです。
要は、見てくれが悪くなるので、見た目を温存して音を良く…と考える方は、ベタ付けが可能な17cm口径のトレードインスピーカーを導入して、穴位置などを加工すればよいでしょう。
ただ、トレードインスピーカーだって、そんなにお安いものではない。
安くても数千円はするでしょうし、逆に数千円程度のスピーカーは寿命が極端に短かったり、根本的に音質が悪かったりで、結局がっかりするパターンに陥りがちになります。
そこで、そこそこのスペックで、それなりの寿命がある程度保証されているスピーカーを…、と考え、普通自動車に装着されている純正スピーカーを導入する事にしました。
万人受けする仕様ですし、万が一壊れても中古で安価に手に入れられたり、そこで初めてトレードインスピーカーを考えてもいいだろうというロジックで進めました。
前述で、「フロントのグリルを取り去る」的な記述をしました。
そうです。
リヤスピーカーもくっつけます。
よくネット画像などで良く目にするオシャレでコンパクトなものではなく、ガッツリ普通自動車用のリヤスピーカーを取り付けます。
フロントは、純正用マウントごとタッピングビスで、元々の純正スピーカーが収まっていた穴に接触しないように取り付けられる事は日産純正17センチスピーカーで実証済みですので、あえて画像も入れませんが、頑張ってくっつけて下さい。
これだけでも曲を流してから最初の数十秒は背中がゾクゾクするほど快感です。
という訳で、本題のコアな部分を書き込んでいきます。
「この辺でもいういいや」という方は、どこか他のサイトへジャンプして下さい。
ここからが縦スク地獄なので…。
では始めましょう。
導入するものは基本的に、自動車メーカーの純正品である事を条件として含みました。
ある程度の「枷」があった方が張り合いが出るというものでし(←やかましい)。
という訳で、今回入手したのは、ダイハツのムーブの天吊タイプのスピーカーボックスです。
スピーカー付きのものをそのまま付けても構いませんが、純正の16センチスピーカーですので、低音はある程度犠牲になってしまいます。
私は、最低でも17センチをキープしたいので、この天吊ボックスからはスピーカーを取り外してしまいました。

↑ 中古で入手したダイハツ・ムーブの天吊ボックス
あまりに汚かったので、この後風呂場で洗いました。
下側に移っているのは、天吊ボックスを実際に吊る為に使用するアルミ製のチャンネル材です。断面がカタカナの「コ」の字になっているもので、雑多な話ですが、フロントのホイールアライメント調整にも私は利用しています。丈夫で軽いので。
元へ戻ります。

↑ 大概、ホームセンターで売られている部材を用意します。

↑ アルミ製のレールです。
案外、これらの部材が予算を圧迫するのです。

↑ 天吊ボックスとレールのセンターの位置をあらかじめ出しておきます。
センター出しを怠ると、気を失うほどガッカリする羽目に遭うので注意しましょう。
上図は、ベニヤ板で豪快に作られた(もっと違う素材だと思っていたので、ある意味驚きました)ボックスとレールとの接点を全てビス止めする事で落下を防ぐ事にしました。長めのビスに接着剤を絡ませて使うとより効果的です。
画像内の金属粉は、ドリルでレールに開けた穴の残骸です。

↑ ビス用の穴はあくまでも「下穴」なので、ビス径より細めのドリルで開けます。
穴の開け方で強度が大きく変わるのですが、間違って大きな穴をあけてしまった場合は、レール全体の位置をオフセットするなどして穴を開けなおしてしまった方が良いでしょう。
それ以外はL字ブラケットを添えるなどの加工方法になり、余計にお金と時間がかかってしまいます。

↑ ムーブに取り付ける際に使用されていたブラケットです。
貴重なグリーン亜鉛メッキ仕様です。
現在は基本的に採用禁止な金属表面処理です。
で、このボルトが刺さっているナットが溶接止めで、後々邪魔になる可能性があるのでグラインドサンダー(通称:サンだー)で取り払いました。

↑ 購入してきた部材を組み合わせて、こんな感じに骨材を構成します。

↑ 全体の組み上がりを確認します。
なんでもそうですが、それなりのスッキリ感があると、後で色々と対応をしていく際に余裕を得られます。

↑ あらかじめ計測して邪魔になるボックス側の接触部分は削り落しておきます。
どうやって削ったのかは内緒です(冗談です)が、スピーカー自体に接着されているマウントが当たらないように何も考えずに平らにしておきます。
スピーカーマウントとボックスの「ベニヤ板」とのクリアランスを2ミリに設定しました。これで大きな音を出してもスピーカーコーンの淵が「ベニヤ板」に接触する事は無いでしょう。
16センチの穴に17センチ径スピーカーを取り付けるので、クリアランスを設けないと音を出した時に接触します。
あぁ、ベニヤ板がショック過ぎて笑ってしまう。
まぁ、金属製じゃなくて良かったです。本当は樹脂製だと思っていたので、ガス式ハンドカッターで切ってしまえば楽ちんだなぁ、と、甘い事を考えていた為に、余計にショックでした。
で、この癪に障る「ベニヤ板」を削っていくのですが、ハンドグラインダーのサンディングディスクでやると日が暮れます。対象材が木製なので、すぐに焦げて、ベニヤ板独特の煙が大量に出ます。
アタッチメントを付けたのこぎりディスクで行うと良いかも知れません。
では、こんな時にどうしたらよいか…、ですが、電気式丸のこぎり(通称:デンノコ、丸ノコ)で削っていきます。
※ 注意:木材切断専用の刃では行わないで下さい。また、深さ調整ができない丸ノコや、深さが足りない丸ノコのステーをバラしての作業は絶対に行わないで下さい。基本的に、プロの大工さんが溝切りや長さ調整に簡易的に使う工法ですので、難しいと判断された場合は、地道に手ノコとハンドグラインダーに専用のこ刃をセットして少しずつやった方が良いのかも知れません。 いずれにしても、今回の一連の作業は自己責任で行ってください。
ちなみに、私は電ノコにチップソーを取り付けて、ベニヤ板に対して直角に刃を当てて、チップの大きさの分だけ入るようにして左右に動かしながら削りました。数か所に溝を付けると、残りは手工具でつまんで折る事ができますので、そこからはサンディングでも電ノコでも仕上げていけると思いますが、私は終始刻み込みは電ノコで行いました。
大怪我の元になりますので、対象材をきちんと固定し、電ノコもしっかりと支えながら徐々に加工していきましょう。なお、このボックスのベニヤ板の中には、トラップ的に金属製の釘が打ちこまれているので、チップソーも金属も切れるものを選んでおいた方が無難です。私は、釘を発見した際には、釘をよけて刻み、釘だけサンダーで削り落としました。

↑ スピーカー取付用の部材です。
やれやれといった作業が済んだらスピーカーの取り付けです。
今回使用したのは、日産純正の17センチスピーカーです。樹脂製のマウントにきっちり接着されたスピーカーを取り外す事はできないので、マウントごと使います。
マウントの取付穴からベニヤ板までの距離を計測し、スピーカーマウントとベニヤ板までのクリアランスを2ミリで取り付けようとしたところ、偶然にも購入した長ナットの長さでピッタリでした。お陰で調整用シムの代わりに購入したワッシャが無駄になってしまいましたが…。

↑ このようにスピーカーを取り付けます。
ちなみに、端子はカプラーが無かったのでハンダ付けして配線を増設しました。
コンデンサレスのスピーカーなので、プラスとマイナスはあまり関係ありませんが、四つのスピーカーの信号の入りと出は揃えておかないといけません。逆位相という作用が起きるともったいないので。
なお、プラスとマイナスが分からない場合は、テスターをmDCにして端子に当て、スピカー表面を軽く押した時に針がマイナスに振れた時に、テスターのプラスが触れている方がプラス端子だと考えると分かりやすいと思います。邪道なやり方ですが…。

↑ 表側からだとこんな感じです。

↑ ボックス側の穴の淵が汚いので、車両へ取り付ける寸前になってマジックで黒く塗る事にしました。
超汚いボックスの淵。
日本で知らない人はそんなにいないであろう有名な油性ペン、マッキーで塗りつぶしてやりました。(画像はありませんが)
「マッキー」って、アメリカで、ティッシュがクリネックスと呼ばれているのと同じくらいの知名度だと思うのですが…。
「マジック」の方が上でしょうか…。

↑ 天吊ボックス用のブラケットが車両の金属部分に触れてしまわないように保護すします。

↑ こちらは傷防止と滑り止めを兼ねています。

↑ ホームセンターで手に入れました。

↑ 何かの梱包材です。
土木建築関係の部材用の梱包材の一部です。
たまたま工事現場のゴミ捨て場にあったものを、管理者の人にお断りして分けて頂いたものです。
「まだまだいっぱい出るから取りに来ていいよ。」
と言われましたが、ちょっとあればいいんです。
でも、今考えると、もう少し貰いに行っておけばよかったかな…、と思っています。
丈夫で使いやすいのです。
恐らく、建材屋さんに聞けば何の梱包に使われているのかが分かるかと思います。
とにかく、固くてしっかりしたスポンジです。

↑ 本当にもっともらっておけばよかった。
とにかく、丈夫で頑丈そうなスポンジ材で保護をします。
ブラケットと車両との接触を防いで、錆の原因を作らない事と滑り止めを兼ねた構成です。

↑ 配線を開始します。
ドア枠に取り付けられているゴムを剥がします。殆どの車両は手で引っ張るだけで外れます。
設計に不備がある車両だと、ここに接着剤が充填されているので上手に剥がさないとゴムが切れます。

↑ 隙間から配線を滑り込ます。
カーステのデッキからの配線部分がたるまない様に、パネルやエアコンのステーなどに、擦れて切れたり、何かに観賞したりしないように端から結束バンドで止めて行きます。

↑ 配線を滑り込ませていきます。
カーステからの配線をしっかり固定しておかないと、長さが整えられなくなるので大雑把にならない様に小刻みにビニールテープでまとめておくと作業しやすいです。
私は、経年劣化で崩壊するビニールテープが嫌いなので、細い結束バンドを優先的に使いますが、経済的な事を考えると、やはりビニールテープの方が優位だと思います。

↑ 配線は何かの余りものも使えそうなら使います。
今回はケチケチ作戦なので、何かの余りで捨てずにおいた配線も使いました。
これは集中ドアロック用の配線として使われていたものなので、太さ的には十分です。
所詮、カーステのスピーカー配線…、とはいえ、細過ぎてはロスが出ます。かと言って、メートル当たり一万円以上するようなケーブルを使うのは色々な意味で無駄なのでやめた方がオススメです。
今回の「余りもの」は、壊れた集中ドアロックのアクチュエータ用の配線です。電磁石方式でドアロックを動かす為にかなりの電流が流れる為、比較的太いのです。
ここまで太くなくてもよいのですが、わざわざ新しいものを買って来るのももったいないというケチ根性で、この配線を採用しました。
電気工事関係の方が良く使う、「青。白、茶、黒」の配列を参考にリヤ右に青と白、リヤ左に茶と黒を割り当てました。
途中で配線が足りなくなった為、同じく余っていた配線の緑を使いましたが、お陰で後ろまで届きました。
捨てずに取っておくものです…。
そう言って何年も手つかずのままゴミになってしまうパターンも多いのですが…。

↑ 隙間に入れ込んでいきます。

↑ どんどん行きます。

↑ 天吊ボックスのステーを取り付ける位置を決めます。
今回、スピーカーボックスと車両との間に、金属性の留め具は使用していません。
ブラケットが車体のフレームと天井の内張りとの間に挟まるような格好で押し込まれるので、下手にビスや留め具を使うと、屋根に穴が開いてしまうからです。
そのような理由で厳重に緩衝材とゴムでブラケットを保護した訳です。

↑ 天吊ボックスを取り付けます。
ボックスと天井の間に、あの青い緩衝材が突っ込まれていますが、取付時にズレないように…、と仕込んだものです。ところが、これがまたうまい具合に振動による揺れを防止してくれるので、代わりの材料が手に入るまでこのままです。
やっぱりもっともらっておけばよかった、青いスポンジ!

↑ 汎用のスピーカーグリルです。
17センチから21センチ対応の汎用品ですが、もっとお金を出せば派手なものが手に入ります。

↑ グリル取付用のねじの頭を黒くします。
なんて事は無い。
マッキー仕様です。
これで高価な黒ニッケルメッキ風なねじが出来上がります。
艶消しにしたい場合は、塗料を手に入れるしかなさそうです。
艶消しのねじを探して購入するのも手ですが…。

↑ グリルを取付けました。
元々のグリルがボックスに付いていなかったので、こんな感じに以前使用されていたグリルの跡が残っていますが、音質改善重視なので、見なかった事にします。
時間の経過でこの跡は消えるかも知れません。
消えないかも知れませんが…。
取付完了後の画像を撮り忘れました。
また、時間があったら追加でアップデートしておきます。
音は当然の事ながら段違い平行棒です。
ちゃんとベースの音が聞こえます。
カスカスのヴォーカルの声に深みが出ました。
ここまで来ると欲が出ます。
ちょっと奮発して、USBメモリスティックから直接曲を読み込んで再生できるCDデッキを中古で購入してしまいました。
本来、MP3を対象にしたシステムのようですが、大容量メモリスティックなのをいい事に、全てWAVファイルで記録したものを再生させています。
CDデッキなのにCDが不要という…。
ただ、CDの機能は無いよりはあった方がいいと思うので、まぁいいかな、と。
逆に、CD機能ナシの新型のデッキは存在しますが、まだちょっと高価なので見送りました。
4スピーカーになったので、次にステップアップするなら、SRS-WOW システム搭載のものがいいかなぁ、と思います。
ジムニーだけど。
※ 追記致しました。
画像の追加です。
グリル装着後の画像です。
右フロントは、

↑ 汎用グリルを装着。
ロングナットを利用して、スペーサーシムはワッシャで代用します。
で、スピーカーとグリルとの間に2mm以上のクリアランスを持たせます。振動時にビビリ音が出ないようにするためです。スポンジテープを使えばベタ付けで問題ないと思います。
ちなみに、右側はヒューズボックスを左上に移設してグリルの干渉を避けてあります。
同様に左を仕上げます。

↑左の方はECUが邪魔でしたが、何とかきれいにくっつきました。
スピーカ側が3穴で、グリル側が4穴なので、取り付ける場合には双方の穴位置が重ならないように注意が必要です。
で、問題の天吊りスピーカーですが、まだ完璧ではありませんが、全体の感じはこんな仕上がりです。

↑ 青いクッション材は、仮のものです。
内装に合うクッション材を見つけて詰め込む予定です。
白色とピンクは見つけたのですが、グレーだとか外装色に合わせた青色はまだ見つかっていません…。
ま、仕方ないですね。
「お金をいかにかけずに」が本来の目的ですから、買わずに廃材を貰ってくる方式で行ってみたいと思います。
どなたかの参考になればと存じます。
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僕の生涯の、最後の家族になる筈だった、愛犬が家から抜け出して姿を消した。
警察にも保健所にも問い合わせたが、クルマなどによる事故に遭った犬の情報もなければ、僕自身が何十キロも走って確認した段階でも、そのような現場も見当たらなかった。
近所で姿が目撃されたという情報は得られたが、何者かが捕まえてクルマで立ち去って行ったようだという情報もあって混迷を極めた。
そのワンコは深刻な心臓病で、朝晩の投薬が必須だというのに、家を抜け出してから3日が経過してしまった。
つまりその間は薬を服用していない事になる。
自前でだが、それなりに見た目にも奇麗にカットしたばかりだったし、人懐こくておとなしい性格な為、もしかしたら、保護されたままその家の犬として飼われてしまう可能性は捨て切れない。
ならば、願わくば、適切な投薬を生涯に渡って行って欲しいとさえ願う。
最悪自身の元へ戻ってこなかった場合にだが、そこにこのワンコの、この先の、続きの明るい未来があるのならば…、と願うしかなかった。
勿論、僕の元へ戻ってきてくれる事が最善の大前提に、自分の出来うる範囲で散々に手を尽くしたつもりだったし、実際にそうした。
人が集まりそうなところに迷い犬の張り紙をお願いしたり、近隣の全戸は無理だと思い、通り沿いのお宅を訪ねて回ったが、有力な情報は殆どなく、とても不安な毎日を過ごし続ける事になった。
食事を作る気力など起きず、それでも何か胃に入れねばいけないと思い、身体に良くないと知りつつジャンクフードに手を伸ばしてしまう始末へと陥った。
たった数日だが、自身の体力が急速に落ちて行くのが判るくらい食生活は悪くなった。
愛犬がいなくなった日の前日に買い溜めしておいた安売りのパンが尽き始め、改めて振り返ってみてもどうかしてしまっているとしか言いようのない、食べるパンの数を半分に減らすという手段をとった。買い物に行く時間を捜索に充てたいと考えたからだが、我ながら間抜けだと思った。
目と鼻の先にあるコンビニで少しばかり高価なぱんやらおにぎりやらを買って動けば済む程度の事だというのに、それに全く気が付かなかった。
頭では分かっていても優先順位の上の方に自分自身の食事はリストアップされて来なかったという訳だ。
取り乱すというのは、こういう状態を指すのだ。
実に典型的なパターンを演じてしまった訳だ。
日々のふとした瞬間に思い描くのは、やはり愛犬の姿だ。
最期まで手元で、最後まで付き合うと決めたワンコたちとの人生で、最も情けなく、心を搔き毟られるような、生き別れを経験する羽目になるのかも知れないと考えるだけで後悔の念が頭の中を埋め尽くした。
切り札はない訳ではないが、所詮、他人任せでしかない。
懸賞金をかけて捜索を大々的に行う事だ。
しかし、そんな財力など自身にはない事は分かっていたし、馬鹿げた妄想だとそれは諦めるしかなかった。
残された道は善意のある方による保護と、それから保健所や警察への通報だ。
それからまた一日が過ぎ、家に帰って玄関のドアを開ける瞬間に精神的なダメージを更に喰らった。
まだ完全に決まった訳ではないし諦めた訳でもないが、たった半年で、家族というものの全てを失う瞬間に自分が遭遇していると痛感した。
地元で知り合い、この周辺エリアで最も信頼を置いているたった一人の友人は自信たっぷりな口調で励ましてくれた。
「大丈夫。絶対に大丈夫だから、まずは自分がメシ食べなよ。」
どうしてそんなにきっぱりと言い切れるんだと思うと、不思議と涙がこみ上げた。
この数日間の気持ちの痛みをその言葉が緩和してくれた。
そして、彼は言う。
「強く心で願う事!」
愛犬が無事に僕の所へ帰ってくるようにと、願って、願って、呼吸を止めて空を仰ぐ。そして、ゆっくりと息を吐く。
無事に帰ってきたら、思う存分に抱きしめてあげよう。
もう、どこへも行かないように、そっと言い聞かせながら頭を撫でてあげよう。
今は、強くそう思うしかないのだと、必死でワンコの無事を願った。
神がいるというのなら、そして対価として何かが必要だというのなら、僕の目でも腕でも持って行けばいいとさえ思うようになった。
犬バカ風情も度を超すとこうなるのだ。
最後に残った僕の家族が姿を消し、そして時間が経つにつれ妙な思考に苛まれるようになった。
どこかのお宅で保護され、そのままそのご家庭が家族の一員として僕の犬を別の名で迎え入れてくれるというのならば、そして、きちんと獣医師にかかり、適切な治療を受けられるのであれば、それももうひとつのワンコの運命であり、生涯でもあるのだろうというものだ。
我に返った途端に、何を腑抜けた事を…、と思いながら溜息をつくのだから始末に負えない。
でも、探すのを諦める訳でもなく、あちこちへと訪ねまわるのだ。
人は矛盾する生き物だと教えられた事があるが、身に染みて腑に落ちたのは、今になって、この歳になって初めてだった。
人が歳を重ね、家族が減り、やがて独りになった時、それが大切な存在であればある程、心に隙間はできやすくなるのだろうし、その隙間の大きさは計測不能だ。
計り知れないのだ。
そう、心底思い知らされた。
しかし、どんな所で、一体どんな力が、全くどんな風に働くのかは分らないが、友人の「大丈夫」が真になった瞬間に、そんなどん底な気持ちが一変したのだ。
180度ひっくり返ったのだ。
手のひらを返したように、未確定の、でも、真実味に溢れた情報に踊らされるかの如く、気持は晴れ上がる。
実に都合良く…、だ。
僕の犬が見つかったらしいとの情報が入ったのだ。
それは保健所からの連絡だった。
僕の愛犬らしき犬の保護をされた方から連絡があったので、そちらへ直接電話をしてくれというものだった。
保護をされた方へ連絡をし、愛犬の詳細な特徴と保護された犬の特徴との擦り合わせを行った。
間違いないと確信が持てる内容だった。
それから自分の愛犬思しき犬を迎えに急ぎ、そして、それはそのまま再会となった。
やつれたというか、クタクタになったというか、泥埃で汚れてはいたものの、見覚えのある犬がそこにいた。
名を呼ぶと反応して、ヨロリと立ち上がった。
保護をして頂いていた方は良かったと喜んで下さった。
保護をして下さった方は動物愛護に対して深い理解があった。
通常、動物を保護した場合には保健所へ連絡をする。次の手順として、保健所がその当該動物を回収に来る。保健所が保護した動物の所有者が引取りに来るのを待つという形式になっている。
今回、僕の犬を保護して下さった方は、保健所に連絡はしたものの引き渡しを拒んだとの事だった。
詳細は記述できないが、理由は保健所に行った事がある人ならば、そして事情に精通している方ならば、十分に理解できる内容だ。
お陰で、僕の犬は最短で、健康状態の増悪に晒される事もなく、僕の元へと戻ったのだった。
愛犬を連れて帰った僕は、毛に付いてしまった植物の種やゴミや糞などをバリカンを使って手早く刈り落し、シャンプーで埃汚れを洗い流し、かかりつけの動物病院へと向かった。
室内犬が迷い犬として彷徨った際には、その犬はいくつものリスクを伴う事になる。
未知のものに対する興味や刺激で、思いがけないものを口にしてしまったり、無意識のうちに触ってはいけないものに触れてしまったり、付かれては困るものに取りつかれたり、刺されたりしてしまっているケースが往々にしてあるのだ。
僕の愛犬に対する懸念事項もそれだった。
かかりつけの獣医師も同意見で、最初に行ったのが血液検査だった。
結果が出るまでにひと通りのエコー検査や、植物の棘等による怪我の治療、取りきれていなかったゴミの除去をしてもらった。
マダニ、ノミ、フィラリア、農薬、忌避薬、殺鼠剤などの影響の有無を確かめ、問題を端から潰していった。
今は治療薬の開発が著しく、同時に複数の症状に対処できるものが製造されている。
今回の診断で、僕の犬は大事をとり、抗生剤の注射と、ノミやフィラリアなどに同時に作用する上述の塗り薬と、血液検査からの判断で、肝臓保護薬の飲み薬で対処する事になったのだが、血液検査の結果が出るまで暫くかかる時間の間にもらった電話で、僕は更に心に染みる思いを経験した。
それは僕の犬が見つかった事に、電話の向こうで泣いて喜んでくれる知人男性の涙声だ。
つられて自分も涙が滲んでしまった。
自身でも犬と家族として暮らす電話の向こうの彼は、僕の犬の無事に惜しみなく涙を流してくれたのだ。
温かく、優しく、ありがたく…。
ワンコ達からもらえるものが、こんなところにもあったのだ。
何よりも嬉しい宝物を、一般的にペットと称される家族たちの繋がりから我々は貰っている。
たくさん貰っている。
それこそ計り知れない大きさのものを知らずしらずのうちにさまざまなカタチでだ。
ありがたい。
と、一言で言い表すには、もったいない。
そんな気がするのは僕だけかも知れないけれど。
仕方がないから、やはり…。
「ありがとう」
なのだ。
後日談というか、愛犬と共に自宅へ戻った数時間後の新聞の折り込みに、迷い犬の捜索願いのチラシが挟まれて配達されたのだ。
前日に新聞店へ折り込みチラシのお願いをしに行った訳なのだが、そこのオーナーが愛犬家で、親身になって格安で折り込みをして下さったのだ。
愛犬が見つかったからといって、恐らく折り込みが終わっているであろう時間に依頼の取り下げをするのも如何なものかと思い、そのチラシが配達された翌日に、捜索していた犬が無事に見つかった旨を記述したチラシを折り込んでもらいに御礼を兼ねて新聞店へ行った。頂いたご好意にケチをつけたくなかったので、事実は少し捻じ曲げられて伝わる事となった。
「お陰さまで、チラシが入った日に情報が入りまして、無事に見つかりました。」
愛犬の放浪日数=5.5日
愛犬の放浪距離=最短計測で約5km
その間の天候=雨天1日、最低気温12℃の日が1日
警察にも保健所にも問い合わせたが、クルマなどによる事故に遭った犬の情報もなければ、僕自身が何十キロも走って確認した段階でも、そのような現場も見当たらなかった。
近所で姿が目撃されたという情報は得られたが、何者かが捕まえてクルマで立ち去って行ったようだという情報もあって混迷を極めた。
そのワンコは深刻な心臓病で、朝晩の投薬が必須だというのに、家を抜け出してから3日が経過してしまった。
つまりその間は薬を服用していない事になる。
自前でだが、それなりに見た目にも奇麗にカットしたばかりだったし、人懐こくておとなしい性格な為、もしかしたら、保護されたままその家の犬として飼われてしまう可能性は捨て切れない。
ならば、願わくば、適切な投薬を生涯に渡って行って欲しいとさえ願う。
最悪自身の元へ戻ってこなかった場合にだが、そこにこのワンコの、この先の、続きの明るい未来があるのならば…、と願うしかなかった。
勿論、僕の元へ戻ってきてくれる事が最善の大前提に、自分の出来うる範囲で散々に手を尽くしたつもりだったし、実際にそうした。
人が集まりそうなところに迷い犬の張り紙をお願いしたり、近隣の全戸は無理だと思い、通り沿いのお宅を訪ねて回ったが、有力な情報は殆どなく、とても不安な毎日を過ごし続ける事になった。
食事を作る気力など起きず、それでも何か胃に入れねばいけないと思い、身体に良くないと知りつつジャンクフードに手を伸ばしてしまう始末へと陥った。
たった数日だが、自身の体力が急速に落ちて行くのが判るくらい食生活は悪くなった。
愛犬がいなくなった日の前日に買い溜めしておいた安売りのパンが尽き始め、改めて振り返ってみてもどうかしてしまっているとしか言いようのない、食べるパンの数を半分に減らすという手段をとった。買い物に行く時間を捜索に充てたいと考えたからだが、我ながら間抜けだと思った。
目と鼻の先にあるコンビニで少しばかり高価なぱんやらおにぎりやらを買って動けば済む程度の事だというのに、それに全く気が付かなかった。
頭では分かっていても優先順位の上の方に自分自身の食事はリストアップされて来なかったという訳だ。
取り乱すというのは、こういう状態を指すのだ。
実に典型的なパターンを演じてしまった訳だ。
日々のふとした瞬間に思い描くのは、やはり愛犬の姿だ。
最期まで手元で、最後まで付き合うと決めたワンコたちとの人生で、最も情けなく、心を搔き毟られるような、生き別れを経験する羽目になるのかも知れないと考えるだけで後悔の念が頭の中を埋め尽くした。
切り札はない訳ではないが、所詮、他人任せでしかない。
懸賞金をかけて捜索を大々的に行う事だ。
しかし、そんな財力など自身にはない事は分かっていたし、馬鹿げた妄想だとそれは諦めるしかなかった。
残された道は善意のある方による保護と、それから保健所や警察への通報だ。
それからまた一日が過ぎ、家に帰って玄関のドアを開ける瞬間に精神的なダメージを更に喰らった。
まだ完全に決まった訳ではないし諦めた訳でもないが、たった半年で、家族というものの全てを失う瞬間に自分が遭遇していると痛感した。
地元で知り合い、この周辺エリアで最も信頼を置いているたった一人の友人は自信たっぷりな口調で励ましてくれた。
「大丈夫。絶対に大丈夫だから、まずは自分がメシ食べなよ。」
どうしてそんなにきっぱりと言い切れるんだと思うと、不思議と涙がこみ上げた。
この数日間の気持ちの痛みをその言葉が緩和してくれた。
そして、彼は言う。
「強く心で願う事!」
愛犬が無事に僕の所へ帰ってくるようにと、願って、願って、呼吸を止めて空を仰ぐ。そして、ゆっくりと息を吐く。
無事に帰ってきたら、思う存分に抱きしめてあげよう。
もう、どこへも行かないように、そっと言い聞かせながら頭を撫でてあげよう。
今は、強くそう思うしかないのだと、必死でワンコの無事を願った。
神がいるというのなら、そして対価として何かが必要だというのなら、僕の目でも腕でも持って行けばいいとさえ思うようになった。
犬バカ風情も度を超すとこうなるのだ。
最後に残った僕の家族が姿を消し、そして時間が経つにつれ妙な思考に苛まれるようになった。
どこかのお宅で保護され、そのままそのご家庭が家族の一員として僕の犬を別の名で迎え入れてくれるというのならば、そして、きちんと獣医師にかかり、適切な治療を受けられるのであれば、それももうひとつのワンコの運命であり、生涯でもあるのだろうというものだ。
我に返った途端に、何を腑抜けた事を…、と思いながら溜息をつくのだから始末に負えない。
でも、探すのを諦める訳でもなく、あちこちへと訪ねまわるのだ。
人は矛盾する生き物だと教えられた事があるが、身に染みて腑に落ちたのは、今になって、この歳になって初めてだった。
人が歳を重ね、家族が減り、やがて独りになった時、それが大切な存在であればある程、心に隙間はできやすくなるのだろうし、その隙間の大きさは計測不能だ。
計り知れないのだ。
そう、心底思い知らされた。
しかし、どんな所で、一体どんな力が、全くどんな風に働くのかは分らないが、友人の「大丈夫」が真になった瞬間に、そんなどん底な気持ちが一変したのだ。
180度ひっくり返ったのだ。
手のひらを返したように、未確定の、でも、真実味に溢れた情報に踊らされるかの如く、気持は晴れ上がる。
実に都合良く…、だ。
僕の犬が見つかったらしいとの情報が入ったのだ。
それは保健所からの連絡だった。
僕の愛犬らしき犬の保護をされた方から連絡があったので、そちらへ直接電話をしてくれというものだった。
保護をされた方へ連絡をし、愛犬の詳細な特徴と保護された犬の特徴との擦り合わせを行った。
間違いないと確信が持てる内容だった。
それから自分の愛犬思しき犬を迎えに急ぎ、そして、それはそのまま再会となった。
やつれたというか、クタクタになったというか、泥埃で汚れてはいたものの、見覚えのある犬がそこにいた。
名を呼ぶと反応して、ヨロリと立ち上がった。
保護をして頂いていた方は良かったと喜んで下さった。
保護をして下さった方は動物愛護に対して深い理解があった。
通常、動物を保護した場合には保健所へ連絡をする。次の手順として、保健所がその当該動物を回収に来る。保健所が保護した動物の所有者が引取りに来るのを待つという形式になっている。
今回、僕の犬を保護して下さった方は、保健所に連絡はしたものの引き渡しを拒んだとの事だった。
詳細は記述できないが、理由は保健所に行った事がある人ならば、そして事情に精通している方ならば、十分に理解できる内容だ。
お陰で、僕の犬は最短で、健康状態の増悪に晒される事もなく、僕の元へと戻ったのだった。
愛犬を連れて帰った僕は、毛に付いてしまった植物の種やゴミや糞などをバリカンを使って手早く刈り落し、シャンプーで埃汚れを洗い流し、かかりつけの動物病院へと向かった。
室内犬が迷い犬として彷徨った際には、その犬はいくつものリスクを伴う事になる。
未知のものに対する興味や刺激で、思いがけないものを口にしてしまったり、無意識のうちに触ってはいけないものに触れてしまったり、付かれては困るものに取りつかれたり、刺されたりしてしまっているケースが往々にしてあるのだ。
僕の愛犬に対する懸念事項もそれだった。
かかりつけの獣医師も同意見で、最初に行ったのが血液検査だった。
結果が出るまでにひと通りのエコー検査や、植物の棘等による怪我の治療、取りきれていなかったゴミの除去をしてもらった。
マダニ、ノミ、フィラリア、農薬、忌避薬、殺鼠剤などの影響の有無を確かめ、問題を端から潰していった。
今は治療薬の開発が著しく、同時に複数の症状に対処できるものが製造されている。
今回の診断で、僕の犬は大事をとり、抗生剤の注射と、ノミやフィラリアなどに同時に作用する上述の塗り薬と、血液検査からの判断で、肝臓保護薬の飲み薬で対処する事になったのだが、血液検査の結果が出るまで暫くかかる時間の間にもらった電話で、僕は更に心に染みる思いを経験した。
それは僕の犬が見つかった事に、電話の向こうで泣いて喜んでくれる知人男性の涙声だ。
つられて自分も涙が滲んでしまった。
自身でも犬と家族として暮らす電話の向こうの彼は、僕の犬の無事に惜しみなく涙を流してくれたのだ。
温かく、優しく、ありがたく…。
ワンコ達からもらえるものが、こんなところにもあったのだ。
何よりも嬉しい宝物を、一般的にペットと称される家族たちの繋がりから我々は貰っている。
たくさん貰っている。
それこそ計り知れない大きさのものを知らずしらずのうちにさまざまなカタチでだ。
ありがたい。
と、一言で言い表すには、もったいない。
そんな気がするのは僕だけかも知れないけれど。
仕方がないから、やはり…。
「ありがとう」
なのだ。
後日談というか、愛犬と共に自宅へ戻った数時間後の新聞の折り込みに、迷い犬の捜索願いのチラシが挟まれて配達されたのだ。
前日に新聞店へ折り込みチラシのお願いをしに行った訳なのだが、そこのオーナーが愛犬家で、親身になって格安で折り込みをして下さったのだ。
愛犬が見つかったからといって、恐らく折り込みが終わっているであろう時間に依頼の取り下げをするのも如何なものかと思い、そのチラシが配達された翌日に、捜索していた犬が無事に見つかった旨を記述したチラシを折り込んでもらいに御礼を兼ねて新聞店へ行った。頂いたご好意にケチをつけたくなかったので、事実は少し捻じ曲げられて伝わる事となった。
「お陰さまで、チラシが入った日に情報が入りまして、無事に見つかりました。」
愛犬の放浪日数=5.5日
愛犬の放浪距離=最短計測で約5km
その間の天候=雨天1日、最低気温12℃の日が1日
- このエントリーのカテゴリ : わんこ
命があるという事は、いずれその灯火は消えてしまうという事でもある。
何故も何もない。
それが魂ではないからだという人もいれば、それが自然の摂理だからと躊躇なく口にする人もいる。
ただ、僕の場合はそのどちらをも否定はしない。そもそも否定する以前に、というか、肯定する以前にそのどちらにも当てはまらないところで思考が止まってしまうからだ。
確かに早いか遅いかで、死は必ず訪れる。
誰の身にも例外なくだ。
ならば魂はどうかといえば、魂そのものが客観的な評価、認識でしか存在しえない以上、考えても仕方がない事だと感じているからだ。
特に、別に、無感動や無感情や無慈悲になった訳ではなくて、ただ、当たり前のように、それがそういうものであるという捉え方をするようになっただけで、抗う事も、足掻く事も、実を言うと散々やった。
本当に自分ができる範囲でやり尽くせる事は、きっと多分、限界までやった。
そう思いたい。
「ごめんね、というケースではないです。」
獣医師は徐に声をかけてくれた。
「むしろ、ここまでやってもらえて幸せだったと私は思います。」
彼は、ゆっくりと、静かにそう言ってくれた。
「もしかしたら、治療を続けたせいで、苦しみが伸びてしまったのかも知れないと思われるかもしれませんけれど、私はそれは違うと思います。オトちゃんは、本当に幸せだったと思います。この飼い主さんと居られたことを幸せに思ってくれていると思います。」
そして、ご自身の犬を失った時の話と重ね合わせるかのようにして、優しく続けてくれた。
「もう少し後になるだろうけれど、先に行って待っていてくれよな。って、そういう気持ちで十分だと私は思います。本当に一緒に、懸命に頑張られたのを私は見て来ましたから。」
娘であるキョロちゃんが逝ってから、ほぼちょうど2か月後、母親であるオトが命の火を尽くした。
持病の皮膚病・脂漏症から始まり、マラセチア菌による外部からの攻撃の侵攻に紛れて、ブドウ球菌の皮下侵食を併発し、心肥大症を抱えながら、まずは皮膚の健全化を図るべきと始めたシャンプーの途中で、心臓発作でオトは気を失った。
その直後から食事を摂らなくなった彼女を院へ連れて行き、新たに腎不全が発覚したのだった。
恐らくは腎不全による痙攣か心房細動による失神が命を落した原因だろうと獣医師は診断した。
死の瞬間に、すぐそばにいなかった僕には、正確な死に繋がった下人を特定できる情報を伝える術がなかったが故の診立てだ。
真実を知ったからと言って気持ちが晴れる訳ではないし、そばに居なかった事を悔いたところで、それまでの彼女の苦しみを取り去れた訳でもない。
全てを、そうなってしまった事の結末を、ただ受け入れて、無理やりにでも腑に落ちるようにしなければならない。
そうでなければ、残酷でしかなりえないと、そう思うからだ。
キョロちゃんの時と同じように、昨日の雨が嘘のように空は晴れ上がった。
そして、キョロちゃんの時と同じ場所で、オトは空へと旅立った。

本来なら、荒れた肌に血痕を残したままの姿で荼毘に付される筈だったのだが、獣医師に無理を言って死化粧をしてもらっていた。
たかが犬、たかがペットの死体。
けれど、彼らはオトの遺体を丁寧に清め、花飾りの付いたリボンを餞代わりに添えてくれた。
医師ならではの適切な処置で、通夜を開けて旅に出るまでの間に、段ボールの棺を汚さずに済んだ。
まだ3年くらいは一緒に居られると思っていた。
まだあれこれと話しかけて反応を楽しめると思っていた。
まだこっそりと白菜を盗み食いしたり、キュウリに襲いかかるようにかじり付いたりする姿に笑えるのだろうと思っていた。
でも、もう、それらは全部、思い出になった。
僕だけの思い出になった。
そういえば、ドラえもんのポケットの中に、時間の流れを体感できるアイテムがあったっけ。
時だけは無造作に、無頓着に、躊躇なく強引に流れ去って行く。
僕の思い出は、その流れに乗って、僕がこの世を去る時までのものでしかない。それだけのものだろうし、それだけのものでしかない。
こうしてオンラインで、どこかにこのログが残ったとしても、その「時」が過ぎた瞬間に「無」に還る。
それまでの間だけれど、オトに伝えておきたい事がある。
一緒に過ごせた事。
共に闘った事。
家族になってくれた事。
本当に、心の底から、ありがとう。
愛しているよ。
虹の橋の袂で、転げまわって走りまわって、そしてグーグー寝ながら待っているように。
じゃあ、またね。
何故も何もない。
それが魂ではないからだという人もいれば、それが自然の摂理だからと躊躇なく口にする人もいる。
ただ、僕の場合はそのどちらをも否定はしない。そもそも否定する以前に、というか、肯定する以前にそのどちらにも当てはまらないところで思考が止まってしまうからだ。
確かに早いか遅いかで、死は必ず訪れる。
誰の身にも例外なくだ。
ならば魂はどうかといえば、魂そのものが客観的な評価、認識でしか存在しえない以上、考えても仕方がない事だと感じているからだ。
特に、別に、無感動や無感情や無慈悲になった訳ではなくて、ただ、当たり前のように、それがそういうものであるという捉え方をするようになっただけで、抗う事も、足掻く事も、実を言うと散々やった。
本当に自分ができる範囲でやり尽くせる事は、きっと多分、限界までやった。
そう思いたい。
「ごめんね、というケースではないです。」
獣医師は徐に声をかけてくれた。
「むしろ、ここまでやってもらえて幸せだったと私は思います。」
彼は、ゆっくりと、静かにそう言ってくれた。
「もしかしたら、治療を続けたせいで、苦しみが伸びてしまったのかも知れないと思われるかもしれませんけれど、私はそれは違うと思います。オトちゃんは、本当に幸せだったと思います。この飼い主さんと居られたことを幸せに思ってくれていると思います。」
そして、ご自身の犬を失った時の話と重ね合わせるかのようにして、優しく続けてくれた。
「もう少し後になるだろうけれど、先に行って待っていてくれよな。って、そういう気持ちで十分だと私は思います。本当に一緒に、懸命に頑張られたのを私は見て来ましたから。」
娘であるキョロちゃんが逝ってから、ほぼちょうど2か月後、母親であるオトが命の火を尽くした。
持病の皮膚病・脂漏症から始まり、マラセチア菌による外部からの攻撃の侵攻に紛れて、ブドウ球菌の皮下侵食を併発し、心肥大症を抱えながら、まずは皮膚の健全化を図るべきと始めたシャンプーの途中で、心臓発作でオトは気を失った。
その直後から食事を摂らなくなった彼女を院へ連れて行き、新たに腎不全が発覚したのだった。
恐らくは腎不全による痙攣か心房細動による失神が命を落した原因だろうと獣医師は診断した。
死の瞬間に、すぐそばにいなかった僕には、正確な死に繋がった下人を特定できる情報を伝える術がなかったが故の診立てだ。
真実を知ったからと言って気持ちが晴れる訳ではないし、そばに居なかった事を悔いたところで、それまでの彼女の苦しみを取り去れた訳でもない。
全てを、そうなってしまった事の結末を、ただ受け入れて、無理やりにでも腑に落ちるようにしなければならない。
そうでなければ、残酷でしかなりえないと、そう思うからだ。
キョロちゃんの時と同じように、昨日の雨が嘘のように空は晴れ上がった。
そして、キョロちゃんの時と同じ場所で、オトは空へと旅立った。

本来なら、荒れた肌に血痕を残したままの姿で荼毘に付される筈だったのだが、獣医師に無理を言って死化粧をしてもらっていた。
たかが犬、たかがペットの死体。
けれど、彼らはオトの遺体を丁寧に清め、花飾りの付いたリボンを餞代わりに添えてくれた。
医師ならではの適切な処置で、通夜を開けて旅に出るまでの間に、段ボールの棺を汚さずに済んだ。
まだ3年くらいは一緒に居られると思っていた。
まだあれこれと話しかけて反応を楽しめると思っていた。
まだこっそりと白菜を盗み食いしたり、キュウリに襲いかかるようにかじり付いたりする姿に笑えるのだろうと思っていた。
でも、もう、それらは全部、思い出になった。
僕だけの思い出になった。
そういえば、ドラえもんのポケットの中に、時間の流れを体感できるアイテムがあったっけ。
時だけは無造作に、無頓着に、躊躇なく強引に流れ去って行く。
僕の思い出は、その流れに乗って、僕がこの世を去る時までのものでしかない。それだけのものだろうし、それだけのものでしかない。
こうしてオンラインで、どこかにこのログが残ったとしても、その「時」が過ぎた瞬間に「無」に還る。
それまでの間だけれど、オトに伝えておきたい事がある。
一緒に過ごせた事。
共に闘った事。
家族になってくれた事。
本当に、心の底から、ありがとう。
愛しているよ。
虹の橋の袂で、転げまわって走りまわって、そしてグーグー寝ながら待っているように。
じゃあ、またね。
- このエントリーのカテゴリ : わんこ
いつもくだらない事ばかりで、縦スクロール専門的な僕のブログですが、ダラダラ感をそのままに、最近起きた切ない出来事をログにしました。
途中で疲れたら他のサイトへジャンプしてくださいませ。
今日の日が落ちてから間もなくの時。
ひとつの命が永い眠りに就きました。
振り返ればとてもいい子でした。
本当は大きな病を患っていたのに、この飼い主ときたら元気で病気をしない元気な子だと思っていたのです。
10日ほど前から震えたり食欲が落ちたりして、風邪っぽいのだろうか…、などと安易に考えていた。
確定申告から帰る時、ふと、あの子を病院へ連れて行こうという気持ちが湧きあがりました。今朝はそれなりに食事をしていたし、幾分、昨日よりは元気そうに感じていたのだけれど、何かがおかしいと、もしかしたら神か仏か、僕の身体に憑いているもの、傍にいる何かが耳元で囁いたのかも知れないのだけれど、ただ何となく、そんな程度の感覚で、僕はまっすぐ家に戻ると、書類を置いてその子を連れて病院へ向かった。
クルマに乗り込む時、やはりその子の身体は震えていて、そしてやはり元気がないのを抱きかかえる腕で感じてしまった。
頭の中には急がなくてはいけないのかもしれないという焦りが溢れ、雨の降りだした街の、かかりつけの動物病院へ向かう道を、規則をそれなりに守って走っている前のクルマに若干の苛つきを覚えながら、でも、助手席で丸くなっているこの子に気を遣いながらクルマを走らせた。
かかりつけの獣医師はこの子に触れはじめてから3分程で重篤だという診立てをした。
ご飯も食べたし、歩けていたし、少し寒くて具合が悪いだけだと思っていた間抜けな飼い主の僕は、その数分後に突き付けられる最初の検査によって出された診断結果に愕然とさせられるのだ。
そして、自身の愚かしさに項垂れ、戸惑い、慌てふためくのだ。
末期の腎不全だった。
エコー画像、レントゲン、血液検査でその全てが裏付けられた結果だった。
腎不全には特効薬がない。
幸いにも、人間に対しては、腎臓移植や透析などという手法が選択できる。
でも、この子にはそれがない。点滴やら微かか効果が認められているという投薬治療で、最期の時までを騙しだまし、ちょっとずつ、でも確実にその時へとにじり寄るような苦しい日々を送るという選択と、治療そのものを受けられないという選択しか残されない。
自分では選べないのだ。
安楽死は?
それはこの子の場合は僕が選ぶ選択肢だ。やはりこの子のものではない。
治療を施しても、もって半年くらいがリミットだと獣医師は僕に伝えた。リミットとは治療開始のそれではなく、命の営みのそれだ。
苦しいのか。
苦しいし、だるい。
痛いのか。
痛いと言うより辛い。
そんな日々をあと半年も続けて、そして、あと半年しかない日々を過ごすという現実を、もしそれが僕に起きたのだったら…、と身を置き換えて考えてみると、ぞっとする以外の言葉がすぐには見つからない。
誰かの意思で命を終わらせてもらった方がはるかに幸せなのではないかと思えるようになったのは、その数分後、点滴を使った治療と、投薬を併用した治療のプランに関わる説明をしてもよいかと獣医師が徐で優しい声で聞いてくれた時だった。
その獣医師は、彼は彼なりに自身の愛犬を自身で治療し、最期まで手を尽くし、そして看取った時に己のそれまでの処置に問題があったのではないかという遺恨を常に感じて生きていると言った。
だからこそ、治療に関して幾つものプランを、さまざまなケースを予測に入れて提示できるという能力に長けているのだろう。
彼の提示したプランは、当然の事ながら、大金持ちではない僕に合わせたものだった。
彼は、とりあえず、一旦このだるくてしんどい症状を可能な限り軽くして、通院できるようにする為の数日間の入院だった。
ギリギリだが、何とかできるかも知れない金額に至るプランだ。
それでも他の動物病院と比べたら安い方だ。とてもICUまで完備している病院とは思えない費用設定だ。
僕はすぐにこの子を入院させる事にした。
それではすぐに入院の為の処置をしますので待合室でお待ち下さい、と獣医師の傍らにいた女性スタッフがこの子を抱き上げて行った。
待合の通路でワクチンや、流行している病気や、新しいドッグフードのポスターを眺めながら、病院の奥の方から聞き慣れない声がしているのを耳にしていた。ネコか何か他の動物の声が響いているのだと、そう思っていた。
これから入院して、少しでも症状を軽くする為の処置を施されているあの子の声だとは微塵にも思わなかった。
直後にスタッフの女性が僕に声をかけてきた。
容体が急変して…。こちらへどうぞ。
と、彼女は急ぎつつも落ち着いた仕草で僕を処置室まで導いてくれた。
そこに居たのは、あの聞き慣れない声を出していたのは、この子だったのだと自分の目を疑った。
幾つかの管や脈を取るセンサーのようなものが付けられ、ドラマなどの病室のシーンで人が亡くなった時に聞こえてくる、ピーという音がしたり、消えたりしていた。
心室細動を起こしている状態なのだという。
AEDでショックを与える事でなんとかできるかも知れない、と獣医師が人工呼吸器をこの子にセットしながら慌て気味に言った。
耐えられなかったのは僕の方だった。
この街に来て2年もしないうちにドライアイが原因で失明し、嗅覚と聴覚だけで生活しなければならなくなったこの子の瞳は、見開いたまま乾燥し、手足は有意識下で動いているのではなく、痙攣で微かに動いているように見えた状態で、人工呼吸器を外してしまったら即座に心臓は完全に停まってしまうとの事だった。
この状態で苦しみをこの子が感じているのであれば、どうか安楽死の薬を使って…、などと、口を衝いて出た自分の言葉はもう声にならなくなっていた。
獣医師の彼は、殆どなにも発する事ができていない僕の様子を見ながら、分かりました、とそう言った。
処置室から出され、数分待たされた後で再び処置室に戻された時、そこにはおおよその管やセンサーを取り外されたあの子の身体が横たわっていた。
手を伸ばして、その頭や背中を撫でた。
苦しかったね。
辛かったね。
ごめんね。
そんな事を呟いて、もう何度かその身体を撫でた。
痩せてしまって少し骨ばった感触のその子の身体から手を離すと、僕は診察室で待つようにと促された。
診察室の動物用の体重計の脇にある椅子に座って、レントゲンやエコーの画像の映し出されたPCモニターに目をやりながら思った。
あの子は、僕の日当と一日当たりの入院費が同じで、正直苦しいかなぁ、などと、治療プランを聞かされた時に思ってしまった自分の気持ちを拾い上げたのではないかと感じ始めた。その時に診察室に入って来た獣医師は、最初に僕に詫びた。
詫びる必要などないのに、彼は、診察をし、診断をし、今よりは改善する治療方法を勧めておきながらこんな事になってしまって申し訳ない、と、そういう事だった。
僕としては、本音で言ってしまえば、昼間誰もいない自宅であの子があのような容体に陥ったとしたならば、そして、原因も理由も恐らく全く分からないままで終わってしまうのなら、その悔いは数十倍にも数百倍にも膨れ上がる。けれど、彼のお陰で病名も症状も状態も腑に落ちる形で示してもらえたのだからありがたい。かえって入院にあたっての費用の金勘定で心の中で小さく溜め息をついていた自分の情けない姿の方が数千倍も痛い。
すると、獣医師はこんな事を躊躇いながら口にした。
私がこんな事を言うのも失礼な話なのかも知れませんが、あの子は悟っていたのではないでしょうか。とかく、そういう事が往々にしてあると私は思うんです。
僕もそれは信じたいと思った。
あの子は、病院の診察室で、人が交わした言葉の雰囲気で、その中で際立って僕の気持を察知して、先の知れたその身と、僕のような頼りない飼い主の境遇の両方を汲んで逝ったのかも知れないと思ったのだ。
まだ半年残っていたけれど、もう半年徐々に苦しくなって辛くなって痛い思いをする事と、今日を終いに最期の時にしてしまう事とを天秤にかけて、そして後者を選んで駄目な飼い主を救ったのだと、そう信じると言うよりも、もう、そうなのだと考えてしまっていた。
大した事など何もしてあげられなかった。
目が悪くなってから散歩にも行ってあげられなかった。
ずっと同じレイアウトの部屋の中で、目や顔を傷付けないようにしたひとつの部屋の中で暮らす毎日しかあげられなかった。
皮膚病もあった為、単調で味付けなど殆どないマンネリな僕の作ったものしかあげられなかった。
極めつけが、大病を患っていた事に全く気付かないでいる始末だ。
過去を嘆いても仕方がないと言うけれど、嘆きたいのが心情だ。
早く気が付いていれば、視力も健康な皮膚も、短くして命を落とす事もなかったのだと思えば思うほど悔やみきれない切なさが残る。
そんな事をしても、何ひとつ変わらないのだけれど。
せめて、今夜はずっとそばにいてあげたい。
迷惑なのかも知れないけれど。
押しつけがましい飼い主の不器用な愛情表現だと自覚はしているのだけれど。
今夜はそばにいてあげたい。
ワンコ達はヒトよりも速い時のカウントで生涯を駆け抜けてしまう。余程の事があろうとなかろうと、だ。ヒトの何倍もの時間の重さを背負って生きていると考えるのならば、飼い主もしくは好きな人が、そばにいてあげられる時間を最大限に作る事がワンコ達にとって、それは最も基本となる幸せなのかも知れない。
勿論、これは勝手な飼い主側の論理なのだけれど。
それしか思い浮かばないから、最後くらいはと思い至るから、だからこんな安直な事しかできないのだろう。
お通夜だから、朝までずっと一緒にいよう。
病院のご厚意で綺麗な旅化粧をしてもらったこの子の姿をずっと眺めていよう。
でも、もしかしたら、うっかりうたた寝をして、燈明も線香も消え失せた部屋で、夢に出て来てこの子は僕と遊んでくれるかも知れない。
むしろ、それを狙って眠ってみるのも一計かとも思う。
少し悩ましいところだ。
どちらにしても、伝えたい事は同じだ。
ごめんね。
今まで一緒にいてくれて本当にありがとう。
愛してるよ。
そして、もうひとつ。
それじゃあ、またね。
キョロちゃん。
本当の名前はキョウコ。
少し早目過ぎるお別れだね。
明日、キョウコは煙と共に空に昇ります。
晴れるといいな。
そして翌日。
目を疑うほどに晴れ上がった空だった。

雲ひとつない快晴。
上空に少しだけ強い風。
暦通りなのか、微かに春めいた空気だった。
今日はキョロちゃんが空へ昇る日。
願った通りに天気は晴れた。
予想以上に、昨晩の雨が嘘のように、お父さんワンコのごえもんを空へ見送った時と同じような晴れ具合だ。
親に似たのかも知れない、と思ってしまった程だ。
キョロちゃんの、魂が抜けて残された身体が納められた段ボール箱から、炉に入れてはいけないものを全て取り去ると、キョロちゃんの身体の全体が露わになった。
すっかり冷たくなってしまった頭を撫でた。
固くなってしまった背中も撫でた。
そして、身体全体をそっと撫でて、それでお終いにした。
自分の心にもけじめを付けた。
炉の係の方がキョロちゃんを箱ごと炉の中央に移し、線香の束を隣に置くように僕を促した。
それでは、これでお別れとなります。
係の男性の言葉でしっかりとさよならを受け止められたような、そんな気がした。
炉に火が入る。
この炉の仕様で、二段階でバーナーに火が着くらしく、少し大きな発火音が二度聞こえた。
これからおよそ1時間ほどかかります。
炉の係の男性はそう言って僕を待合室へと促し、コーヒーと水を一杯差し出してくれた。
それからの一時間は、長いようで短いようで、通夜を過ごした僕は気が着くと睡魔で船を漕いでいた。
ごえもんの時と同じようにと、眠気覚ましがてらに骨壷が陳列されている棚を見に行った。
ここで遺骨を処分してもらう事もできるのだが、僕は家へ連れて帰る事にしていたからだ。
色々なデザインのものがあったが、最もスタンダードな、何の飾り気のない、凝ったデザインの欠片すらない乳白色の壺に決めていた。
コーヒーを飲み干し、水も飲みきり、炉の火が消えるまでの時間を、少しだけゆったりと、外の景色を見ながら静かに待つ事にした。
それから30分程が経過した時、係の男性に声をかけられ炉へと向かった。
男性はそこで開口一番に言った。
何か薬とかずっと飲んでいましたか?
骨がもろいんですよ。年齢の割に弱いというか、年老いているかのような、少し病的にも思えて。
普通に健康ならば、もっとしっかりしているし、ほら、この辺りのかけ方もギザギザで、本来ならばまっすぐに亀裂が入るんですよ。少し力を入れると粉々になってしまうものだから、ちょっと驚いてね。
いや、大した事は何もしていないです。
昨日病院へ連れて行って病気が判明して、そのままい亡くなってしまったので。
という僕の回答に、彼は応えてくれた。
寿命ですね。
短いみたいだったですけれど、与えられた時間をしっかり生き抜いたのですよ。全うできて良かったのだと思いますよ。
そうですか。
そう仰って頂けると気持がまた少し楽になります。
骨壷が当初のサイズからひとつ下の大きさに変更になった。
ごえもんと同じ壺だと、大き過ぎてしまうからだ。
そして、箸渡しでキョロちゃんの遺骨をその標準より小さめの壷へと箸渡しで入れていく。
何人も見送る人がいると、順番に代わるがわる行うのだが、僕ひとりしかいない箸渡しは少しだけ慌ただしい。うっかり骨を壊してしまいそうになる。
そして、同時に寂しさを感じてしまう。
後は私がお入れします。
係の男性は手際良く、あっという間に遺骨を壺に無理のかからないように納め、そっと蓋をし、白い布で骨壷を包んだ。
手渡された骨壷を抱きかかえて待合室へ戻り、清算を済ませてクルマに乗り込んだ。
さぁ、お家へ帰ろうキョロちゃん。
クルマの出入りに少々スペースが必要な僕のクルマは、いつもなら切り返している筈なのに、そのまま細い通りに面した駐車場から一回で出ようとしたものだから、縁石でバンパーの下の部分をゴリゴリとこすってしまったようで、ミラー越しに誘導をしてくれていた係の男性の苦い表情が見えた。
この傷は記念になるね、キョロちゃん。
などと独り言を呟きながら火葬場を後にした。
助手席に置いたキョロちゃんの骨壷を見ながら、ワンコの世界にも、美人薄命、なんて言葉は通用するのかも知れないと、ふとそんな事を思った。
キョロちゃんは生まれてくる時に仮死状態だったものを、僕が必死に叩いたり気管に入った水を抜こうと振ったりして、僕の所で生まれてくる子達は絶対に死なせないと何度も繰り返して言いながら、やっとの思いで命を繋いだ子だったせいか、少しだけもの覚えが悪いようだったが、確かに整った顔立ちで綺麗な子だった。
ご縁がなくて独身で過ごしてしまったが、もしかしたら可愛い子達を産んでいたのかもしれない。
雲など全く現れる様子の無い空の下を、僕とキョロちゃんは家へと向かった。厄落としを兼ねて一か所寄り道をして、そして父犬のごえもんの壺の隣へと収まった。
灯明から線香に火を移し、お鈴をそっと鳴らして手を合わせた。
お帰り、キョロちゃん。
人それぞれで考え方や捉え方は異なるようだが、遺骨はきちんと埋葬しなければならないとか、散骨しなければならないだとか、カロートと作って納めなければいけないだとか、そのまま家の然るべき場所へ置けば良いという意見がある。
僕は位牌を用意できる訳でもなく、そもそも、ワンコに位牌が必要なのかも分からないし、かと言って、遺影を代わりに置いて日々、線香を立てようにも、肝心な写真でまともなものがない。
おかしな格好をしている時のものや、風景写真的に後ろ姿を捉えたものものばかりで、本当にまともなものがないのだ。
しかも、それぞれが体調に変化が出始めてからは全くと言ってよいほどワンコ達の写真を撮らなくなったのは確かだ。
弱みを背負った姿を残そうだんて、趣味が悪いと言っても過言ではないと考えていたからだ。
だからここ数年の僕のカメラの被写体は誰もいない風景であったり、無機物であったり、ブログ用の説明画像ばかりなのだ。
だから、当初より家に骨壷を置いて、お参りする形をとっているのだ。
元気な時の写真でも、と思われるかも知れないが、そうなると、本当に小さな頃の幼いものしかなくなってしまう。
それだけ、とりわけlキョロちゃんの眼病の発症は早かったのだ。
9歳という若さだったのだけれど、たくさんの人達の言葉にあえて乗せられて、進んで騙されて、誤魔化されて納得したキョロちゃんの生涯に、僕なりの気持の落とし所を置いて、そして、明日からは顔を前に向けて生きていかなければいけないのだ。
何故と言えば、少なくとも僕にはあと2つの命を今回のように見送る義務が残されているからだ。
万が一にも僕が先に逝く事があったらどうしようかと思案する事はあるけれど、とりあえずは歩かなくてはならない。
いつか自分の墓にこの子達と一緒に僕が納まれば、色々な意味で帳尻が合うのだが、それにはまるで程遠い環境に、今、僕は立っているからだ。仕事も生活も今のままではダメなのだ。
無念のままに全てが終わってしまうかも知れない。
そう言えば、通夜の晩、意図した事ではなかったのだけれど、何度かうたた寝をして線香やろうそくの火を絶やしてしまっていた。
だけれども、夢枕にキョロちゃんは現れなかった。
僕の眠りが浅過ぎたのか、キョロちゃんも疲れていたからなのかも知れない。
今夜あたりには会えるだろうか。
妙な気分のまま、今日はこのまま布団に潜り込もうと思う。
愛犬家に良くある愛犬自慢の画像のアップだけれど、僕もご多聞い洩れずだ。
キョロちゃんが昇った空の画像と、この子がおかしな格好をしている姿を誰かに診てもらいたいと思ってしまうのだ。
こんな飼い主でごめんね、キョロちゃん。
そして、後日談ならぬ、翌朝の話だ。
ハッとしたのだ。
ごはんを作り過ぎてしまった事に気がついたからだ。
そうなのだ。
使わなくなった皿がひとつ増えてしまっていた事をすっかり忘れていたのだ。
いつも同じ野菜+ちょっとしたお肉の入ったスープを味付けせずに作っておいて、ワンコ達と自分用で味付けを変えて分けっこしているのが我が家の食事のパターン。
それはそれとして、ワンコ達のお皿にご飯をよそおうとして、二つしかないのを見て、少し、やっぱり寂しさが込み上げて、ひとつ小さく息を吐いてから、二つのお皿にご飯を入れた。
ワンコ達を連れて、このワンコ達が生まれた所へ、かつて暮らしていた町ね帰ろうかという気持ちを強くしても許されるような、手前勝手な理屈を頭の中で模索し始めながら、二つのお皿を見ている自分がいる。
他にもかなり深い所からの経済情報の影響もあるけれど、この地に留まる理由が加速的に削がれている僕の人生に、目に見えない誰かが僕にそう囁いているからなのかも知れないけれど、それに乗せられてしまおうという自身の強さなのか弱さなのか良く分からない曖昧な心理に振り回され始めたのだ。
続きは、後日談にて。
途中で疲れたら他のサイトへジャンプしてくださいませ。
今日の日が落ちてから間もなくの時。
ひとつの命が永い眠りに就きました。
振り返ればとてもいい子でした。
本当は大きな病を患っていたのに、この飼い主ときたら元気で病気をしない元気な子だと思っていたのです。
10日ほど前から震えたり食欲が落ちたりして、風邪っぽいのだろうか…、などと安易に考えていた。
確定申告から帰る時、ふと、あの子を病院へ連れて行こうという気持ちが湧きあがりました。今朝はそれなりに食事をしていたし、幾分、昨日よりは元気そうに感じていたのだけれど、何かがおかしいと、もしかしたら神か仏か、僕の身体に憑いているもの、傍にいる何かが耳元で囁いたのかも知れないのだけれど、ただ何となく、そんな程度の感覚で、僕はまっすぐ家に戻ると、書類を置いてその子を連れて病院へ向かった。
クルマに乗り込む時、やはりその子の身体は震えていて、そしてやはり元気がないのを抱きかかえる腕で感じてしまった。
頭の中には急がなくてはいけないのかもしれないという焦りが溢れ、雨の降りだした街の、かかりつけの動物病院へ向かう道を、規則をそれなりに守って走っている前のクルマに若干の苛つきを覚えながら、でも、助手席で丸くなっているこの子に気を遣いながらクルマを走らせた。
かかりつけの獣医師はこの子に触れはじめてから3分程で重篤だという診立てをした。
ご飯も食べたし、歩けていたし、少し寒くて具合が悪いだけだと思っていた間抜けな飼い主の僕は、その数分後に突き付けられる最初の検査によって出された診断結果に愕然とさせられるのだ。
そして、自身の愚かしさに項垂れ、戸惑い、慌てふためくのだ。
末期の腎不全だった。
エコー画像、レントゲン、血液検査でその全てが裏付けられた結果だった。
腎不全には特効薬がない。
幸いにも、人間に対しては、腎臓移植や透析などという手法が選択できる。
でも、この子にはそれがない。点滴やら微かか効果が認められているという投薬治療で、最期の時までを騙しだまし、ちょっとずつ、でも確実にその時へとにじり寄るような苦しい日々を送るという選択と、治療そのものを受けられないという選択しか残されない。
自分では選べないのだ。
安楽死は?
それはこの子の場合は僕が選ぶ選択肢だ。やはりこの子のものではない。
治療を施しても、もって半年くらいがリミットだと獣医師は僕に伝えた。リミットとは治療開始のそれではなく、命の営みのそれだ。
苦しいのか。
苦しいし、だるい。
痛いのか。
痛いと言うより辛い。
そんな日々をあと半年も続けて、そして、あと半年しかない日々を過ごすという現実を、もしそれが僕に起きたのだったら…、と身を置き換えて考えてみると、ぞっとする以外の言葉がすぐには見つからない。
誰かの意思で命を終わらせてもらった方がはるかに幸せなのではないかと思えるようになったのは、その数分後、点滴を使った治療と、投薬を併用した治療のプランに関わる説明をしてもよいかと獣医師が徐で優しい声で聞いてくれた時だった。
その獣医師は、彼は彼なりに自身の愛犬を自身で治療し、最期まで手を尽くし、そして看取った時に己のそれまでの処置に問題があったのではないかという遺恨を常に感じて生きていると言った。
だからこそ、治療に関して幾つものプランを、さまざまなケースを予測に入れて提示できるという能力に長けているのだろう。
彼の提示したプランは、当然の事ながら、大金持ちではない僕に合わせたものだった。
彼は、とりあえず、一旦このだるくてしんどい症状を可能な限り軽くして、通院できるようにする為の数日間の入院だった。
ギリギリだが、何とかできるかも知れない金額に至るプランだ。
それでも他の動物病院と比べたら安い方だ。とてもICUまで完備している病院とは思えない費用設定だ。
僕はすぐにこの子を入院させる事にした。
それではすぐに入院の為の処置をしますので待合室でお待ち下さい、と獣医師の傍らにいた女性スタッフがこの子を抱き上げて行った。
待合の通路でワクチンや、流行している病気や、新しいドッグフードのポスターを眺めながら、病院の奥の方から聞き慣れない声がしているのを耳にしていた。ネコか何か他の動物の声が響いているのだと、そう思っていた。
これから入院して、少しでも症状を軽くする為の処置を施されているあの子の声だとは微塵にも思わなかった。
直後にスタッフの女性が僕に声をかけてきた。
容体が急変して…。こちらへどうぞ。
と、彼女は急ぎつつも落ち着いた仕草で僕を処置室まで導いてくれた。
そこに居たのは、あの聞き慣れない声を出していたのは、この子だったのだと自分の目を疑った。
幾つかの管や脈を取るセンサーのようなものが付けられ、ドラマなどの病室のシーンで人が亡くなった時に聞こえてくる、ピーという音がしたり、消えたりしていた。
心室細動を起こしている状態なのだという。
AEDでショックを与える事でなんとかできるかも知れない、と獣医師が人工呼吸器をこの子にセットしながら慌て気味に言った。
耐えられなかったのは僕の方だった。
この街に来て2年もしないうちにドライアイが原因で失明し、嗅覚と聴覚だけで生活しなければならなくなったこの子の瞳は、見開いたまま乾燥し、手足は有意識下で動いているのではなく、痙攣で微かに動いているように見えた状態で、人工呼吸器を外してしまったら即座に心臓は完全に停まってしまうとの事だった。
この状態で苦しみをこの子が感じているのであれば、どうか安楽死の薬を使って…、などと、口を衝いて出た自分の言葉はもう声にならなくなっていた。
獣医師の彼は、殆どなにも発する事ができていない僕の様子を見ながら、分かりました、とそう言った。
処置室から出され、数分待たされた後で再び処置室に戻された時、そこにはおおよその管やセンサーを取り外されたあの子の身体が横たわっていた。
手を伸ばして、その頭や背中を撫でた。
苦しかったね。
辛かったね。
ごめんね。
そんな事を呟いて、もう何度かその身体を撫でた。
痩せてしまって少し骨ばった感触のその子の身体から手を離すと、僕は診察室で待つようにと促された。
診察室の動物用の体重計の脇にある椅子に座って、レントゲンやエコーの画像の映し出されたPCモニターに目をやりながら思った。
あの子は、僕の日当と一日当たりの入院費が同じで、正直苦しいかなぁ、などと、治療プランを聞かされた時に思ってしまった自分の気持ちを拾い上げたのではないかと感じ始めた。その時に診察室に入って来た獣医師は、最初に僕に詫びた。
詫びる必要などないのに、彼は、診察をし、診断をし、今よりは改善する治療方法を勧めておきながらこんな事になってしまって申し訳ない、と、そういう事だった。
僕としては、本音で言ってしまえば、昼間誰もいない自宅であの子があのような容体に陥ったとしたならば、そして、原因も理由も恐らく全く分からないままで終わってしまうのなら、その悔いは数十倍にも数百倍にも膨れ上がる。けれど、彼のお陰で病名も症状も状態も腑に落ちる形で示してもらえたのだからありがたい。かえって入院にあたっての費用の金勘定で心の中で小さく溜め息をついていた自分の情けない姿の方が数千倍も痛い。
すると、獣医師はこんな事を躊躇いながら口にした。
私がこんな事を言うのも失礼な話なのかも知れませんが、あの子は悟っていたのではないでしょうか。とかく、そういう事が往々にしてあると私は思うんです。
僕もそれは信じたいと思った。
あの子は、病院の診察室で、人が交わした言葉の雰囲気で、その中で際立って僕の気持を察知して、先の知れたその身と、僕のような頼りない飼い主の境遇の両方を汲んで逝ったのかも知れないと思ったのだ。
まだ半年残っていたけれど、もう半年徐々に苦しくなって辛くなって痛い思いをする事と、今日を終いに最期の時にしてしまう事とを天秤にかけて、そして後者を選んで駄目な飼い主を救ったのだと、そう信じると言うよりも、もう、そうなのだと考えてしまっていた。
大した事など何もしてあげられなかった。
目が悪くなってから散歩にも行ってあげられなかった。
ずっと同じレイアウトの部屋の中で、目や顔を傷付けないようにしたひとつの部屋の中で暮らす毎日しかあげられなかった。
皮膚病もあった為、単調で味付けなど殆どないマンネリな僕の作ったものしかあげられなかった。
極めつけが、大病を患っていた事に全く気付かないでいる始末だ。
過去を嘆いても仕方がないと言うけれど、嘆きたいのが心情だ。
早く気が付いていれば、視力も健康な皮膚も、短くして命を落とす事もなかったのだと思えば思うほど悔やみきれない切なさが残る。
そんな事をしても、何ひとつ変わらないのだけれど。
せめて、今夜はずっとそばにいてあげたい。
迷惑なのかも知れないけれど。
押しつけがましい飼い主の不器用な愛情表現だと自覚はしているのだけれど。
今夜はそばにいてあげたい。
ワンコ達はヒトよりも速い時のカウントで生涯を駆け抜けてしまう。余程の事があろうとなかろうと、だ。ヒトの何倍もの時間の重さを背負って生きていると考えるのならば、飼い主もしくは好きな人が、そばにいてあげられる時間を最大限に作る事がワンコ達にとって、それは最も基本となる幸せなのかも知れない。
勿論、これは勝手な飼い主側の論理なのだけれど。
それしか思い浮かばないから、最後くらいはと思い至るから、だからこんな安直な事しかできないのだろう。
お通夜だから、朝までずっと一緒にいよう。
病院のご厚意で綺麗な旅化粧をしてもらったこの子の姿をずっと眺めていよう。
でも、もしかしたら、うっかりうたた寝をして、燈明も線香も消え失せた部屋で、夢に出て来てこの子は僕と遊んでくれるかも知れない。
むしろ、それを狙って眠ってみるのも一計かとも思う。
少し悩ましいところだ。
どちらにしても、伝えたい事は同じだ。
ごめんね。
今まで一緒にいてくれて本当にありがとう。
愛してるよ。
そして、もうひとつ。
それじゃあ、またね。
キョロちゃん。
本当の名前はキョウコ。
少し早目過ぎるお別れだね。
明日、キョウコは煙と共に空に昇ります。
晴れるといいな。
そして翌日。
目を疑うほどに晴れ上がった空だった。

雲ひとつない快晴。
上空に少しだけ強い風。
暦通りなのか、微かに春めいた空気だった。
今日はキョロちゃんが空へ昇る日。
願った通りに天気は晴れた。
予想以上に、昨晩の雨が嘘のように、お父さんワンコのごえもんを空へ見送った時と同じような晴れ具合だ。
親に似たのかも知れない、と思ってしまった程だ。
キョロちゃんの、魂が抜けて残された身体が納められた段ボール箱から、炉に入れてはいけないものを全て取り去ると、キョロちゃんの身体の全体が露わになった。
すっかり冷たくなってしまった頭を撫でた。
固くなってしまった背中も撫でた。
そして、身体全体をそっと撫でて、それでお終いにした。
自分の心にもけじめを付けた。
炉の係の方がキョロちゃんを箱ごと炉の中央に移し、線香の束を隣に置くように僕を促した。
それでは、これでお別れとなります。
係の男性の言葉でしっかりとさよならを受け止められたような、そんな気がした。
炉に火が入る。
この炉の仕様で、二段階でバーナーに火が着くらしく、少し大きな発火音が二度聞こえた。
これからおよそ1時間ほどかかります。
炉の係の男性はそう言って僕を待合室へと促し、コーヒーと水を一杯差し出してくれた。
それからの一時間は、長いようで短いようで、通夜を過ごした僕は気が着くと睡魔で船を漕いでいた。
ごえもんの時と同じようにと、眠気覚ましがてらに骨壷が陳列されている棚を見に行った。
ここで遺骨を処分してもらう事もできるのだが、僕は家へ連れて帰る事にしていたからだ。
色々なデザインのものがあったが、最もスタンダードな、何の飾り気のない、凝ったデザインの欠片すらない乳白色の壺に決めていた。
コーヒーを飲み干し、水も飲みきり、炉の火が消えるまでの時間を、少しだけゆったりと、外の景色を見ながら静かに待つ事にした。
それから30分程が経過した時、係の男性に声をかけられ炉へと向かった。
男性はそこで開口一番に言った。
何か薬とかずっと飲んでいましたか?
骨がもろいんですよ。年齢の割に弱いというか、年老いているかのような、少し病的にも思えて。
普通に健康ならば、もっとしっかりしているし、ほら、この辺りのかけ方もギザギザで、本来ならばまっすぐに亀裂が入るんですよ。少し力を入れると粉々になってしまうものだから、ちょっと驚いてね。
いや、大した事は何もしていないです。
昨日病院へ連れて行って病気が判明して、そのままい亡くなってしまったので。
という僕の回答に、彼は応えてくれた。
寿命ですね。
短いみたいだったですけれど、与えられた時間をしっかり生き抜いたのですよ。全うできて良かったのだと思いますよ。
そうですか。
そう仰って頂けると気持がまた少し楽になります。
骨壷が当初のサイズからひとつ下の大きさに変更になった。
ごえもんと同じ壺だと、大き過ぎてしまうからだ。
そして、箸渡しでキョロちゃんの遺骨をその標準より小さめの壷へと箸渡しで入れていく。
何人も見送る人がいると、順番に代わるがわる行うのだが、僕ひとりしかいない箸渡しは少しだけ慌ただしい。うっかり骨を壊してしまいそうになる。
そして、同時に寂しさを感じてしまう。
後は私がお入れします。
係の男性は手際良く、あっという間に遺骨を壺に無理のかからないように納め、そっと蓋をし、白い布で骨壷を包んだ。
手渡された骨壷を抱きかかえて待合室へ戻り、清算を済ませてクルマに乗り込んだ。
さぁ、お家へ帰ろうキョロちゃん。
クルマの出入りに少々スペースが必要な僕のクルマは、いつもなら切り返している筈なのに、そのまま細い通りに面した駐車場から一回で出ようとしたものだから、縁石でバンパーの下の部分をゴリゴリとこすってしまったようで、ミラー越しに誘導をしてくれていた係の男性の苦い表情が見えた。
この傷は記念になるね、キョロちゃん。
などと独り言を呟きながら火葬場を後にした。
助手席に置いたキョロちゃんの骨壷を見ながら、ワンコの世界にも、美人薄命、なんて言葉は通用するのかも知れないと、ふとそんな事を思った。
キョロちゃんは生まれてくる時に仮死状態だったものを、僕が必死に叩いたり気管に入った水を抜こうと振ったりして、僕の所で生まれてくる子達は絶対に死なせないと何度も繰り返して言いながら、やっとの思いで命を繋いだ子だったせいか、少しだけもの覚えが悪いようだったが、確かに整った顔立ちで綺麗な子だった。
ご縁がなくて独身で過ごしてしまったが、もしかしたら可愛い子達を産んでいたのかもしれない。
雲など全く現れる様子の無い空の下を、僕とキョロちゃんは家へと向かった。厄落としを兼ねて一か所寄り道をして、そして父犬のごえもんの壺の隣へと収まった。
灯明から線香に火を移し、お鈴をそっと鳴らして手を合わせた。
お帰り、キョロちゃん。
人それぞれで考え方や捉え方は異なるようだが、遺骨はきちんと埋葬しなければならないとか、散骨しなければならないだとか、カロートと作って納めなければいけないだとか、そのまま家の然るべき場所へ置けば良いという意見がある。
僕は位牌を用意できる訳でもなく、そもそも、ワンコに位牌が必要なのかも分からないし、かと言って、遺影を代わりに置いて日々、線香を立てようにも、肝心な写真でまともなものがない。
おかしな格好をしている時のものや、風景写真的に後ろ姿を捉えたものものばかりで、本当にまともなものがないのだ。
しかも、それぞれが体調に変化が出始めてからは全くと言ってよいほどワンコ達の写真を撮らなくなったのは確かだ。
弱みを背負った姿を残そうだんて、趣味が悪いと言っても過言ではないと考えていたからだ。
だからここ数年の僕のカメラの被写体は誰もいない風景であったり、無機物であったり、ブログ用の説明画像ばかりなのだ。
だから、当初より家に骨壷を置いて、お参りする形をとっているのだ。
元気な時の写真でも、と思われるかも知れないが、そうなると、本当に小さな頃の幼いものしかなくなってしまう。
それだけ、とりわけlキョロちゃんの眼病の発症は早かったのだ。
9歳という若さだったのだけれど、たくさんの人達の言葉にあえて乗せられて、進んで騙されて、誤魔化されて納得したキョロちゃんの生涯に、僕なりの気持の落とし所を置いて、そして、明日からは顔を前に向けて生きていかなければいけないのだ。
何故と言えば、少なくとも僕にはあと2つの命を今回のように見送る義務が残されているからだ。
万が一にも僕が先に逝く事があったらどうしようかと思案する事はあるけれど、とりあえずは歩かなくてはならない。
いつか自分の墓にこの子達と一緒に僕が納まれば、色々な意味で帳尻が合うのだが、それにはまるで程遠い環境に、今、僕は立っているからだ。仕事も生活も今のままではダメなのだ。
無念のままに全てが終わってしまうかも知れない。
そう言えば、通夜の晩、意図した事ではなかったのだけれど、何度かうたた寝をして線香やろうそくの火を絶やしてしまっていた。
だけれども、夢枕にキョロちゃんは現れなかった。
僕の眠りが浅過ぎたのか、キョロちゃんも疲れていたからなのかも知れない。
今夜あたりには会えるだろうか。
妙な気分のまま、今日はこのまま布団に潜り込もうと思う。
愛犬家に良くある愛犬自慢の画像のアップだけれど、僕もご多聞い洩れずだ。
キョロちゃんが昇った空の画像と、この子がおかしな格好をしている姿を誰かに診てもらいたいと思ってしまうのだ。
こんな飼い主でごめんね、キョロちゃん。
そして、後日談ならぬ、翌朝の話だ。
ハッとしたのだ。
ごはんを作り過ぎてしまった事に気がついたからだ。
そうなのだ。
使わなくなった皿がひとつ増えてしまっていた事をすっかり忘れていたのだ。
いつも同じ野菜+ちょっとしたお肉の入ったスープを味付けせずに作っておいて、ワンコ達と自分用で味付けを変えて分けっこしているのが我が家の食事のパターン。
それはそれとして、ワンコ達のお皿にご飯をよそおうとして、二つしかないのを見て、少し、やっぱり寂しさが込み上げて、ひとつ小さく息を吐いてから、二つのお皿にご飯を入れた。
ワンコ達を連れて、このワンコ達が生まれた所へ、かつて暮らしていた町ね帰ろうかという気持ちを強くしても許されるような、手前勝手な理屈を頭の中で模索し始めながら、二つのお皿を見ている自分がいる。
他にもかなり深い所からの経済情報の影響もあるけれど、この地に留まる理由が加速的に削がれている僕の人生に、目に見えない誰かが僕にそう囁いているからなのかも知れないけれど、それに乗せられてしまおうという自身の強さなのか弱さなのか良く分からない曖昧な心理に振り回され始めたのだ。
続きは、後日談にて。
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